【13w】退職
仕事を辞めた。
社員として入社し、途中で精神的に疲労の限界が来て、休職を経てパートになった。本音を言うと、ずっと辞めるタイミングを掴めずにいた。
会社への不満は山ほどあったし、でも働くことの楽しさもあった。
辞めることは10週目くらいに決めた。我ながら早めの退職。
産む前まで続けないの?という視線も(主に夫から)感じたけれど、片道1時間の通勤と立ち仕事が体力的にキツかった。さらに都心でのコロナの恐怖、プラスこれから酷暑がやってくる。
妊娠を皆さんとても喜んでくださり、退職を寂しがってくださる方もいた。体調が悪いときはフォローしてくださったし、そもそも入社した時から基本は甘やかされていたのだけど、妊娠の報告をしてからは本当に甘々だった。すみません。ありがとうございます。
母を超えて、おばあちゃんのような優しさ……沁みた。ずっと浸かってたい。
他部署の上司に『おー!スッキリ明るく(終わるの)だね』というようなことを言われた。私もハッピーニュースで退職すると思っていなかった。
通勤で疲れるので職場に着いたらもうヘトヘトだった。ご飯が食べられないから余計にヘロヘロ。接客が長引くときは根性で乗り切った。
道半ばで、とことんやり遂げられなかった後悔があるけど、このコンディションでは致し方なかった。
会社に怒りながら続けるより、こういうタイミングがあって良かったと思おう。
最終日に限って前の日眠れず、食欲も無く、ふらついていた。朝の電車は爆睡。
朝に京王線で都心に行くことは、しばらく(もしかしたらずっと)無いだろうな、と乗り換えに向かいながら思う。
自分で働いたお金を使うことが好きだったな。
接客業は何箇所も経験した。好きだったな
仕事で何か達成していくことや、お客様の顔を覚えること、接客した方がウキウキした顔で買い物してくれること、売上があがることもすごく好きだった。
餞別の言葉やおやつを沢山いただきながら仕事を済ませていく。引き出しに入れてたものも片付けた。
なんと、この日はほとんど来客がないまま1日が終わった。あっけない。
帰りの通勤路で、お気に入りの神社を通ろうとしたら工事中だった。
本当に辛かった時、毎朝『今日が無事におわりますように』とお願いして出社していた。
夫に背中をさすられながら玄関を出た日々もあった。
1年後、あたたかに見送られ退職するなんて思わなかった。
餞別のプレゼントをたくさんいただき、持って帰れなくて段ボールに詰めて配送してもらうことになった。モテモテな男子学生のバレンタインってこんな感じかな?テングになっちゃうね。
お手紙もいくつかあるようで、その後の私の生きるモチベーションになるだろう。届くのが待ち遠しい。
結婚してからもずっと働いていたから、明日から初めて専業主婦になる。
正直、退職した寂しさもあるけど、社会から離れる寂しさと疎外感が大きい。明日から私は家以外にどこにも属さない人間になる。一体何を目標に、拠り所にして生きたら良いんだろう。
子どもじゃないんかい、ともう1人の自分が言うけど、その感覚がまだ分からない。いつか分かる時がくるのかな。
夫からメッセージが届いた。
『これまでよく頑張ったね!』
そして
『でもこれから大仕事が待っているね。』
そうだ、実感がないけど、大仕事が待っているのだ。まずは生活を整えねば。
子どものための生活/人生というのがまだピンとこないし、もしかしたらずっとピンとこないかもしれない。子のために自分のやりたいことを犠牲にしないかもしれない。
それが申し訳ないことな気もするし、でも私は、"心底楽しそうに生きている母"になりたい。
お母さんって毎日楽しそうだなあって、生きるのって楽しいんだなあって思ってほしい。
実際、生きるのは楽しい。
今は所在がないような気持ちで、心許ないけど、ゆっくり新生活に慣れよう。
家の中を整えていこう。
それから、新しい何かを始めよう。
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