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Route88 〜新米ドライバーのおへんろ!〜

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2022年の四国遍路を好き勝手に書き残す企画
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Route88 #4 牙剥く山道

Route88 #4 牙剥く山道

四国遍路が、牙を剥く。

この日は10番切幡寺から。

欲心を ただ一筋に 切幡寺
       後の世までの 障りとぞなる

第10番札所 切幡寺この札所は車遍路の最初の試練となる。
カーナビなりGoogleに切幡寺と打ち込んでみよう。それは県道237号近くの寺町を上がるルートを提案するだろう。

これは罠である。

この道に入ったが最後、道にはみ出た看板や軒先に圧迫されたまま、対向車をかわすこ

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Route88 #3 新緑萌ゆる阿波路

Route88 #3 新緑萌ゆる阿波路

【Apology】
怠惰でした。(一年休み)

この日は6番安楽寺からのスタート。

仮の世に 知行争う むやくなり
        安楽国の 守護を望めよ

第6番札所 安楽寺安楽寺は整った境内に加え、宿坊が有名である。そこには山号の温泉山の名に違わず、宿坊として珍しく、本物の温泉が付いている。そのため歩き遍路の場合は1番から始まりここで1日目を打ち止めするのがポピュラーなムーブとなる。
しか

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Route88 #2 あれから3年が経ちました。

Route88 #2 あれから3年が経ちました。

時を戻して2022年。
徳島を往く或る車は再起の札所に到着する。
さあ、始めよう。ハンドルは私の番だ。

極楽の たからの池を 思えただ
       黄金の泉 すみたたえたる

第3番札所 金泉寺この旅の再起の札所となったのは3番・金泉寺。
静かな住宅街の中にあるフラットな札所である。
かつて1番2番で赤ん坊であった我が妹も自我を抱き境内を喜び走り回っている。
当然であるが妹の「納札」も用意して

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Route88 #1 はじまり?

Route88 #1 はじまり?

霊山の 釈迦の御前に めぐりきて
   よろずの罪も 消えうせにけり

第1番札所 霊山寺徳島を走る一台の車。
運転するは筆者。向かっているのは1番札所、霊山寺ではなく3番札所、金泉寺であった。
思い出されるのは3年前。1番霊山寺と2番極楽寺を訪れた時のことである。

あの日は雨だった。
妹が生まれたことを祝し、お遍路の旅を始めてみることとなったのだ。
当然3年前で高校生なので運転は不可能。母の運

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Route88 序章

我が家のルール。
遍路で何らかの記念があったとき、或いは家で大きな出来事があった際、遍路を行う。

ある青年に妹ができた。ある青年は運転免許も取得し、車を得た。
私の居住する徳島県では車がなければ地方部への移動もままならない。
そのため車の取得は一大通過儀礼である。
故にこのことは我が家にとっては重大イベントであり、遍路をすることとなる。
これまで2度結願(全て回り切ること)を達成したがこれは私の

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