中国ベンチャーに学ぶ・拾伍「キャッシュレス社会実現に必要なこと」

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🔳デジタル通貨とキャッシュレス社会

デジタル人民元の開発が着々と進行しているという記事がありました。
デジタル人民元は、DC(デジタル通貨)EP(電子ペイメント)の合成語で、中国ではDC/EPと呼ばれています。

今年の春の、中国の中央銀行が「デジタル人民元」の発行を目指しているとの報道から状況が進んでおり、配車サービス大手の「ディディチューシン(滴滴出行)」を始め、食事デリバリーサービスの「メイチュアン・ディアンピン(美団点評)」や動画投稿アプリ「バイトダンス(字節跳動)」、中国最大級の動画共有サイト「ビリビリ(哔哩哔哩)」がデジタル人民元プロジェクトに関与する多くの銀行パートナーシップを結んだ、とあります。

2022年に開催される北京オリンピックに向けた取り組みももちろんある為、スターバックス、マクドナルドなどでもテストが開始され、無人スーパーマーケットや地下鉄、書店と、人々の暮らしにおいてよく利用されるサービスや人気店舗などでは試験運用もこれからどんどんと試されていくことでしょう。

2年後、デジタルとの共存に更に精度を上げた中国に、
世界は更なる驚きと興奮に包まれることだろうと思います。

一方で、国で推し進めている「一帯一路」構想が、このデジタル人民元プロジェクトの大きな狙いとなっていると、多くの専門家が考えています。

これは、人民元をスマートフォン上で扱える共通通貨として確立し、「一帯一路」経済圏で取り扱う、デジタル通貨の新たなデファクトスタンダードとしようとする企みが推測されるからです。

ITテクノロジーとデジタルイノベーションによる近代化を現代版シルクロード圏で拡大させることで、デジタル人民元を共通通貨として流通させることが出来れば、国際的にも”元”の価値を引き上げることに繋がり、結果として競争力を持った人民元が"大きな力"を手にすることに成り得るのです。

この「一帯一路」経済圏は中国が市場を創り上げたものですから、参加周辺諸国と協力体制をとることで、対米国を強く意識した大きなビジネスインフラとしても、人民元を中心に置いた発展を視野に入れていると考える方が、むしろ理に適っています。

国際的に価値を持つデジタル通貨を中国が握ることになれば、中国主導の経済圏で発言権を強めることに繋がり、ますます米中2強による争いが激化していきそうです。むしろ、そういった競争力を手に入れるために民間によるデジタルイノベーションを推進し、国際社会の中でのポジションを確立していくことが、全ての施策に通じる目的とも言えるのではないでしょうか。

更に、このデジタル人民元にはブロックチェーンを活用する動きがあります。これにより、安定した交換レートを保つことができるとされていますが、ブロックチェーン関連の特許取得数が世界トップレベルの中国がどのようなデジタル通貨を生み出すかに世界中から注目が集まっています。世界をリードするのはどこの国なのかが、色濃く出てくることになりそうです。

ところで、日本ではキャッシュレスがなかなか進まない状況がありますが、これはなぜなのでしょうか。中国では元々EC自体の信用度がありませんでした。偽物が蔓延る時代だったこともあり、余計に警戒心が強かったのです。

そこで、アリペイを手掛けるアントフィナンシャルは、

”「すべてのユーザーに対して、体験・信用・安全を提供する」として、
より広大な成長市場を開拓した”

のです。これをきっかけに、ウィーチャットペイと2大電子ペイメントが著しく成長し、今では衣食住はもちろん、ありとあらゆるモノがスマートフォンさえあれば支払うことができる当たり前の世の中となりました。

中国国内では、アリババグループのアリペイ(支付宝)やテンセント(騰訊控股)のウィーチャットペイ(微信支付)といった、民間サービスが普及させた電子ペイメントによるキャッシュレス社会が成立しています。これは、もちろんマーケティングとプロモーションの功績もありますが、買い物がインターネットで便利にお得に簡単に利用できるようになったことが、中国国民の暮らしを豊かにし、生活に必要なものへと意識を変えたからなのです。

対して、日本ではそもそもの前段として、
キャッシュレスを急ぐ理由があまり見当たらないのが
実際のところではないでしょうか。

世界的に現金を持ち歩かないキャッシュレス志向が増えており、
日本は先進国の中でもとびきりのキャッシュレス後進国となりました。

キャッシュレス決済の方が簡単で楽という発想が広まる中、日本ではまだまだ現金主義が根強くお金に強い執着があるのが実情ではないでしょうか。

特に戦後世代の後に生まれ育った、昭和の資本経済に揉まれてきた40代~50代は特にお金へのこだわりが強い世代と言われています。それよりも若い世代になればなるほどキャッシュレスの利便性を享受しているのではないかと想定されますが、日本に溢れる〇〇ペイ、は目立った勝ち組がまだ生まれておらず、どのサービスも同じように肩を並べているといった印象です。

永井竜之介さんの著書、
「リープ・マーケティング 中国ベンチャーに学ぶ新時代の「広め方」 」

”キャッシュレスはモバイルオーダー・ビジネスの前提条件になる”

と記されています。
つまり、キャッシュレスを目的として捉えてしまうと、そもそもの方向を
間違えてしまう
のです。

なぜ日本でキャッシュレスが広まらないのか?
それは、
日本でモバイルオーダー・ビジネスが広まっていないからなのです。

では、なぜ日本でモバイルオーダー・ビジネスが広まらないのでしょう。
コロナ禍でテイクアウト需要が増えて、実際にデリバリーなど体験した人は増えましたが、需要に比べて圧倒的に供給が追い付いていないのです。

ニーズは把握できていても、アプリ開発など必要な費用、時間、技術などあらゆる面で対応ができる企業でないと、サービスの実装までに時間がかかり、機会損失さえ起こし兼ねません。スピードが最優先なのです。

キャッシュレスを広めるためには、そういう社会を提案しなければ普及はしません。つまり、便利だったり、楽だったり、お得だったりと、国民がその暮らしを望み、それにより豊かになる環境を用意する必要があるのです。

来る5Gの恩恵にあずかるためにも、モバイルサービスの強化が生き残る上で不可欠な今、中国で繰り広げられる数々のデジタルイノベーションとビジネスにこそ、日本企業が参考にすべきヒントが大いに詰まっているのです。

<続く>

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私は、この書籍にも出会えて本当にツイてると思います。
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