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《ティシャーナの潮縛り》の間違いやすいルールと、実際に間違えたルール解説集。

 皆さんこんにちは。
 ルールテキストを読むの大好きな活字系プレインズウォーカー、84gです。
 今回は活字です。
 主人公はこちら。
 
 

《ティシャーナの潮縛り》 2青
クリーチャー マーフォーク・ウィザード
瞬速
ティシャーナの潮縛りが戦場に出たとき、起動型や誘発型である能力最大1つを対象とする。それを打ち消す。これによりアーティファクトやクリーチャーやプレインズウォーカーの能力が打ち消されたなら、ティシャーナの潮縛りが戦場にあり続けるかぎり、そのパーマネントはすべての能力を失う。(マナ能力は対象にできない。)
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 不出来な悪い文章に出会ったときに、「目が滑る」という表現を使うことがあります。
 読みにくかったり、読んでも内容が頭に入っていかないことですね。
 主に、「84gの記事は目が滑る」とかで使いますね。うるせぇよっ!

 それにしても、めちゃくちゃ目が滑りますね、このカード。
 我が故郷、宮城県は仙台が誇る羽生結弦か荒川静香かという勢いの滑り方です。
 安倍晴明がイナバウアーするレベルの滑りっぷりです。

 要約すると、「能力を打消し、それが特定のパーマネントならその後も能力を失う」、これだけ、なんだけど。

・そもそも誘発型能力・起動型能力って何よ?
・この能力をスタックに乗せるタイミングってどうなってんの?
・“能力”そのものを対象にする?
・アーティファクト、クリーチャー、プレインズウォーカーなら能力を失う、ほんとに?
・“戦場にある限り”っていつまで?
・マナ能力って何?

 ……。
 ………。
 解説……頑張ります……。
 スタンダードって初心者さんも楽しめるフォーマットのはずだけど、なんでこんな難しいカードを……。
 なんちゃらマスターズかなんとかホライズンでもさぁ……。
 「目が滑る文章製造機」と呼ばれた84gが「目が滑るテキストのカードの解説をする」という矛盾。
 不可能への挑戦。
 84gの文章力を試されていると言っても過言ではない。
 が……頑張ります……。


『起動型・誘発型能力ってなによ?』


 呪文能力でも常在型能力でもないヤツのことです。

 詳しくはこちらを参照ください。
 概ね、「使用宣言をするもの」が起動型、「ホニャララしたとき」などの特定のタイミングでスタックへ積まれるものが誘発型能力です。
 でもですねぇ……。
 

精鋭呪文縛りが戦場に出たとき、
対戦相手1人を対象とする。
そのプレイヤーの手札を見る。
あなたはその中から土地でないカード1枚を追放してもよい。
そのカードが追放され続けているかぎり、
それのオーナーはそれをプレイしてもよい。
これにより呪文を唱えるためのコストは2多くなる。
警戒
選定された平和の番人が戦場に出るに際し、
対戦相手1人の手札を見て、
その後、カードの名前1つを選ぶ。
対戦相手がその選ばれた名前を持つ呪文を唱えるためのコストは2多くなる。
その選ばれた名前を持つ発生源の起動型能力を起動するためのコストは、
それがマナ能力でないかぎり2多くなる。

 この2枚、やってることは「出たときに相手の手札を確認してそこから重くするカードを選ぶ」っていうデザインのカード。
 どちらも白の「法」「遅延」「束縛」を象徴する疑似ハンデス、
 実際的な挙動は同じような効果ですが、《呪文縛り》は消せますが《番人》は打ち消せません。
 《呪文縛り》は戦場に出たときに誘発する誘発型能力。
 《番人》は戦場に出るに際し適応される常在型能力です。

 もう、この段階で、さあ。
 大概の初心者さんは何言ってるのかわかんねぇのでは?
 
一つ目から文章力の限界を叩きつけられていて草
 上の記事でも書きましたが、誘発型能力とは「~~とき」「~~」「~~たび」のテキストが入るヤツです。
 番人には入らないので、戦場に出る前にスタックを用いずに処理されるので消せません。
 例えば、手札に2マナインスタント除去、《喉首狙い》があるときとかも変わりますね。
 要は《精鋭呪文縛り》は出てからなので、効果のスタック中に打てば2マナで倒せます。
 (その後に効果は適応されて手札が残ってれば何か追放されます)
 しかし、《番人》は唱えて解決に入ったら戦場に出る前に手札を確認されるので、《喉首狙い》を宣言されたら2マナでは打てません。
 もちろん、着地前に戦場の他のクリーチャーを倒すことは出来ますが……。
 ……いや、この説明で初心者は理解できるのか?

 んでもって。

 出来事はクリーチャーカードの一部ではあるものの、効果としては独立したインスタントの呪文効果。
 なので、出来事は消すことはできない。
 しかしながら、クリーチャーの方の護法は消せる。
 護法は対象となったときに護法コストを要求する誘発効果。
 だがしかし、護法と実質的な挙動が類似する呪禁・被覆は対象に取れなくなる常在型能力のため、打ち消すことはできない。
 完全に初心者さんを泣かせに来てないか?


『誘発能力ってどのタイミングで行くの?』


 MTGアリーナなんかでもたまに見られますが、戦場に出すタイミングは注意を。
 具体的には、こういうカード。

下環境でもお馴染み。版図デッキの万能除去。

 《力戦の束縛》は《喉首狙い》のような汎用除去と違い、能力打ち消しで対抗することができます。
 しかしながら、唱えるタイミングにコツがいります。
 例えば。ハッチくんとヨンさんのふたりが対戦中とします。
 ハッチくんがヨンさんのクリーチャーを除去しようと《力線の束縛》を唱えました。
 ヨンさんはすかさず、《潮縛り》を唱え、戦場に《潮縛り》が着地、《束縛》を打ち消そうとするものの、まだ《束縛》が解決されておらず、戦場に出たとき能力はまだ誘発しておらず、打ち消せません。
 
それではどうするべきか?

 この場合、ヨンさんが取るべき行動は、
 まず《力戦の束縛》が呪文として解決され、戦場に出たことで能力が誘発してハッチくんが対象を指定するまで待ちます。
 そこでヨンさんははじめて《潮縛り》を唱えることを宣言し、解決、《潮縛り》が戦場に出たことで、
 スタックに解決待ちになっている《力戦の束縛》の能力を対象にして《潮縛り》の能力を適応。
 これで無効にすることができます。

 呪文を打ち消す場合は、呪文解決前のスタックで打ち消し呪文を被せる必要があります。
 対し、能力を打ち消す場合は呪文の解決はスルーして、対象指定まで優先権を放棄しましょう。
 ……いやだから、これ、初心者に通じる説明か?


『能力を対象にするってどういうこと?』

 
 《目覚めた猛火、チャンドラ》というカードがあります。
 

 打ち消すことができないという能力を持ちますが、このカードの能力は打ち消すことができます
 あくまで“呪文として”打ち消すことができないだけであって、起動型能力を守る能力は有りません。
 ちなみに《潮縛り》で全ての能力を失っても、既に+2で生成していた紋章が有る場合、紋章はダメージを与え続けます。
 紋章は既に独立した存在なので、《チャンドラ》本体の状態に左右されません。

 これがプロテクションや呪禁だとしても同じで、あくまで耐性はそのパーマネントそのものが持っているだけで、能力そのものは対象に取ることができるので能力を失わせることができます。

『それはクリーチャーなのか?』

 現スタンでは、“眠らず”サイクルと“不穏”サイクルの土地クリーチャーが見られます。

エルドレイン対抗色サイクル。
イクサランの友好色サイクル。

 クリーチャー化した状態で攻撃時の誘発能力を《潮縛り》が打ち消す場合、クリーチャーなのでその他の能力も失わせます。
 クリーチャーになる効果がターン終了時に消えたとしても、失わせた段階でクリーチャーorアーティファクトorプレインズウォーカーなのであれば、その他のマナ能力も失います。
 クリーチャーになる能力の起動を打ち消した場合、その段階ではまだクリーチャーではないので、「能力を失わせる」は適応されません。

 これは機体なんかも同じですが、機体はアーティファクトなので搭乗でクリーチャー化を打ち消しても能力は失わせられます。
 ここ、初稿時に僕も書き間違えてたので申し訳ない。
 それくらい煩雑なこのカードが悪い。
 俺は悪くない、悪くないったら悪くない。きっとたぶんおそらく。

 攻撃時の探検誘発にスタックして潮縛りを出した場合、《スクーナー船》はターン終了時にクリーチャー化が解けたら以降は置物になります。何もしません。
 しいていうと、青信心を提供するくらいですね。
 信心といえば。

 テーロスの神サイクルも間違えやすいルールがありますね。
 例えば、3体のクリーチャーを同時に戦場に出し《パーフォロス》の2点ダメージを与える効果が3回スタックへ。
 このうちの1回を打ち消した場合、残りの2回は能力を失ったとしても既にスタックに乗っている分は消えません。
 イメージで言うと、能力を誘発させたカードを誘発後に除去しても能力は消えませんよね。そのイメージです。
 発生源はクリーチャーですが、既にスタックに移動したら別のオブジェクトですので無関係です。
 (オブジェクトっていう単語自体が初心者向けではないのでは?)
 また、2点ダメージを打ち消す瞬間に信心がいくつかで、能力を失うかどうかが決まります。
 5以上あってクリーチャーであるなら全ての能力を失います。
 逆に、信心が4以下でクリーチャーでないなら《潮縛り》の『能力を失う』効果が適応されません。

 で。
 更に問題があって、MTGにおいてはクリーチャーとは戦場にある間だけです。
 落魄でちょっと有名になりましたが、MTGには「パーマネント」と書いてあるものと「パーマネントカード」と書いてあるものがあります。


通称トロフィー。
「パーマネントを破壊する」です。
注目のリアニメイトカード。
こちらは「パーマネントカード」をカウントし、戻します。

 MTGのイメージとして、デッキをライブラリー(書庫)と呼ぶように、デッキの段階ではクリーチャーは『召喚呪文』のイメージです。
 クリーチャーカード=クリーチャー呪文を唱え、クリーチャーを戦場に呼び出します。
 つまり、「戦場に出た後がクリーチャー」で、それ以外の領域にあるカードは「クリーチャーカード」です。

 ここでもう一度、《潮縛り》を見てみましょう。

《ティシャーナの潮縛り》 2青
クリーチャー マーフォーク・ウィザード
瞬速
ティシャーナの潮縛りが戦場に出たとき、起動型や誘発型である能力最大1つを対象とする。それを打ち消す。これによりアーティファクトやクリーチャーやプレインズウォーカーの能力が打ち消されたなら、ティシャーナの潮縛りが戦場にあり続けるかぎり、そのパーマネントはすべての能力を失う。(マナ能力は対象にできない。)
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 カードって書いてない。
 ので、戦場にあるもののみを指します。
 戦場にない誘発効果を打ち消した場合、能力を失わせることができません。

墓地にある間は「クリーチャーカード」。
打ち消されても次のターンにまた誘発できる。
唱えたときにパーマネントを除去。
まだスタックにいるので、「クリーチャーカード」。
着地してからは能力を失っていない。

 ちなみにこの書き方、例外的に「プロテクション・クリーチャー」は「クリーチャー・カード」も「クリーチャー」も防げます。
 この場合はクリーチャーという特性そのものを参照しているので、これはどっちも防げます。
 ……難しすぎるだろ! 禿げそう!


『戦場にある限りっていつまで?』


 戦場にある限り、は戦場にある限りです。
 これは《力線の束縛》とかの一時追放系でも良く見られますね。
 「戦場にあり続ける限り、ペケペケする」とかっていうのは、例えば。

 例えば、《粗暴な聖戦士》。
 カウンターがめっちゃ乗ったり、オーラが付いたりしているしているクリーチャーを一瞬でも戦場を放したくないときは、効果の解決前に《聖戦士》を破壊すると、一瞬たりとも戦場から離れない、というのはよくあるシチュエーションだと思います。
 これは《潮縛り》も同じで、効果の解決前に《潮縛り》が消えると、一瞬たりとも効果を失っている瞬間はないわけですね。
 実質的には「マイナスカウンターでタフネスゼロだけど、常在型能力で1以上を保ってる」みたいなときとかは、1を下回る瞬間がないので死にません。

『マナ能力は無効化できないって何?』


 マナ能力は対象にできない。
 そもそもこの一文、無くても無効にできないです。
 マナ能力は起動型能力ですが、スタックに乗らずに直ちに処理されるので。
 起動型マナ能力とは『マナを加える能力で、忠誠度能力でもなく対象を取らないもの』。
 一般的なマナ能力はこれですね。

起動型マナ能力。
土地の大半が持っているのはコレ。
毎度お馴染み最強マナファクト。
これも起動型マナ能力なのでスタックに乗らない。

 誘発型マナ能力とは『なんらかのマナが加わることで誘発する能力で対象をとらないもの』。
 脳筋系大好きなグルール族にお馴染みの統率者、《ニーキャ》もこのタイプですね。

僕も使ってます。
脳筋はいいぞ……!

 このタイプにスタック組めてしまうと、マナ出した瞬間に除去が飛んできたりで面倒なので仕方ない。
 つまり、《ニーキャ》がマナを生み出したタイミングでそれを打ち消すことはできない、ってことですね。
 《潮縛り》が消せるのはマナ能力でないマナを生むタイプです。

対象を取るのでマナ能力ではないので打ち消せる。
誘発条件がフェイズ開始なのでマナ能力ではない。
打ち消せる。
誘発が上陸なのでマナ能力ではない。
そのため打ち消せる。

 マナが出る=マナ能力ではないので、そこをちゃんと分類しておきましょう。

『僕も分からなかった事案』


 ツイッターをゴロゴロしながら見ていて、愕然としたQ&A。

 なんで??????

 解決中に消してるのに、なんでもう一回誘発してんの?????

 意味が分からないまま30分ぐらい考察し、(多分)わかった。
 これは誘発型能力で自身を生け贄にするので、
 《潮縛り》で打ち消した瞬間、「スタック中に自身の能力がなく、聖句カウンターのあるパーマネントもない」ので再び誘発条件を満たしてます。

 分かりにくい?
 例えば。

切削してからリアニメイト。

 その切削でこんなカードが落ちました。

墓地に落ちるとデッキに戻るよ。

 切削で《ウラモグ》を落とした場合、
 効果の解決中なので誘発が後回しになり、本来はデッキに戻るはずの《ウラモグ》も戦場に出せます。
 これは効果の解決中に何かが誘発した場合、その解決中の効果が片付いてから改めて誘発されスタックへ行く。これが原則です。
 誘発型能力はいずれかのプレイヤーが優先権を得たときにスタックに乗り、効果の処理中は優先権を得ることができないため。

 で。
 誘発効果の場合、同一条件の誘発は一度のイベントで一回しかスタックに乗りません。
 《聖句札》の例だと、《潮縛り》で《聖句札》が打ち消されたことで能力がスタックから消えてるので、また誘発条件を満たすという面白現象が起きます。
 (同じ誘発イベントは既にスタックに有るなら誘発しないが、消滅したことで条件を満たす)
 テキストが「打ち消し、能力を失わす」なので、打ち消してから能力を失わすまでに一瞬、タイミングがあります。
 これが「能力を失わせ、打ち消す」だったら起きないんですけどね。
 そのため能力を失っても、誘発条件を満たした誘発能力はいずれかのプレイヤーが優先権を得た瞬間にスタックに乗ります。

 
 ……。
 ……。
 ……。
 これさ、自称中級者の俺も言ってる意味がわかるのに時間が掛かったんだけど、初心者はこの説明でわかるのか?
 


『能力をどこまで失うのか?』


 これを説明しようとすると、特性定義能力・種類別・タイムスタンプというMTGのクソ難しいルールを多数理解しないといけない。
 なんでたった1つの能力を理解するのに高難度のテキストを全部理解しないといけないの?

 種類別でいうところ、コピ・コン・ブン・タイ・イロ・ノウ・パワーの、ノウ(能力)なので第六種。

 例えば試作で出した《肉体喰らい》の護法の誘発に引っ掛けて能力を失わせた場合でも3/3のままです。7/5になったりしないです。
 種類別っていうルールで、コピー可能な値を変更する効果は先に適応される原則となっており、
 試作はコピー可能な値の変更効果なのでそれを適応してから能力を失います。 
 更に詳細な説明は……勘弁してください。申しわけねぇ。

 というわけで、使う方は特性定義能力・種類別・継続的効果・タイムスタンプ辺りを一回ググッておくことをお勧めしますが、分からないときはなんとなくでレッツゴー。
 不安なときは、ジャッジを呼ぼう!
 (丸投げ)

 実際、テキトーに処理するとお互いに気分が良くないし、
 勝つにしろ負けるにしろ、スッキリした方が良いから悩んだらジャッジ。

当記事はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。
画像はMTG日本公式より引用しています。
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題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。
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