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ファウンデーションズ発表雑感

 二年でのスタン落ちから三年制となった、我らのスタンダード。
 突如として発表されたファウンデーションズ
 2029年まで使用可能な基本セットといった商品であるらしいですね。
 

 元々、基本セット(M10とかM21とか言われるパック)で担っていた役割を5年に一度配給する、という形のようですね。
 基本セット自体の是非は、長いMTGの歴史の中でも複数回議論されてきました。
 文字通り、MTGの基本となるカードをスタンダードのカードプールに供給することが目的のパックです。
 ちなみに、パックのことをエキスパンション(拡張・膨張)と呼びますが、これは基本セットの楽しみを拡げるという意味です。
 なので、基本セットのことはエキスパンションとは呼ばない、というのがMTGのルールとなっています。

 基本セットは最初は第〇版とされていたもので、再録禁止カードのオンパレードである原初のMTG、リミテッドエディションも基本セットにカテゴライズされます。 

構築戦におけるサイドボードの“基本”。
環境によってはメインから採用されることもある黒を代表する1枚。
《本質の散乱》と対を成す“基本的”な打消し呪文。

 こういうカードをスタンダード環境に有って欲しいが、わざわざエキスパンションに入れても、持っているユーザーからすると無駄な1枚になってしまう。
 ある程度プレイしていると、《強迫》や《否認》は家に10枚や20枚は普通に有りますからね。
 古参ユーザーからすると、持っているカードばかりなので開封が楽しくない。
 ということは、売れ行きも悪いということで、我々購買層からしても、販売側からしても大して嬉しくないんですよね。
 しかしながら、環境的には存在して欲しい、そういうカードたち。
 欲しいことは欲しいが、商品としては不満も多い。
 ということで、基本セットは2015年のマジック・オリジンにて終了、しかし2018年の基本セット2019にて復活、しかし2020年の基本セット2021にて終了。
 迷走してますねぇ……。
 2021年には一応、フォーゴトンレルム探訪が近い役割だったとはいえ、2022年からはエキスパンションのみの時期が続いていました。
 言うなれば、フォーゴトンレルム探訪の次のエキスパンションであるイニストラード:真夜中の狩り~サンダー・ジャンクションの無法者である現在、
 MTG史の中で、屈指の基本セットのない環境と言っても過言ではなかったわけです。

 で、出たり消えたり、明滅し続ける基本セットの新たな姿、それが今回発表されたファウンデーションズ、ということになります。

 まあ、本当に基本的なカードというならエキスパンションと同じく2年や3年でローテーションする必要はないですし、これは良いことだと思います。
 というか、全く同じアイデアは、SNSでも複数見たことがありますし、筆者自身も考えたことがあります。
 このセットのカードは長く使えますし、デッキの基軸になるカードを買い替える必要がないんですからね。

 まあ、《強迫》や《否認》のようにベーシックなカードたちでしょう、と思いきや、まさかの1枚が含まれていました。

 緑を定義する1枚、《ラノワールのエルフ》!
 いや、マジか。
 確かに基本的なカードなんですが、カード名がラノワール=ドミナリア次元の地名ということもあり、ドミナリアに行かないと再録されないカードでした。
 とはいえ、前回のドミナリア再訪(2022年)である団結のドミナリア~兄弟戦争ではスルー。
 このカードの有無で緑の機能が変わるので再録にも慎重になる、それほどに強力な1枚であり、2018年に再録されたときは緑単ストンピィが環境トップメタの一角として君臨しました。

1ターン目にラノエル、2ターン目にコレ。
シンプルながら先攻にやられると泣きそうになります。
《鉄葉》と同じ弾の『トリプルシンボル3マナレア生物』サイクルの一角。
このカードが横並びしたラノエルを始末できることから、赤単も環境トップクラスでした。

 2マナのマナ加速と1マナのマナ加速の価値の差は歴然であり、追加ターンでもしているのかというテンポ差を生みます。
 マジか、許されるのか……?

 とはいえ、クリーチャーデッキを虐げるカードも再録!

 白単色で打てる4マナの全体除去が再録!
 ラスと呼ばれる全体除去ですが、近年だと多色化したり、デメリット付きで4マナか、5~6マナが主流でした。
 これも大同小異なカードたちが多く、構築的には見向きもされないカードが多かった。
 いうなれば、今後は《審判の日》よりどう勝り、どう劣るかという点で採用の是非が検討できるということですね。

 『なんとかして置ければ勝てる』カードの代名詞が登場。
 
10マナ払えるくらいマナがあるならいらないだろという話ですが、パーマネントを踏み倒したり、瞬間的なマナ加速をしたり、様々な悪いことができます。
 これも確かに“基本”でありながら上位互換が存在していない1枚。
 再録発表がされた《ラノエル》、《審判の日》、《全知》の3枚は、全色が出る《極楽鳥》や再生を許さない《神の怒り》があるとはいえ、本質的にはどれもスタンダードの構築戦で採用候補たりうる基本でありハイエンドなカードといって差し支えのないラインナップなのです。

 更に更に。
 新規カードの発表もされています。

 

 『クリーチャーの横並べの色』である緑白を明確に後押し。
 カラーパイを基本的なカードで補強していくというのも、構築の上で分かりやすいと思います。
 カラーパイの明文化という意味でいえば、青白の《吸収》や赤黒の《戦慄掘り》なんかも候補かもしれませんね。

 《巻きつき蛇》や《倍増の季節》があればカウンターが減らず、そうでなくても単独で9回まで生け贄にできる。
 生け贄系デッキを使う場合に検討に上がりますね。
 これも『九回生き返る猫』という特定の次元テーマではなく、かつリミテッドではウザいチャンプブロッカーにすぎないため、リミテを前提として調整されるエキスパンションでは収録がしにくい。
 そういう意味では、構築戦では問題ないがリミテッドでは問題があるカードの配給方法としても優れているのではないでしょうか。

 更に5名のPWカードも収録されるとのことですが、新録なのか、再録なのかは不明瞭。
 とはいえ、これもストーリー本編では死亡や退場しているキャラクターも出せるのも魅力的ですね。
 5名ということは、過去の基本セットの通例からして、各単色PWが5枚と考えるのが自然でしょう。
 これで二色サイクルで赤黒(オヴ)、青緑(タミヨウ)、赤白(ナヒリ)、緑黒(ヴラスカ)、青白(ドビン)とかだったらビックリするけどね。
 あとは五色(ジャレッド)、無色(ウギン)、白単(ギデオン)、緑単(ニッサ)、黒赤青(ボーラス)とかで、『各色の人数は同じ』とか荒業とか?
 ちなみに、上述の10人は全員、通常のエキスパンションにPWとして収録されればストーリー的にビビるメンバーですね。
 ジャレッドが一番可能性が高そうってのもすげぇな……?

『勝手に収録カード予想会』


 もう、《ラノワールのエルフ》の収録がインパクトありすぎるんすけど、それでは他にどんなカードが入るのかを妄想してみます。
 五つ星評価で《強迫》・《否認》が五つ星。
 四つ星が『入ってもおかしくない』、三つ星は『入ってもおかしくないが、入ったら驚く』。
 二つ星は制作陣の正気を疑い、一つ星は正気でないことを確信するレベル。

チリチリ。
ファクトを二個追放するだけの呪文。
パウパー需要で高額化している1枚だけど、モダン以下で解禁しても良いんじゃね。
三ツ星。
イラストが人気だし、オーラとして強すぎず弱すぎず。
分かりやすい切り札だし、こういうの欲しいよね。
四つ星。
類似するカードは常にあるけど、なんだかんだコレがバランスが良い。
ライフ回復を攻めに使うっていうデザインが明快だし、強すぎない。
四つ星。
俗にいうヘイトベア。
統率者需要で高額化してるし、
再録するところがなさすぎるんよね。
スタンに有っても強すぎないし、特殊なコンボ対策に常駐しても良いのでは。
四つ星。
《粗暴な聖戦士》枠。
だけど、この枠って新規カードでちょっとオマケが付いてきそう。
僧侶自身は複数カードの下位互換なので同型カードは五つ星だけど、本人は三ツ星。
攻防一体のシンプルなプロテクション付与。
構築戦でも普通に強いし、入りそう。
五つ星。
もう常駐してもらってよくない?
そろそろスタン落ちするし、なんだかんだ伝説性とヘイト能力バランス良いし。
四つ星。


パイオニアも待望の2マナロード。
島渡りが令和MTGで受け入れられるか?
三つ星。
基本ではあるが、パイオニアですら許されない汎用カウンター。
多分無理。
二つ星。
《大クラゲ》の上位互換枠。
シナリオ的にも有名人だし、バリンをそのまま起用でも良さそう。
四つ星。
モダンでは《対抗呪文》でお払い箱感がある。
《魂の洞窟》で立ち位置が悪くなったカウンタースペルの救世主は来るのか。
三つ星。
呪文系デッキやコントロールデッキで絶対欲しいし、コレが完成系すぎる。
これか《考慮》のどっちかという意味で、五つ星。
リミテでは絶対強すぎる1枚だが、構築戦ではアリでは?
四つ星。
スタンダードでも強すぎないことが証明されているし、
ファイレクシアへの再訪が難しいので、ここでキホンパーツとして収録したい。
四つ星。
実用性が《ファイレクシアの闘技場》とほぼ同じ。
パイオニアにいても問題ないでしょ。
四つ星。
「何枚でも入れられる」カードを常にスタンに置いといても良いと思うんだ俺。
直近のブルームバロウでネズミがフィーチャーされるし、強さとネタを兼ね備えるカードをチョイス。
四つ星。
4マナ確定除去に2/2が付いてくるだけ。
過去のスタンで活躍したし、カードプールに有れば面白いと思う。
四つ星。
ちょこちょこ再録されてるけど、小回りが利くし強すぎない。
ここは強気に五つ星。
ゾンビ部族はちょくちょく登場するし、
それをまとめてデッキにする意欲を提示していて欲しい。
四つ星。
似たようなのがいっぱい出てるし、
なんだかんだコレで良いよねっていう。
3マナ全体二点修整っていう意味では五つ星だと思う。
《ラノエル》が許されるんだからアリだろ……ってアホかぁあああ!
パイオニアとスタンのタフネス3以下の人権がなくなる。
さすがに二つ星。
入らない理由が思いつかない。
五つ星。
五つ星なんだけど、《火遊び》が標準化される可能性はあるかなぁ、とは。
実際、アレって使用感として強すぎないけど、2~3枚目の土地を探すときとかに使えるし。
対コントロールの最終兵器。
エックス火力のハイエンドだし、スタン環境に常駐しても問題を感じない。
四つ星。
スタン環境には欲しいんだけど、リミテでは強すぎる。
絶対腐らないし、ファクト対策がコモンで気楽にできすぎる。
期待も込めて五つ星。
ゴブリンにもロードいて良いでしょ。
各色のロード、期待してます。
四つ星。
リミテで1枚は有っても良いけど2枚有ると邪魔だなァっていう枠。
構築戦の選択肢としては欲しいんだけどね。
五つ星。
全然入ってて良いんだけど、『構築で使われるのか?』っていう。
マジレスすると1マナ軽くして速攻付けてから出直せっていうレベル。
さすがに令和のカードパワーには付いて来れていないよね。
なんかスターターデッキに新規絵で入ってそう。
四つ星。
なんだかんだバランスが良い。
《ラノエル》があるならトランプル持ちと合わせてトドメの疑似火力として試したい。
五つ星。
バットリとしてはハイエンド。
これと《ラノエル》が揃ってるのはダメだとは思うけど、
緑系のフェアデッキってこれくらいやっても許されそう。
四つ星。
《夏の帳》の下位互換。
パイオニアにもくーださい。
四つ星。
シンプルなメタカード。
リミテッドだと狭すぎて採用できないけど、サイド要員としては環境に欲しい。
四つ星。
統率者でもお馴染み。
《審判の日》が来るならコレくれよ。
四つ星。
今は伝説になって白くなったの(ロラン)だけいる。
緑にもくれぇ……。
《苛性イモムシ》か《打ち壊すブロントドン》かコレのうちのどれかは入るってことで五つ星。
緑のハイエンドのデカブツ枠。
《大蜘蛛》とか収録されても使われないし、基本として使われるラインってこの辺りだよね。
スタンに常にいて良いけど、新規のデカブツたちの存在意義が一気に失われる。
三つ星。
これそのものは弱すぎるからさすがにないと思う。
けど、『対空の全体除去の新規』は入る気がする。
緑のカラーパイなんだけど、新規カードがかなり少ないので。
パイオニアの《血管切り裂き魔》撃墜呪文。
こういう便利枠は何か来そうな気はする。
四つ星。

リミテッドでは強すぎるが、構築戦では許されるであろう1枚。
四つ星。
緑の定番墓地対策。
たまに間違ってフィニッシャーにもなり、バーン相手に1枚で勝つことも。
常駐してください……!
四つ星。


部族統一をする理由を付けられるカードは常駐させて欲しい。
これと《魂の洞窟》だけあれば、マイナー部族で統一する理由が生じるし。
四つ星。
実質2マナで3マナのマナ加速ができるスーパーカード。
強すぎないし、選択肢として欲しい。
四つ星。
コレか《トーモッドの墓所》、《大組始の遺産》辺りから1枚くらい入りそう。
パイオニア目線的には《大組始の遺産》が良いなァー。
四つ星。
何かしろ二色土地も入るだろうけど、
総合的にバランスのいいチェックランドを推奨したい。
四つ星。


 書いてみて思ったんだけど、「かつてスタンで許されていたカード」とはいえ、環境を定義していたカードは数多くある。
 それらが今までは二年、最近は三年間のスタンダードを定義してたんだけど、今回は5年。
 そもそもパイオニアは制定当時は6年分ぐらいのカードプールで遊んでいました。
 今は10年分くらいの蓄積になってきましたが、スタンダード5年間は最低でも使えるということは、それくらいの影響力なわけですね。
 果たして筆者の考察はどの程度的中しているのか、続報に期待です!

当記事はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。
画像はMTG日本公式より引用しています。
ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。
題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。
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