カイワトギレフォビア
会話が途切れることを過剰に恐れてしまう。
会話は終わっているはずなのだが、なぜか次を待っているようなあの変な沈黙がなぜか耐えられない。
沈黙が続くにつれて次第に心臓がプレスされて行く感覚になる。
例えば初対面の人と天気の話をしたとして、「最近寒いね〜」と言われたら、僕は「ハイ」としか返せない。だって寒いこと以上の事実などないから。
しかしそんな返しをしたら会話は絶対途切れる。
側から見れば「ハイ」で会話を終わらせたようにしか見えないかもしれないが、僕の脳内では沈黙に耐えるための大騒動が起きている。
例えばAさんに話しかけられたとして
A「最近寒いね〜」
僕「ハイ」
僕(いやもう次あなたのターンですよ早くなんか言えよ本当に寒いことだけを共有したくて話しかけたのか?そんなどうでもいいことならハナから話しかけないでよってアレ「ハナから話しかけないでよ」ってダジャレじゃんウケルーいやまじでノープランで話して変な空気作らないでよそんな奴とは距離を離して!ってまたダジャレじゃんクソワロたらこスパゲッティ)
という感じだ。
なので僕は自分から天気の話はしない。
ただ、この世には「ハイ」としか返せない話題が多すぎる。
髪型の話もそうだ。「髪切った?」の後はもう「ハイ」しかない。この後盛り上がる展開など何も思いつかない。
自分からそういう話題を振らないでいることは簡単だが、まだそんな仲良くない人にこういう話をされると本当に困る。
何か言わなければ。何か言葉を出さなければ。と思うあまりゲロが出そうになる。
人の前でゲロは出しちゃダメなので結局何も言えなくなる。
トークが途切れてできる変な間すら克服できれば、誰とでも話せるようになるのに。
そこで1つ方法を思いついた。
それは、めちゃくちゃ情報を入れるというものだ。
「最近めっちゃ寒いね〜」と言われても、「〇〇では初雪だったらしいですよ」などの情報を使えばレスポンスができるのだ。
早速実践してみよう。
またここに会話を再現する。
A「最近寒いね〜」
僕「今日北海道では初雪だったみたいですよ」
A「へえ〜」
僕「ハイ」
終わってしまった。
1ターンしか増えなかった。
情報の力弱すぎじゃないか。
髪の話で再チャレンジしてみよう。
流行りの俳優などの髪型の情報を入れておけば永遠に会話は途切れないはずだ。
A「髪切った?」
僕「ハイ」
いやここはしょうがない。
流石に「俳優の〇〇みたいでしょ?」を自分で言うわけにはいかない。一回相手の出方を伺おう。
A「いいじゃん」
僕「………ザス。」
終わってしまった。
「ザス」はもうピリオドみたいなもんだ。
情報の余地すらなかった。
そう。自分で自分をネタにしない限りこの会話は僕にはどうしようもない。
Aさんには話しかけたからには変な空気にならないように頑張ってほしい。
こんなことを思い続けているうちに、人と話すこと自体が苦手になった。
要するに人見知りなのだが、人が怖いのではなくとにかく会話が途切れることが怖いのだ。
そして、そんなに仲良くないけど知ってるなーレベルの人は会話が途切れる可能性が非常に高い。
なので見つけたら基本逃げる。帰り道に会ったら遠回りして帰る。
逆にそのレベルの人に話しかけたら「ファエ"!?」みたいな変な声が出る。重症だ。
「そんなに仲良くないけど知ってるなーレベルの人恐怖症」も併発しまった。
こんなんじゃ社会でやってけないからいつか治したいですね。
ハイ。
(え?これで終わりですよなんで次を待ってるみたいな空気なんですかもう話すことないですよ綺麗なオチつけようとか思ってないんでまあ落ち着けよってアレ「オチつけよう」と「落ち着けよ」でダジャレじゃんウケルーそんなこと言う奴はダレじゃ?ってやかましいわクソワロタマシイレボリューション)
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