ドラマレビュー:「リエゾン〜こどものこころ診療所〜」第4話

こんにちは。はなです。
今回のお話は摂食障害の治療について、そして大人の発達障害のカミングアウトについてとかなり濃い内容になっていましたね。病気の説明は詳しく、それぞれの心情がリアルに描かれていて、神回の予感がして途中から思わず録画をかけてしましました。

まずは摂食障害について、どんな病気でどれだけ危険なのか、そして治療にむすびつける難しさは瀬山先生が解説してくれた通りです。
ストーリーで出て来た患者さんは設定上はかなり痩せていますが、調べるとBMIはおそらく16程度はありそうで、まずは外来通院で良くしようというケースでした。
私が以前勤めていた総合病院では、命の危険がある状態でやっと治療につながった摂食障害の方が何人も入院していました。私も担当することがありましたが、死にそうな目に遭っているはずなのに、「別にダイエットはしてない」と言われてしまったり、うまく言ったと思っても再発してしまったり。今よりもっと未熟だったとはいえ医者の立場から見ても辛いことの多かったです。ドラマの中では、周囲が理解してくれたり、本人が胸の内を話してくれたり、あんなにうまくいくケースばかりでないことはご承知おきください。
ドラマみたいに簡単に治ったら苦労しないんですけど・・・ドラマなのでよしとしましょう。

そして第二のテーマが発達障害のカミングアウトについて。
ドラマ見ている限りだと、どちらもどちらという感じがしました。がんの病名告知と同じで、重要なのは病気があるかないかではなくて、どんな治療を受けるのか、治る見込みがあるのかだと思うんです。その部分を意識してお互いに話をできればより良いカミングアウトになったのかなと思います。
私の友人で在学中にASD(自閉スペクトラム症)と診断された方がいました。
どんな経緯で自分が知ったのかよく覚えていないのですが、人をいじるタイプの友人からは「アスペ」と呼ばれて、いじられながらも、元々の友人関係を続けていたようです。要は「ASDキャラ」を確立させていたわけです。
作中にもあった通り、発達障害という個性を活かして、人生をどんな武器で戦うか、が重要なわけですが、「カミングアウトするかしないか」も「どんな風に伝えるか」も戦い方の一部なのかなと思います。

余談ですが、作中にちらっと「発達障害を振りかざす印象になってしまう」という表現がありましたが、私が診察した人でまさに「発達障害をふりかざ」している方がいらっしゃったのでそのお話を。
その方はお一人で受診されました。ADHD傾向と書字障害のあるという中年の男性で、普段は近くの内科で睡眠薬をもらうそうですが、職場で事務作業が少ない部署にいたい、と診断書を希望されました。訝しく思いながらも一応検査をして「一定の配慮が必要」という文言の診断書を書いたのですが、後日その職場から「意に沿わないと本人が暴言を吐くのですがどう対応したらよいでしょうか」と問い合わせが。どうと言われても検査の予定を立てるときと結果説明のときくらいしか本人には会っていないので、対応を私が知るわけもなくて、「本人が受診したら相談に乗ります。暴言や暴力がある場合は警察に相談してください」とだけ返答しました。そもそも支援を受ける意思のない人に診断書を書くこと自体が筋の通らないことですし、不適切だったのかもしれませんが、書かなければそれはそれでトラブルになりそうな気がしたのでそういうわけにもいかず、いまだにどう対応するのが正解だったのかわかりません。

そうした方が現実にいらっしゃるせいで地道に努力している人の印象が悪くなってしまうのは非常に残念ですね。身近な人には自分の言葉で必要なことを伝えることが大事ですし、特性を活かしながら生活する発達障害の方の存在がもっと広まって欲しいなと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?