ドラマレビュー「リエゾン〜こどものこころ診療所」第3話

こんにちは。精神科医のはなです。
今回も児童精神科が舞台のドラマ、第3話の感想をきままに投稿します。

今回は自閉スペクトラム症の診断に向きあう親御さんを中心に描かれていました。
そして、第3話にして初めてドラマタイトル「リエゾン」について触れられていました。
もともと「リエゾン」という言葉はフランス語のliaisonから来ています。
一般的に医療界で「リエゾン」というと、診療科間での連携を指す場合が多いです。例えば、腰痛の患者さんの場合、椎間板など整形外科的な要因の場合や精神的な要因が関係する場合がありますが、両者が密接に関係して患者さんの症状につながることもあります。そういったケースで整形外科と精神科の担当医が話し合ってどういった治療を行うか相談することを「リエゾン」と呼びます。

今回のドラマでは多職種間やご家族との連携を「リエゾン」という言葉で表しているようです。精神科では特にですが、医療で医者が担っている役割はわずかで、看護師、薬剤師、栄養士、心理士など多くの職種の方の力で成り立っています。医師は話を聞いて必要な支援を考えたり、薬剤を調整したりするのが仕事ですが、療育を実際に行って接する時間が長くなったのが、今回は言語聴覚士の堀りん先生だったというわけです。複数人で足並みがそろっていると、患者さんも納得して支援をうけやすいので、あえて「連携」を表題にしたところが他の医療ドラマとは一線を画すところですね。
ところで、堀先生かっこよかったですね。自分を貫く姿に感銘を受けました。

「療育」という言葉は聞いたことがありましたが、どんなことをするのか、どんな意味があるのか、ドラマを通して教わってとても勉強になりました。
ドラマで紹介されていた通り、療育は「一般的には常識とされることが発達障害の子供は自然に理解することが難しく、そのいわゆる社会のルールを本人が理解できるよう教える」ことが役割です。発達障害の概念が普及する前からこうした「生きづらさ」を抱える人は一定数いたと考えられています。そういった人たちは「普通」の子供達と共に学習し、ある時はからかわれ、ある時はいじめられ、昔だったらもしかしたら体罰を受けたりしながら「社会のルール」を学んだのかもしれません。親御さんの中にはそうした道を通ってきた方もいるのかもしれません。子供を「障害者」として教育するくらいなら、と考える方もいらっしゃるでしょう。「傷つきながら学ぶ」ことを全否定するつもりはありませんが、それは本当に必要な犠牲なのか、そして傷つくのはお子さん本人であることは医者の立場としてはしっかりと伝えなくてはいけないことを痛感しました。



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