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孤独②

 夫の提案して来た「あること」…それは、義実家への同居(間借り)。夫の給料のみで約6万の家賃を払うことが困難だからという理由だった。今思えば、夫はいずれ実家の家が自分達の物になるからと考えていたのかもしれない。育休中の私は、夫がそういうなら分かったと言うしかない。2016年11月の義母襲来から半年が経った2017年5月頃。息子も生まれてようやく半年になろうとし、比較的、心穏やかに過ごしていた為か、その後起こる出来事など予想にもしなかった。

 その提案のすぐ後、5月の義母の誕生日に、クッキーを焼いて義実家へ持って行った。義妹とその子ども達も来訪しており、合計4人の子ども達が仲良く遊んでいる傍、私は義母に尋ねた。
「〇〇(夫)から、こちらでお世話にならないかと言われました」「ああ、聞いているわよ、来月でしょう。お父さんも知ってるよ」
「私、正直に言うと料理がそんなに得意ではないので、皆のお口に合うか心配で。教えてもらえますかね。」
「大丈夫よ。よかったら私が作るから一緒に食べましょう。ただ、うち夕食は8時くらいだから遅いかしらね、子ども達は早い時間にあなたが作って食べさせた方がいいかもね」
「わかりました。子ども達のは私が作ります」
 この時点で、自分達も子どもと一緒に早い時間に済ませる事にしておけばよかったのだが。

 翌月の6月。3LDKから引越し、空き部屋の物置状態だった部屋に荷物を運び入れた。4畳半、二部屋。階段の無いロフトが一か所で、父が買ってくれた雛人形など使用しない物を収めた。それ以外の収納は無し。コンクリート打ちっぱなしの壁が初夏の暑さを倍増させるが、エアコンも無し。冷蔵庫、テレビ、そしてソファーで埋まった一部屋に夫と娘が、隣のもう一部屋に私と息子が寝ることとなった。
 この家ではエアコンがあるのが義弟の部屋と居間だけ。義弟は、毎日居間で寝ている様子だった。夫と娘もいつしか居間で寝るようになったが、私は流石にそれはできない。まだ授乳が必要な息子にはかわいそうに思いながらも、私は暑い4畳半で寝る。
 1ヶ月間は特に何事もなく過ごしていた。キッチンの使い勝手や使用時間、お風呂の時間、何かと不便は多かったが、子ども達は楽しんでいるし、慣れればきっとどうってことないと思っていた。朝、娘を保育所に連れて行く時間は、寝ている義弟を起こさないように気遣い、グズる息子と娘を連れ足早に家を出る毎日だった。


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