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実の父がアルコール依存症と鬱だそうで。


「ねぇちゃん、父のことではなしたいこと
があるんだけど、電話できる?」


ある夜、いつも既読スルーばかりしてくる
弟その2(弟2と表現)からLINEがきた。

「いいよ。話だけはきく。」

弟2が連絡してくる時はだいたい金の話(笑)
だから私は「話だけはきく」と念を押したのだった。

「ちがうよ、お金の話じゃないから笑」

いや、君もお金の話をする時しか姉ちゃんに連絡しないな
っていう自覚あったんかいな。


弟2はとても繊細で、何かとすぐ涙を流す。
その日も涙を流しながら、声を詰まらせてことの顛末をはなしてくれた。

簡単にまとめると、

  • 父が何日も無断欠勤をしてる上に連絡がつかないと父の会社の人から、弟その1(弟1と表現)に連絡があった(父と弟1の職場は親会社が同じ)

  • 弟たちも連絡してみたが、全く繋がらないため弟たち2人で父の家に訪問

  • 見たことない量の飲み終わったお酒の缶が部屋中を埋め尽くしていた

  • ソファーに病的に痩せほそった父親が横たわっていた(パッと見た時は生きてるのかそうじゃないのかわからずショックだったとの事)

  • 起こして会話を試みるも成り立たず

  • リビングからトイレにいくだけの距離もフラフラでまともに歩けない

私もだいぶ涙脆い方だから、泣いてる人がそばにいたらすぐもらい泣きを
してしまうのだけど。
弟2から伝わってくる父親の変わり果てた様子に、
悲しいよりもショックな気持ちが勝ってしまって涙なんか出なかった。

私が知っている、父親はそこにはいなかった。


私が高校生の頃両親が離婚した。
私は母親に、その頃まだ中学生だった弟たちは父親についた。

それから多分2、3年後。
なんやかんやいろいろあって父親は自己破産をし、
弟たちは近くに住んでいた父方の祖父母に引き取られた。

私は、祖父母や弟たちとは連絡を取っていたけれど、
父親の連絡先も知らなければ、どこに行ったのかも知らなかった。

父との再会は、私が社会人になってから。
ある日突然弟が会わせてくれたのだった。

私は別に両親の離婚はもちろん悲しかったけど、恨みに思った事はないし
父親や母親に対しても恨みの感情なんて沸いたことがなかった。
だから、父親に会えて嬉しかった。

その時にLINEも交換して連絡を取り合うようになり、
2ヶ月に1回程度、弟たちも一緒にご飯に行くようにもなった。

昔はギャンブル狂いで、仕事も続かずコロコロ変えて…
という割とダメな感じの父親だったけど、
再会してからはギャンブルもしてないって聞いてたし
しっかりと仕事も同じところで続けてると聞いてた。

それなのに。


「ねぇちゃん、父はもしかしたら鬱とアルコール依存症かもしれない。」

泣きながら、弟2は言った。

「うん、ねぇちゃんもそう思う。」

私と弟たちは、その日からひたすら
アルコール依存症や鬱について調べ始めた。

【つづく】


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