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16.呼吸回数大切だなぁという思い



 看護師のしごとの一つに

『バイタルサインの測定』

というものがあります。

 バイタルサインは人が生きている兆候を指す言葉で体温、血圧、脈拍、呼吸回数に必要な所見(意識レベルや尿量など)を言います。

 主に4つなのですが、この4つの中で「呼吸回数」は一番無視されがちなものだったりします。病棟や施設によっては呼吸回数を記録しないところもあります。でもSpO2は測定してる。測るの楽ちんだから。


 僕はぜひルーティンでもいいくらい、どんな病棟や施設、状態であっても常にやった方がいいと思っています。忙しいので重症、要観察以外できないということもあるかもしれません。けれども呼吸回数を習慣化すると、ぱっと見で「あれ…呼吸おかしくないか…」がわかるようになります。患者さんの体位変換しながら「あれ5回/分なのでは…?あ、やっぱりそのくらいだ」と意識して数えなくてもだいたいの呼吸回数が読めるようになったりします。今まで「呼吸器疾患の患者さん以外では測定しない」みたいな人がいたら今から測定するようにしてみてください。

呼吸を測定する

 Respiratory rateとかいいます。「息を吸ってーはいてー」で1回です。人工呼吸器だと測定してくれます。モニター心電図でも測定してくれますが、貼る位置で「アプニア?!いやいや呼吸してますが?!」と正しく測定できないときもあるので実際に患者さんを観察します。

 聴診器をあてたり、胸郭の上がり下がりでカウントしたりします。
呼吸回数は1分間あたりの回数で測定しますが、1分間しっかり全患者さんを診て測定するのは一般病棟では難しいかもしれません。15秒測定して×4したり30秒測定して×2したりして、「おやおや?」と気になることがあればしっかり測定するという方法もあります。

呼吸回数を測定しますねとは言わない

「血圧測りますね」「検温しますね」と言いますが「呼吸測りますね」と言われると、途端に正しく測定できなくなるのが呼吸の特殊なところです。
 呼吸は意識的に止めたり、深く、浅くなど制御することができます。なので「呼吸測りますね」と言われると意識してしまい、「ふだんの呼吸」から「しようとする呼吸」になります。

 血圧や脈拍を測定する間、体温を測定したり、何気ない会話をしているときに数える。
 もしくは聴診器を持って「胸の音を聞きますね」と言うと患者さんには呼吸を意識してもらうことなく落ち着いて測定できます。

 そして、たとえ記録するのは回数だけかもしれませんが、回数を数えながらいろいろ考えています。
意識レベル大丈夫か(麻薬で呼吸抑制)
苦しそうにしている(表情)
浅くしている
肩で呼吸している
ちょっとヒューヒューしてる(喘鳴)など…
呼吸している数を通して呼吸全体の様子を確認するイメージです。

「んんん?なんか浅い呼吸だ」と思ったら
痛すぎて堪えるばかりにはかはかした呼吸になる。


「あれ?呼吸してない?!」と夜中焦ったら
SAS(睡眠時無呼吸症候群)だった。

「肩で呼吸してる?息苦しいの」と駆け寄ったら
病状説明を聞いて思ったより悪い結果だったのがショックでパニックで過呼吸になっていた。

 など気道(肺、気管支など)が原因ではない、けれども患者さんにとっての問題をみつけるきっかけにもなります。


「息苦しい」は死にそうな感じ


 呼吸困難があるときって「暑い」「痛い」「気持ち悪い」などの他の症状と比べて死にそうな気持ちがあるのは忘れないでいたいです。
 もちろん疼痛も強いものだと生命にかかわる危機感があります。しかしながら呼吸困難感は死にそうな思いにつながる精神的苦痛を伴いやすいのです。

 息苦しいという言葉を聞いたら、もちろん聴診したり観察、検査、データ確認し異常の早期発見や経過をアセスメントすることなどは大切です、合わせて安心できるように「ゆっくり呼吸しましょう」など声をかけていきたいです。それが看護師が人間である意味かなと。

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