見出し画像

⑦朝の情報収集

 朝8:30に病棟に来るとまずチェックするのがナースステーションのすみっこにあるホワイトボード。

 そこには今日勤務する看護師の名前とその横に部屋の番号が書かれている。もちろん私の名前も書かれている。それをチェックして電子カルテをポチポチと操作して「ワークシート」を印刷する。私は患者さんの名前とIDが書かれた表を印刷する。人によっては手書きで書いたり、処置などが書かれたシートを印刷してすることもある。
 ノートパソコンに電子カルテがあるので記録や確認はその都度PCをみた方が最新だし、一見合理的かもしれない。でも看護師の仕事は「とりあえずこうする」を考えることが多い。

 「Aさん午後から〇〇の処置だったな、バイタルサインをこの後測定しよう。そういえばこの人便秘だな、昨日センノシド飲んでいるな、反応は結局あったのかまだ記録がない、前勤務者に確認しよう。そして出ていなかったとして食事量は毎回この位摂取しているからそろそろ出ないと苦しいんじゃないかな、そしたら触診させてもらって、浣腸をしよう。浣腸する予感がする(医療戦闘民族の勘)ならばバイタルサインを測定した流れでそのまま浣腸した方が効率がいいから申し送り終わったらリーダーに伝えて用意しておこう」

という

「とりあえず浣腸するかもしれないけどそれをするまでの流れと思考」

 を書き留めるには、どうしてもカルテだと忘れてしまったりする。
自分の手書きの字で

「4日目、GE」

とメモするだけで先ほどの流れと思考を思い出せるというわけだ。

 これはとりあえずメモする、持ち歩くことができるに特化したiPadなど一人一台病棟用タブレットを支給されない限り続く気がする。そして世の中の先輩たち(30-59歳)のパソコン所持率は81%、タブレットは世帯あたりで44%くらいと低いので例え導入されていても浸透するのに時間がかかることが容易に想像できる。そのためしばらくは電子カルテを見ながら紙にメモをして持ち歩くという文化が続きそうだ。
 情報収集したあとは日勤スタッフで集まってる夜勤から申し送りを受ける。だいたいカルテに書いてあるのでカルテに書かれていないような「嘔気があるので朝の内服がまだで残っています、医師へ報告おねがいします」等の直前のことが申し送られる。紙に「Aさん、嘔気・内服まだ」とメモする。
 本当はこの情報収集なんてせず、サッとカルテ全体を読んだ後、仕事中にその都度電子カルテを見て「次はーさんの〇〇点滴」と確認した方がいい。情報収集は業務の効率化と安全のために行うので時間をかけすぎてもよくないし、情報収集したものではなくカルテを中心に行動できる方がいい。
 こんな感じで朝から一般病棟だとだいたい7人前後この「情報収集しながら今日の自分の行動を考える」ということをしている。
看護師、朝からたくさん考えてえらい。

 8:45患者さんに「本日担当させていただきます。〜です。よろしくお願いします。」とあいさつをして業務を始める。

元気に挨拶を返す人
自己紹介してくれる人
朝食をとっていないのではと思うほど寝ている人
たくさんの点滴に囲まれて横になっている人
肩を上下するように苦しそうに呼吸している人
悲しそうな表情…

 情報収集したときのイメージと照らし合わせていく。どんなに情報があっても患者さんの姿がすべてなんだ。

サポートしていただけたらチョコレートかいます!描/書く燃料!