見出し画像

17.ナースコールの使い方についてメモ

 ナースコールは、かの有名なフローレンス・ナイチンゲールが発明した便利グッズです。当時は紐を引っ張ると病室の前、廊下のベルが鳴って、巡視する看護師がその部屋に入り患者対応をするというものでした。

 このナースコールのおかげで我々は巡視する回数や時間を減らすことができています。

ナイチンゲール先輩、ありがとう。

 そして今のナースコールはベッドのまわりにある呼出ボタンを押すと、ナースステーションにあるナースコールボードが点滅して、音が鳴ります。

 ナースコールボードは壁に部屋番号と患者さんの名前が表示してあるものです。病棟の全体像が分かるようになっています。患者さんが入院したら、電子カルテを入院モードにして、ナースコールボードに患者さんの名前を表示させるのです。たまにカルテとナースコールボードが連携しているものもあります。

 ナースコールボードには受話器やボタンがついているのですがボードの前にいないと対応できません。

301号室の患者さんの体拭きをしていました。302号室の手術後の患者さんが「痛いよ」とナースコールを押しました。
 そんなときにナースステーションに戻らないと気付くことはできません。患者さんは痛みと孤独と不安につらくなってしまいます。

 そうならないように看護師はPHSを持っています。ピッチとか呼びます。院内でしか使えないケータイみたいなものです。医師や他の医療職もピッチはもっていますが看護師のものはナースコールと連携しているので患者さんがナースコールを押すとピッチに部屋番号(や患者さんの名前)が表示されます。
 もちろん他の医療職と同じよう院内専用の電話としても使えます。そしてナースコール側にもスピーカーやマイクがついているので会話することもできます。

看護師ピッチつよい。

ナースコールに出たらなんて言うか

 ナースコールが鳴ったとき

「どうしましたか?」

 と新人の頃に言っていたら

「患者さんは年上の方が多いから丁寧に
『どうなさいましたか?』でしょ」
と言われました。

そのとき、「へぇそう言うんだ…」と納得して「どうなさいましたか?」と今でもつい言っている自分に気付きました。

 ナースコール対応、患者さんに合わせて答えやすいように伝えられるのが大切なので
小児科など人によっては敬語を排除して「どうしたの?」がフレンドリーで答えやすかったりします。
「どうしましたか?」もサラッと聞き取りやすい言葉に聞こえます。ナースコール、そこまでケータイのように音がいいわけではありません。

 患者さんによっては聞こえなくて連打してみたり、「なんか変な音がした」と言われたことがあります。

すみません。

そこから流れた変な音は僕の声です。


 先輩に昔指摘された「どうなさいましたか」と言う言葉。どうしました?より丁寧な感じがします。声をかけてきた人に「なになに?」と様子を聞いたり、そのあとのアクションを要求する声掛けです。

「なさいました」は「〜した(する)」の尊敬語です。

「なさいましたか」に対し「どう」は敬語じゃないですね。

「どうする?」は「いかがしますか?」と言ったりします。

「どう」の丁寧語は「いかが」になります。

というわけでここでの目的はていねいに伝えたいのならば「いかがなさいましたか?」の方が良さそうです。教わったものは半分ていねいじゃなかったということですね。

ナースコールが多い

 「コールが多かった=忙しい」
が一種の看護師の忙しさの指標になっていたりします。

そしてあまりにも鳴るのはストレスになり、対応も急いだり、疲れたりしてだんだん言い方が早口になったり、強い口調になったりと悪影響になります。
 そしてナースコール、例えばアレルギー反応で呼吸困難などの一刻も早い対応が必要なものもあれば「そこにあるリモコンとって」と看護師の専門性とは…?と頭をかかえるものまでさまざまあります。ナースコールでの急がしさにも質がありそうです。
 また多くなるとだんだん「また〇〇のことかな、これやったら行こう」と確認が疎かになるリスクもあります。そうしているといつもと違う、疎かにしてはいけないナースコールを逃すリスクがあります。

 そこで看護師は「不必要なナースコールが鳴らないようにする」というのを考えて対応します。

・リモコン、ティッシュ、ケータイなど、あらかじめ患者さんが使うものを把握しておいて手元に置きとれるようにする。

・頻尿などトイレのナースコールが多ければ自分が余裕があるときに「トイレ今のうちに行っておきませんか」と提案する。

・症状のコントロール:過去のカルテを読み、この時間に連日痛み止めを使っているとき、痛いとナースコールを押す可能性があるのでリハビリ前、食事などの時に予め内服していただく。

・間違えて押さないようにする、必要なときに対応できるようにナースコールを置く場所を患者さんと決める。

・不安や寂しさなどの精神的な理由で呼ばれる場合は一度しっかり対話をする。安心感につながったり、寂しさだと思っていた理由が実は違う側面から改善のアプローチができる。

看護師はナースコールひとつでもこんなに考えながら対応しています。

 どんな理由にせよ「看護師が忙しそうだから」
とナースコールを押さないで我慢したり、
無理に体を動かして自分で対応することがないように、

 患者さんはみんな看護師に何かを伝える権利があります。
安心して入院生活をおくれますように。

サポートしていただけたらチョコレートかいます!描/書く燃料!