どうしてこんなにさみしいのだろう。
いつだってそう、いつだっておなじ。
いったいどこへいってしまったのだろう。
だれも分からない。
きっと、きっと、ぜったいに、きれいなあちらにいかれたのだろう。
うまくたどり着いただろう。
笑顔や目をみれば、すべてうかがえる。
口調を聞けば、すべてが滲みでる。
おちついた声なのに、まるで冷たく聞こえない。
金曜日に流れてきた、やさしくてホッとする声に長い間、癒された。
高井美紀アナウンサーが旅立ってしまった。
彼女とともにいたひとも、リスナーもひとりとして悪くいうものなどいなかった。
なぜは、いつものように、宙を高速で舞って旋回し、すぐにどこかへ溶けてしまった。

アナウンサーが泪の溜まった声で、今日は節分です、明日は立春です、暦のうえではもう春です、仲間のためにも、今日はこの曲を選びました、みなさんも一緒に聴いてくださいといった、流れたのは、森山直太朗さんの「さくら(独唱)」だった。
この曲が発表されて、以来20年ぶりに聴いた。
ラジオから流れてきた、蕾の膨らみを感じるような唄声と歌詞のすばらしさに、じわじわと涙は溜まり、いっぱいになった。
この曲が作られたころは、いまほどには繋がっていなかったから、別れの卒業ソングとして書かれたのかもしれない。
「さくら」はもっと意味の深いものに、今、新化したのだろう。
何か分からないけど、なにかが救われた。
身内が亡くなったとき、中村一義「(For)Anthem」を聴いた。
同じように救われた。
音楽って本当に魔法だよ。

彼女と長くラジオを担当されていた方の涙と、「静かに送らせてください」の言葉が、物語る。
此岸にいるものが想うたび、彼岸にいるものへ一輪の花が届けられるらしい。
明るくて黄色い花🌼が届きますように・・・
リスナーのみんなにやさしい声を届けてくださり、本当に良い時間でした。
ありがとうございました、感謝しています、独り想いつぶやいて、書き終える。

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