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ネット上で自由に閲覧できる自治体史の種類と閲覧方法について

はじめに:自治体史とは?

自治体史を皆さんご存じでしょうか?趣味で片っ端から読み漁ったり、新刊が出るとついつい衝動買いしてしまう方も多いと思います。
自治体史とは主に以下のようなものです。

地方文書(じかたもんじょ)などの地方史料を翻刻して収録したり、地域の歴史について編年順に記述したり、特定分野(人物、寺社、民俗、文化財など)についてまとめるなど、各自治体の正史に位置づけられるもの

国会図書館 リサーチ・ナビ

ネットで公開されている自治体史の種類

インターネットで公開されている自治体史は大まかに以下の3種類に分けられます。

1.国立国会図書館デジタルコレクションで自由に閲覧できるもの

まず、「国立国会図書館デジタルコレクション」とは、国立国会図書館で収集しているデジタル資料を検索・閲覧できるサービスのことです。
ネット上で誰でも自由に閲覧できる図書は蔵書の中でも『著作権など権利状況に問題がないことが確認できたもの』とされています。『著作権など権利状況に問題がないことが確認できたもの』とは、著作権を有する権利者から承諾が得られたものや、著作権法で定められた保護期間を満了した著作物を指します。

著作権法の改正に伴う保護期間の変遷(著作物等の保護期間の延長に関するQ&Aより)

具体的な例として、既に保護期間を満了している大阪市史や、インターネット公開が許可されている新千歳市史が挙げられます。新千歳市史のような比較的刊行が新しい自治体史が国立国会図書館デジタルコレクションで公開されることは非常に稀ですが、対して大阪市史のような保護期間を満了している自治体史は数多くあります。

2.国立国会図書館の『個人向けデジタル化資料送信サービス』が利用できるもの

1で挙げたような自治体史は基本的に刊行年代が古く、現在の情報と一致するとは限りません。そんな時は、同じく国立国会図書館デジタルコレクションの個人向けデジタル化資料送信サービスを利用するという手があります。
『個人向けデジタル化資料送信サービス』とは、下記のようなサービスです。

国立国会図書館のデジタル化資料のうち、絶版等の理由で入手が困難なものを、利用者自身の端末(パソコン、タブレット、スマートフォン)等を用いてインターネット経由で閲覧できるサービス

国立国会図書館、「個人向けデジタル化資料送信サービス」を開始 [ニュース]
デジタル行政

これは2021年の改正著作権法の施行に伴い実現したもので、2022年5月19日からサービスが始まりました。私もこのサービスが開始するのを知ったときは思わず歓喜の舞を踊ってしまいました。
このサービスの対象となるものは所蔵されている書物のうち約153万点。もちろん昭和中期~平成にかけて刊行された自治体史も例外ではありません。詳しく調査は行っていませんが、体感ではかなりの数の自治体史がこのサービスの対象になっていると感じます。お目当ての自治体史を検索してみるとよいでしょう。
しかし、利用者登録できる年齢が18歳以上な点や登録までに5開館日ほどの時間を要する点など、気軽に利用できない側面もわずかながら存在します。

3.各自治体が公開しているもの

最後に、数は少ないですが独自で自治体史を無料で公開している自治体も存在します。
最近ではADEACと呼ばれるデジタルアーカイブシステムが誕生し、気軽に調べることができなかった遠隔地の資料を簡単に閲覧することができるようになりました。革命的な点としては「テキスト検索」が可能であることが挙げられます。神です。

ADEACでできること。あまりの理念の素晴らしさに泣いてしまいました。

ADEACで公開されている自治体史も含め、このnoteでは無料公開されている自治体史を調査し、結果を纏めていこうと思います。

さいごに:自治体史は身近な存在に

日本の全1741市区町村(北方領土を除く)にはほぼ必ずと言っていいほど自治体史があります。「厚くて難しそうな本」だとか「誰も読んでない本」というイメージがある方もいるかもしれませんが、これほど全国津々浦々の詳細な歴史・文化・地理が網羅されている本はとても貴重です。
皆さんもまずお住まいの自治体史を手に取ってみて、自治体史の良さを味わってみてはいかがでしょうか?

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