【読書記録】2024年5月


1冊目:松素めぐり『保健室経由、かねやま本館。〈7〉』

単行本であらすじはないので省略します。

『かねやま本館』シリーズもとうとう7巻です。相変わらずとてもとても面白いです。

今回がこれまでと違うのは、「次巻へ続く!」的な終わり方をしたこと。
これまでは1冊完結型だったから、今回の終わり方には「ええっ?!」となってしまいました。

一平くんはテラジ先輩を助けることができるのか……次巻も楽しみです。



2冊目:東野圭吾『ある閉ざされた雪の山荘で』

あらすじ(文庫本裏表紙より引用)

早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女七名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、一人また一人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか?驚愕の終幕が読者を待っている!

WEST.の重岡大毅くんが主演で映画になったこの作品。小説を読了したあとにアマプラで映画も見ました。

どちらも楽しんだけど、私個人としては小説の方が好みでした。個々に通信手段もなく、建物に監視カメラもなく、個人がハンディカメラも持っていない小説の方の時代背景は「どうして?」を追求する過程を重厚に描いてくれていたと思います。
この事件は芝居なのか?現実なのか?わくわくしながら読み進めることができました。

映画の方は映像が証明できるし、登場人物同士の腹の探り合いもそんなに多くなくて全体的にライトな感じでした。



3冊目:宿野かほる『はるか』

あらすじ(文庫本裏表紙より引用)

賢人は小さな頃、海岸で一人の少女と出会い恋に落ちる。彼女の名前は、はるか。大人になり偶然再会した二人は結婚するが、幸せな生活は突如終わりを告げた。それから月日は経ち、賢人は人工知能の研究者として画期的なAIを発明。「HAL‐CA」と名付けられたそのAIは、世界を一新する可能性を秘めていた——。『ルビンの壺が割れた』で大反響を呼んだ著者による、更なる衝撃が待つ第二作。

4月に読了した『ルビンの壺が割れた』に続き、『はるか』を読了しました。個人的にはこちらの『はるか』の方が私の好みでした。

亡くなった人物と再会しようとして失敗する話で荒川弘さんの『鋼の錬金術師』を思い出しました。
亡くなった人物と同じ生命を作り出すことは肉体の再生であれ精神の再生であれ何かを犠牲にしたり狂わせていくんだな、と思いました。

AIは独自の思考回路を有さないし、嘘はつかないし、感情もない……と賢人は言っていたけど、彼の作った「HAL‐CA」はその全てを有していたし、未来が「HAL‐CA」のようなAIばかりになったら人類滅亡待ったなしだな、と怖くなりました。

あと宿野さんは最後の1ページ、最後の1行で相手を拒絶するのが好きなのかなあ。


4冊目:遠藤かたる『推しの殺人』

あらすじ(文庫本裏表紙より引用)

大阪で活動する三人組女性地下アイドル「ベイビー★スターライト」は、様々な問題を抱えて危機的な状況にあった。尊大な事務所社長、グループ内での人気格差、恋人から暴力を受けているセンター……そのような中で、“べビスタ”はさらに大きな問題に見舞われる。メンバーのひとりが事務所で人を殺してしまったのだ。彼女の罪を隠蔽するため、三人は死体を山中に埋めることを決意して——。

二か月ぶり二回目なんですけど、『卒業のための犯罪プラン』と同じことを書きます(『推しの殺人』と『卒業のための~』は共に第22回『このミステリーがすごい!』大賞の文庫グランプリ受賞作品です)。改題のセンスが無いです。こちらの作品の改題前のタイトルは「溺れる星くず」だったようなのですが、改題前のタイトルの方が作品の雰囲気にピッタリです。

「推し」という言葉はどちらかといえばファン視点の言葉であり、物語の視点もファンが推しアイドルの犯罪スキャンダルを語る感じでなければおかしいように思います。
流行りの単語をタイトルに入れればより多くの人が手に取ってくれるのかもしれないですが、違和感がすごいです。

物語自体はサクサク読めて、面白かったです。
「べビスタ」の3人に明るい未来があってほしい。悪い大人に搾取されたままで終わらないでほしいな、と思いました。
結成4周年の記念ライブのところで物語は終わってしまいますが、きっと終わったあとは3人で警察に向かったのではないかなあ、と。そうであってほしいという願望です。



5冊目:榎田ユウリ『猫とメガネ』

あらすじ(文庫本裏表紙より引用)

順風満帆な人生を送っていた幾ツ谷いくつやは、突然妻から離婚を言い渡され、シェアハウス『蔦屋敷』に流れ着く。離島育ちで純真なひろや毒舌イケメンな准教授の神鳴かんなりなど、風変わりな住人と賑やかに暮らしながら復縁を目指す幾ツ谷だが、神鳴の怪しい行動を目撃してしまい——。不器用な心の交流が愛おしい❝ひとつ屋根の下❞ストーリー。

榎田さんの小説は大体好きなんだけど、これは主人公の幾ツ谷に対する嫌悪が凄かったです。奥さんがアイスコーヒーぶっかけたくなる気持ちがとてもわかる。
彼にも同情する部分はあるのだけど、如何せん性格に難があり過ぎる。

でも、捨て猫を保護してからの幾ツ谷は少しずつ少しずつ丸くなっていくので、「彼の成長物語なんだ……!!」と考えながら読んでいくと楽しめました。

この小説で大好きなのは圧倒的に洋くんです!方言訛りの純粋な男子大学生可愛いです。



6冊目:ホリー・ジャクソン『自由研究には向かない殺人』

あらすじ(文庫本裏表紙より引用)

高校生のピップは自由研究で、自分の住む町で起きた17歳の少女の失踪事件を調べている。交際相手の少年が彼女を殺して、自殺したとされていた。その少年と親しかったピップは、彼が犯人だとは信じられず、無実を証明するために、自由研究を口実に関係者にインタビューする。だが、身近な人物が容疑者に浮かんできて……。ひたむきな主人公の姿が胸を打つ、傑作謎解きミステリ!

先月の読書記録の「おわりに」に書いた、積読で一番の古株を読了しました。その時は3年って書いたけど、2年半くらいでした(大して変わらない)。

元々、海外文学が苦手なので寝かせていたのですが、友人との読書会で大分慣れてきていたのでこの度読了することができました。

本編が571ページもあるのにもかかわらず、面白くてサクサクと読み進めることができました。
ひとつひとつ真実を追いかけていく形になので、ピップとラヴィと一緒になって謎解きをしているようで楽しかったです。

続編も読んでいきたいなあ、と思いました。



おわりに

5月は6冊の読了でした。4冊は積読からの読了なのでまずまずの消化具合……と思いきや、積読が増えています!!!!!
多分、7冊くらい増えてるんです。仕方ないですね。

しかも、いま気になる本が多すぎて書店で爆買いしたい欲が強い。果たしてこの欲に打ち勝つことはできるのか。来月の更新で答え合わせです。



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