面白いCMが面白い理由を知りたくて、絵コンテを描いてみた

『このCM、個人的な直感では楽しくて面白くてすきなんだけど、なんで面白いんだろう？』

っていう疑問を自分なりに解決する手段として、そのCMの絵コンテを自分で描いてみるという試みをしてみました。

ことの発端は二つありまして、ひとつは自分が今関わっているプロジェクトでCM（のようなもの）を作る必要がでてきたかもしれない、ということで必要に迫られたから。もうひとつはTwitterでグラフィックデザイナーの方が「ロゴの分解」というとても参考になる投稿をしており、自分もなにか分解したら理解できるかもしれないと期待したからです。

素敵なtwitterの投稿者さまとその投稿はこちら。分解を説明するその画面も美しい。

#ロゴの分解 20_Google

前回ユニクロが視覚調整が行われていないデザインでしたので、今回は錯視調整の代表格とも言えるGoogleロゴマークを見てみました

今となっては当然のことですが、マークの視覚調整を自らがゼロから行い、自然なデザインに落とし込むことは決して簡単なことではないと思います pic.twitter.com/mQWb3E9sSL

— 坂東進亮｜グラフィックデザイナー (@shinsukebando) May 31, 2020

今日は２件やってみました。

ちなみに、始める前に一つしばりみたいなものを設定しました。それは

・出演者を未定の状態で描く
・曲や効果音、ダンスの詳細な動きは未定のものとして描く

です。この理由なんですが私がこの試みを始めた発端の一つ目にも関係しています。

今私が関わっているプロジェクトは湯水の如く無限にコストを費やせるわけではなく、むしろ結構カツカツの状態の中で企画をする必要があります。

なので、ものすごくお金のかかる有名人さんや、とても魅力ある振付師、作曲家さんはCMの巧拙の要素になるべく介入しないよう、絵コンテには含まずに検証しようと考えました。

（言い訳）有名人や素敵なダンス・振り付けを使うことを否定しているわけではありません。今回は、企画の骨の部分（ストーリーとかメッセージとか）を見極めるためにこのようにしました。ちなみに私の好きなCMはポカリスエットの2017年のCMです。プールで踊っているもの。もちろんすっごいお金がかかっていることは想像に難くないです。でも今の私はそんなたくさんのお金が使えるわけではないので、いいCMから私でも使える部分を抜き出してきてやろうということです。

１：2019年のPayPayのCM

対象にしたのは上の動画の0'15〜あたりから。

さてやってみましょう

PayPayを導入しているお店がドンドン増えている（だからあなたも使おう）、というCMです。
バックで流れる「ペイペイ、ペイペペイペイ」の音楽とダンスが音ハメのようになっていて気持ちいいです。ダンスで出る足音も爽快です。
おもわず「ペイペイ、ペイペペイペイ」と口ずさみそうになって、覚えるしメッセージがとってもわかりやすく頭に入ってきます。
途中、街の中に発生する地図の目的地マークにPと書かれた物体が、最後に主人公さんの顔の前に落ちて顔を邪魔するので、主人公さんが「いや広がりすぎ」と悪態をつくのがオチになっていてクスッとします。

これはかなり音楽・ダンスの力が強いCMだと思いました。要は動きと音楽がマッチしていて、勝手に頭の中に入ってくる感じです。登場人物は他の人でも一応成り立つだろうとは思いますが、最後のオチのパワーが弱くなりそうです。

結論：良質な振り付けや音楽の力はすごい。

２：2016年のアイフルのCM

この動画の2'15〜あたりからです。

かぼちゃの馬車・プリンセスというワードでなんとなく昔話のあの人か〜的なことが頭の中によぎります。でも馬車が壊れて、ホテルのフロントに駆け込むプリンセス？という疑問が続きをみたくさせます。
フロントの受付二人はすぐさま目配せしあい、てきぱきと段取りを進めます。

そして次のシーンで、なんとまるで宇宙船か戦闘機のコクピットのような場所にプリンセスが連れて行かれます。プリンセスの混乱もなんのその、ホテルが大きく開きかぼちゃロケットが空たかく……。

そのあとはアイフルの最短30分、即日審査という言葉に意味をかけた「すぐですから！」というセリフ、靴を忘れるプリンセスに最後まで油断しないホテルマンの鏡。でエンド。

ストーリーが面白く、次の展開が気になるからみてしまいますし、２回目以降もみたくなるいいCMだな、と思いました。複数回みても飽きないCMってすごいですよね。欲しいですよね。

このCMの展開は起承転結というより、起承転・転・転みたいな、ドカンドカンドカンと展開の嵐を軽快に見せているのが面白いところかなと思いました。そこに役者のこれまた軽妙な演技がマッチしていると。

結論：ストーリーづくりは参考になる。すっごいハードルの高いストーリーだけども。

とりあえずやってみての感想

絵コンテを描いたものの、いまの私の頭の中にはまだみた映像のほうが強く印象に残っているので、しばらく時間を置いた後に自分が描いた絵コンテだけ見返してみて、そのときに「面白いな」とおもうか「つまんな」と思うか、というのを検証してみたいな、と思いました。

つまりうまくいけばこの記事には後日譚が発生しますね。

読んでくださりありがとうございました。