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採用は経営の根幹

“新卒の社員が3年以内にほとんど辞めてしまう”  
“30代の中堅社員が少ない”

このような話題は、取引先様や同業者の方、そして他業種の方と話す時にもよく出る。誠に恥ずかしながら、弊社でもこのことに頭を悩ませている。

「新卒者を大事に育てて、ゆくゆくは将来の幹部として会社を担ってもらいたい」という思いは、どこの会社にもあるだろう。当社でもこれまでずっと採用活動の基本方針としてやってきた。

しかし、こちらの思いとは裏腹に5年以内に約7割の新卒者が会社を辞めていく。そのたびに「原因はなにか」と苦悩する。

昨年、下のようなデータを目にした。これを見れば、新卒至上主義がもはや企業側の寝言にすぎないことが良く分かる。そして私たちのような中小企業ほどそれにとらわれがちだ。

マイナビ転職「2019年新入社員1カ月後の意識調査」より

これは「2019年に新卒で入社をした男女800名(22歳~23歳)に、入社1カ月後のタイミングで、会社に対してどのような意識を持っているか調査したもの」だそうだ。

調査結果の精度はどうなのかとか、転職のあっせんを生業としている会社のデータだから煽りもあるのでは、といった見方も必要だろう。一方で、ひとつの傾向としては注目すべきものであると私は捉えている。

この調査によれば、「5年くらい」までで37.1%、「10年くらい」までだと46.1%、約半数の人が「この会社では10年くらいかな」と考えているわけだ。転職への抵抗感は、携帯電話会社を乗り換えるのと同程度なのかもしれない。

逆に「定年まで」という人が2割いたというのは意外だった。もっと少ないのではないかと私は思っていた。

続けて、その理由についてもアンケート結果が添えられている。

マイナビ転職「2019年新入社員1カ月後の意識調査」より

「ライフステージに合わせて働き方を変えたいから(結婚・出産など)」が約半数ということで最も多い。これはコロナ禍以前の調査結果なので、リモートワークなど働き方の選択肢がより広がった現在では、この回答はさらに増えていると思われる。

ここ20年ほどの間で、全体として日本は給料があまり上がらない一方で税や社会保険等の負担が約10%増えた。年々、経済的なやりくりが難しい世の中になっている。

このような状況下では、若い人がより自分にあった待遇や環境を求めて転職したり、働き方を変えるのは当然のことといえる。実際、上の2つのデータは弊社で起きていることとほぼズレのない内容である。

もちろん、単に会社に魅力がないという理由で辞めてしまうのであれば、データ云々の前に直ちに手を打たなければならない。

また、上の調査には出ていないもので「大事にされていないと感じる」という理由もよく耳にする。どう対応するか難しい内容だが、いまの社会そのものや、対人関係に大きな不安を抱いていることが根底にあるように思える。

新卒者を採用し、大事に育てることはもちろん欠かせない。一方で、人々がライフステージあわせて会社や仕事を変える今の時代、経験者の採用をどれだけ力を入れて行えるかも同じくらい重要だ。

一般的に、経験者の採用の方が、新卒者の採用にくらべてかける時間が少なくなりがちだそうだ。経験者の採用においても、丁寧な説明の場とお互いを知る機会を複数用意することが求められる。

また、経験者に対しても、新卒者と同様に、自身のレベルアップにつながる研修の場を用意することが大事になってくるだろう。

そして、何より自社の「働きがい」は何なのか、「働きやすさ」はどのくらいあるのか?これを明確にし、その中でも特に自社が持つ魅力をどれだけ感じてもらえるかどうか。

かくいう私たちも採用に対する考え方、やり方をひとつひとつ見直している最中である。特に経験者の採用に関して、より良い方法、多くの求職者の方に知っていただけるやり方を模索している。ご教授いただる方がおられましたらぜひよろしくお願いします。




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