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非スタジオ環境での『0.1』の判断

こんにちは、Nacoです。

教則本やエンジニアさんのインタビューを読んでいると「○○kHzを0.1dbブーストして…」などと書かれていることがあります。ただ、その違いを聞き取れる人はごく僅かだと思います。また、その能力は聴力とほぼ無関係です。

僕は制作からマスタリングまでITB(In The Boxの略でPC完結を指す)で完結しています。尚且スタジオは持っておらずマンション住まいなので大きな音は出せません。

そんな非スタジオ環境の『0.1』の判断について、個人的な見解を簡潔にご紹介します。

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0.1で音は変化する

まず、0.1で音は変化すると意識することが重要です。更に気を抜かず音をよく聞くことです。神経使うし疲れて大変ですが、常に忘れないように努力します。なんやかんやこれが一番大事なので最初に書きました。

徐々に値を絞る

0.1単位の調整は、一旦大きく値を上げてから徐々に下げていくほうが変化を認知しやすいです。特にサチュレーターや空間系エフェクトは、0.1の差がマスタリングフェイズに響くため、この方法で細心の注意をもって作業しています。

積極的にバイパスを使用する

エフェクトのバイパス(ON / OFFスイッチ)を使用しましょう。差が分かるまで何度も切り替えます。

0.1の差はマスタリングに影響する

クラブミュージックのように、マスタリングでダイナミクスレンジを狭くするタイプの音楽では特に0.1の差が響いてきます。このため、ミックスの段階で見過ごすわけにはいかず、認識しておく必要があります。めちゃくちゃ面倒ですが…。

「存在する」と考えるだけでも良い

これは自分あるあるなんですが、wet1%未満のリバーブ成分は聞き取れなくても存在を信じて突き進むことがあります。マスタリングで聞こえるようになればいいや…との考えです。ただし、これは自分でマスタリングまでやるからこその甘えであり、外注では難しいのではないかと思います。おすすめしません。

録り音が悪いと0.1を認識しづらい

格安レコーダーと業務用レコーダーで録音した音声では、前者のほうが録り音は悪いと言えます(音楽的に良いかどうかではありません)。雑音が多いと相対的に0.1の差は認識しづらくなります。

0.1を聞き取れるモニタリング環境を整える

非スタジオとはいえ、可能な限りモニタリング環境に予算を積むべきです。当たり前ですが、制作用のスピーカーやヘッドフォンは0.1の差を聞き取るために存在します。ラジカセのスピーカーで仕事はできません。根性と理屈ではどうにもできない壁は確実に存在します。その点は諦めて働いて金を稼ぎましょう。

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おわりに

ほとんどのDTMユーザーは0.1の調整を感覚で実施していると思います。または「おまじない」のように…。聞き取れない=変化していないのではなく、値を変えた=必ず変化しているのです。それを肝に銘じ、自分の環境で最大限の工夫をしていくべきです。この記事がそのきっかけになれば良いなと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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