【競馬コラム】オグリキャップの有馬記念になぞらえながら、「羽生善治の5二銀」を味わっている
ハシスポさん、最近ちょっと将棋にハマってます。
これまでは全くと言っていいほど興味がなく、せいぜいコマの動かし方を知っている程度だったんですけど、今は毎日「将棋ウォーズ」でオンラインで対局したり、藤森哲也先生の動画を見て学んだりで忙しい。おかげでまあまあ寝不足気味である。
しかし競馬やサッカー、野球がそうであるのと同様に、どのジャンルにも語り継がれる「伝説」というものがあるらしく、将棋の世界も例外ではない。中でも数々の伝説を築き上げているのがあの男。そう、羽生善治である。
競馬を知らなくても武豊のことは知っている人がたくさんいるように、将棋を知らない人にも広く知られているのが羽生さん。これぞ正真正銘のレジェンドである。当然ながらYouTubeにも動画がたくさん残されているし、たぶん将棋ブログなんかでも熱く語られていることだろう。
僕も、わからないなりに色々な動画を楽しんでいるのだが、中でもお気に入りなのが1988年の第38回NHK杯戦4回戦第1局における「5二銀」である。
当時19歳だった羽生五段が、かの有名な加藤一二三九段(段位は当時)と対戦した一局。序盤から中盤にかけてやや劣勢だった羽生五段が打った「5二銀」は一見するとタダ捨ても同然だったが、ここから一気に形成逆転。またたく間に投了へと追い込んだ「羽生マジック」の一つである。
引退後はテレビにも多く出演し、「おしゃべりなおじいちゃん」という印象を一般層にも広く知らしめたひふみん当時48歳。ハツラツとした姿がカッコいい。
一方、羽生善治19歳。すでに色々な意味でやべえ奴のオーラをまとっている。
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対局の感想を述べられるほどの知識はないのでそこはぶっ飛ばすが、超有名な二人の若々しい姿、そして鮮やかな大逆転勝利が、30年以上の時が経ってもなお目にすることができるのはありがたい限り。そこで思い起こすのが「オグリキャップの有馬記念」である。日本競馬を代表する「伝説」は競馬ファンにとってはもう語り尽くされた感すらあり、毎年の暮れに各メディアでオグリキャップの名を目にすると正直「もうええっちゅうねん」と思うこともしばしば。だが、こうしてみんなが琵琶法師のごとく語り続けることで「将棋における自分」のような新規ファンへの財産になるのだと思えば意義のあることだ。
競馬ファンとしての自分は今、ありがたいことに書籍の出版に携わったり定期的にウェブ媒体に過去の名馬を語る記事などを寄稿する機会に恵まれている。これまたオグリキャップと同じように新鮮味には欠けるなあと悩むこともあるのだが、まだその馬のことを知らない人に届く可能性があると考えればこれほどやりがいのあることはない。さらに言うなら世の全てのコンテンツとは初心者のためにあるのではないかとさえ思うほど。「羽生善治の5二銀」に触れ、不思議と気持ちを新たにすることができた。
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ちなみに将棋にハマるきっかけになったのはこの方の威力です。
ウェザーニュースの檜山沙耶さんが女流棋士の山口恵梨子さんのYouTubeチャンネルにコラボ出演し、「ほーん将棋か、アリやな」と始めてみたらここまで熱中することになるとは。この展開を仕事仲間に話すと「中学生レベルやな」と言われました。うっさい。
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