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【競馬】香港王者ダノンスマッシュの意地を見た、龍王の血がようやく日本のスプリントG1を制覇/高松宮記念振り返り

アーモンドアイやサートゥルナーリアといったクラシックホースを輩出し、すでに種牡馬としてもその高い性能を発揮しているロードカナロア。しかし、不思議なことに自身の主戦場であったスプリント路線では、産駒がしばらくG1を勝てずにいた。

19年の高松宮記念で1番人気に支持されながら4着に終わったダノンスマッシュもその有力候補だったのだが、待望の瞬間は意外にも香港の地で訪れた。昨年の香港スプリントでG1初制覇。日本調教馬でこのレースを制したのは、そう父ロードカナロア以来2頭目の快挙だった。
それから約3ヶ月。今度は「龍王」の後継者が国内のスプリントG1も制覇。過去2年の凡走もあってか単勝1番人気の座はレシステンシアに譲ったが、ゴール前の激しい叩き合いをクビ差だけ先着してみせた。

まさに「香港王者の意地」である。

日本が誇る名スプリンターたちの多くが厚い壁に跳ね返され続けてきた香港スプリントを制した者として、国内のG1で簡単に負けるわけにはいかない。その自覚が、2年続けて振るわなかった「鬼門」への苦手意識を払拭させたのではないだろうか。まして相手は初めての1200m。この距離を走り続けてきた者として、譲るわけにはいかない。

前哨戦に強い一方で本番になると詰めの甘さを見せてきたことで、これまでどこかナメて見られがちなところのあったダノンスマッシュ。しかし国内外のG1を制覇したことで、6歳にしていよいよ風格が漂ってきた。次は再び香港に赴き、チェアマンズスプリントに参戦することになるだろうか。遠征するかどうかは様子を見ながらとのことだが、今の勢いと実力なら、間違いなく好勝負になるはず。



2着のレシステンシアと浜中俊は100%の競馬ができたと思う。相手がそれ以上のレースをした。もうそれだけ。鞍上の勝ちたい気持ちはゴール前の力強いアクションにも現れていたが、わずかに及ばず。
ただ、急遽G1の有力馬を任され、初距離で外枠と難しい条件が揃っていたにもかかわらず、これだけソツなく乗れるのは技術と経験の賜物。まだまだ全盛期のような信頼を取り戻すには時間がかかるかもしれないが、きょうの騎乗も未来へつながっていくものだったに違いない。

インディチャンプも同じく初距離をしっかりとこなしての3着。この日の馬場はどこを通るのが正解だったか見極めが難しいが、福永祐一が選択したのはインコース。ロスなく回れたおかげもあって接戦に持ち込んだ。この内容なら秋もスプリント・マイル二階級挑戦が視野に入ってくる。

上位3頭は混戦ムードながらもきっちり人気通りで、見応えのあるG1になりました。ノーザンファーム勢の精鋭を、ロードカナロアと同じケイアイファームの生産馬が退けたという面でも意地を見た気がします。

そんな中、ドサクサに紛れてトゥラヴェスーラが4着に紛れ込んできたのはワロタ。2走前に淀短距離Sを勝っていたとはいえ、一体どこにそんな力が。あと同じく人気薄ではセイウンコウセイが一瞬やっちゃうんじゃないのと思わせるくらいの手応えで先頭に並びかけてきたのがアツかった。

モズスーパーフレアのロケットスタートは今回もさすがだった。6歳となるとそろそろ引き際との兼ね合いも難しくなってくるところだが、まだまだG1でも軽視できない存在。一方、有力どころで振るわなかったのはラウダシオン。直線入り口で早々に手応えがなくなってギブアップ。ちょっと引っ掛かり気味だったのが響いたか。ライトオンキューは鼻出血を発症。ノリさんは悪くないですw

スプリント路線といえばクラシックや古馬中距離戦線に比べるとワンランク落ちるイメージがありますが、こうして好メンバーが揃って強い馬がしっかり結果を残してくれるとレベルも上がっていく気がします。特に、マイル戦を主戦場にしていたレシステンシアやインディチャンプの参戦が質を底上げしてくれることは間違いないので、今後も「二階級」のチャレンジは続けてほしいですね。

だからこそ、それを跳ね返したダノンスマッシュの勝利もより価値のあるものになるのです。

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