【競馬】だから競馬は素晴らしい..大団円に終わったバスラットレオン狂騒曲

ゴールの瞬間まで、祈るような想いで見守っていた。

春のG1を見据える有力3歳馬に、デビュー間もない新人ジョッキーが乗るということで話題を呼んだバスラットレオンと古川奈穂のコンビ。土曜のお昼過ぎという、いつもならまったりとした気分で眺める阪神6Rが、まるで重賞レースのような緊張感に包まれていた。
いざフタを開けてみれば、好スタートからハナに立ってそのまま逃げ切りという実力通りの危なげない勝利だったが、この馬に携わった全ての人が心から安堵を覚えたことだろう。

まずは何といっても矢作芳人調教師である。レース後には「コントレイルのG1なみに疲れた」とのコメントがあったようだが、それは偽らざる本音だろう。いくら弟子のサポートのためとはいえ、オーナーサイドへ迷惑をかけるわけにはいかなかった。
ルーキー起用の打診にゴーサインを出した広尾レースさんの決断もお見事。サンデーレーシングや社台RHのような高額設定ではないものの、大事な出資者さんたちを代表して運営している所有馬である。今回の件では賛否両論あったことは想像に難くないが、それでも一人の若手ジョッキーの育成に寄与したことは、クラブとしても誇らしいことではないだろうか。

そして、恐らく人生最大級の重圧が襲いかかったであろう古川奈穂も、それに打ち勝ってみせた。「馬の実力が抜けているから勝って当然でしょ」という指摘は真っ当である一方、勝って当たり前の馬に乗って勝つことがどれだけ難しいかということは、競馬を長く見てきた人であればよくご存知なはず。馬のジャマをすることなく、しっかり実力を発揮させた冷静な手綱さばきは称賛されて然るべきもの。

【歴史に残る初の"★"】#古川奈穂#バスラットレオン#師匠といっしょに pic.twitter.com/WbLuI1s4yf

— netkeiba (@netkeiba) March 13, 2021

本当におめでとうございました。マジメに努力してきたからこそ与えられたチャンスだと思うし、この経験が今後の糧になることは間違いない。

それにしても、競馬って素晴らしいですよね。

かれこれ25年ほどの付き合いになりますけど、全くもって飽きが来ることがない。こうして馬と人の織り成す新しいドラマに出会えるわけですから当然と言えば当然ですよね。

めでたく大団円に終わったバスラットレオン狂騒曲。
必ずしもうまくいくとは限らないのが競馬の世界であり勝負の世界ではありますが、たまにはこうして想いが報われる瞬間がやってくる。

だから我々は「想い続ける」ことができるんですよね、きっと。