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競馬

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2021年10月の記事一覧

【競馬コラム】エフフォーリアの悔しさは、エフフォーリアでしか晴らせない

ゴーグル越しの目元の様子を確かめることはできなかったが、わずかな表情の変化や仕草を見ていると、そこには光るものがあることは容易に想像できた。 横山武史、エフフォーリアとのコンビで天皇賞制覇。 先週の菊花賞に続くG1連勝となったが(さらっと書いているがとんでもない活躍ぶりである)、「してやったり」の大逃げで感情を爆発させたのとは対照的に、どこか喜びをかみしめるような姿が印象的だった。 「ダービーのこともあったので..」。 圧倒的1番人気で無敗の二冠を目指した日本ダービー

【お知らせ】星海社新書『競馬 伝説の名勝負 2000-2004』の記事執筆をご依頼いただきました

この度、星海社さんより出版された『競馬 伝説の名勝負 2000-2004』のライターとして記事執筆をご依頼いただきました。 「へっ、本を出したんですか?」と言われそうですが、そうではなくオムニバス形式で複数のライター陣が書いた記事をまとめた一冊となっております。もちろん全て書き下ろし(のはず)です。 こんな驚きの展開が待っていたのも、日頃からお世話になっているウマフリさんからお誘いをいただいたからこそ。他には実績のあるライターさんや、競馬専門紙にお勤めのトラックマンの方なん

【競馬コラム】重圧からの解放、横山武史よこれからも奔放であれ

最愛の相棒・エフフォーリアとのコンビで皐月賞を制し、初めてのG1制覇を成し遂げた横山武史。ところが、二冠を目指した日本ダービーでは勝利まであと一歩のところでシャフリヤールの強襲に屈し、惜しくも「ダービージョッキー」の称号を得ることはできなかった。 もちろん本人にとっては悔しい結果となったが、逆に考えれば無敗や日本競馬最大の栄誉に挑む重圧から解放される敗戦でもあった。それゆえ菊花賞ではこのコンビがのびのびと走る姿が見られるものと思っていたが、エフフォーリアは天皇賞へ向かうこと

【競馬コラム】「マリアライト姉さん」への嫉妬

現役時代からマリアライトをこよなく愛し続けている女性がいる。ガンバ大阪サポーター仲間でもあり、あおくろ競馬部の一員にしてPOGメンバーの一人でもある。 この「マリアライト姉さん」、競馬のことは好きなのだが、いかんせんいつまで経っても点が線につながらない。「あの時のあのレース、みんなで見に行ったやん!?」と説明しても「そやったっけ..?」と反応が薄いのがデフォ。それがもどかしくて仕方がない。 だが、ことマリアライト関連の話については点が線となり面になるのだ。 「伝説の緑風

【競馬コラム】金子真人オーナーの運動会

いやあ、クラス対抗リレーはいつの時代もアツいですね。 今日は午後から娘の運動会観戦に行ってきました。本当なら朝に始まり午前中には終了予定だったのですが、雨の影響で予定変更に..お昼からはゆっくり競馬を見ながらくつろぎタイムを過ごそうと思っていただけに、正直まあまあテンション下がりました。 それでも我が子のみならず、子ども達の躍動する姿を見ていると伝わってくるもんがあります。ダンス系のパフォーマンスとか、ああ一生懸命に練習して振り付け覚えたんやなあとか、運動場が一体感に包ま

【競馬コラム】前哨戦不要の時代に新たな歴史を刻んだ京都大賞典と毎日王冠

かつては秋のG1戦線の幕開けを告げる前哨戦として栄華を極めた京都大賞典と毎日王冠。しかし時代は移ろいゆくもので、近年はG1直行のローテが主流となり、やがてこの伝統のG2に出走するメンバーも手薄に。もちろんG1勝ち馬も名を連ねてはいるのだが、天皇賞で有力視されるコントレイル・グランアレグリア・エフフォーリアの3頭はいずれも早々に「ぶっつけ」での参戦を表明。すっかりその傾向にも慣れた身としては、今さらそこに寂寥感のようなものも感じられなくなっている。 ところが、思わぬ感動と興奮

【競馬コラム】「前が壁!」の黒歴史も乗り越えて..福永祐一がピクシーナイトを若き短距離王へと導く

先日はJRA通算2,500勝を達成し、日本ダービーも4年で3度制するなど、40代を迎え円熟期に突入した福永祐一。だが、その輝かしい実績と同じように「黒歴史」を積み重ねてきたのも彼のジョッキー人生であった。 その一つが「ビッグアーサー前が壁!」の名実況で知られる16年スプリンターズSである。春に高松宮記念を制し、前哨戦のセントウルSも危なげない逃げ切り勝ちを収めたことで単勝1.8倍の圧倒的人気に推されながら、直線で進路を失い成す術なく馬群に沈んだことは記憶に新しい。 演出よ

【競馬コラム】凱旋門賞の思い出-初めての育児とマカヒキの挑戦

今年も凱旋門賞の季節がやってきた。悲願達成を目指す日本調教馬の奮闘を見守るべく、日曜夜のグリーンチャンネル観戦も毎年おなじみの風習となった。まっっっったく競馬に興味のない我が家の奥さんですら、「ああ、フランスのやつね。今年もそんな季節か」と認識しているほど。 エルコンドルパサーの壮大なる挑戦に始まり、ディープインパクトの屈辱、オルフェーヴルの悪夢、そして我が最愛の名馬ゴールドシップの大冒険と数々の思い出が築き上げられていった舞台。それらに比べると、レース内容そのものの印象は