手縫い(続・針仕事)
新宿末廣亭のクラウドファンディング、目標額の半分くらいでしょうか。洒落のような洒落になっていないような。圓楽さんもまた入院だそうで、中々具合良くは行かないものですね。無くなって欲しくない、死ぬまでやる、というのは通づるものがある気がします。
ということで、みんな大好き手縫い。兎にも角にも手縫いで有れば良い、という頃がございました(おそらく初期の王様の仕立て屋のせいだと思ってます)。斯く言う私の制作も、ジャケットは8割5分くらい、ズボンも3割くらい手で縫う工程があります。
とはいえ、手縫いで無ければならない、などという考えはございません。加えると、単純にミシンが力強すぎて扱う生地との相性が良くない場合や、そもそもミシンにあまり得手を感じていないのもあります。そもそも、もっとのんびり作りたい。
側から見れば、手で縫うことに固執しているように見える程、ミシンを使う時間が少ないのですが、これは最初に教わった人の所為でしょう(専門学校の時の先生の針使いやアイロン使いもいけなかったと思います)。それと、仕事に対しての持久力と集中力、精確なことの美しさ、あとは、全ては小さなことの積み重ねだと。小さなところに気を配ることで、目や耳で良くないところに気付かないとダメだと良く言われた気がします。
手縫いといえば、散々擦られている表現をすれば、「甘く縫う」。要は緩く縫います。最低限留まっていれば良いくらいの加減で。ただ、始めから終わりまでを全てこの加減で行くと宜しくない。縫い目が交わるような点の部分周辺では、緩すぎると縫い目が笑って中が見える状態になってしまうので、私は少しだけ堅くしてます。
一本の糸で緩く縫っているので、大体の縫い目は伸び縮みします。わかりやすいのは肩の縫い目で、元々動きやすい部分ですが、お持ちのジャケットの肩の縫い目の上を、肩先と襟元を持って引っ張ってみてください。大半は縫い目は動かないと思います。
だからなんだという感じですが、生地と言っているくらいなので、服の形は成していても、動かせるところは動いて欲しいので、このような方法で作っています。
表からは見辛いようにするのに、手縫いは都合が良いです。今のところはミシンでは表から見えにくくするまでには至っていない(と思う)ので、手縫いならではなところだと思います。
ジャケットの脇や背中の裾の部分にある割れ目(ベント)に伸びない様な処理をするのですが、伸び止めの布をテープ上にして縫い付けるのと、その割れ目の始点となる部分に補強用の当て布をしておく部分が、上の写真の黒い布です。
こういったところも、縫い固めてしまうともったいない気がするのと、教わった師の所為で、手で留めています。便利な接着芯というのもあるのですが、しっかり固まってしまうので、今後も出来る限りはこの方法で、のんびり作っていきたいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?