2つの顔を持つ男(前後編)【埴輪紹介所その18】
今のところ世界でただ一つの、前後に2つの顔を持つ男子埴輪。
後ろ頭というものはない。
なぜこれを作ったのか、とても気になる。
左右の顔が違う埴輪は結構います。
意図的に左右で変えたのではなさそう。
埴輪らしい埴輪に入ると言えましょう。
では彼は、というか彼ら? は? というと、とても珍しく、現時点で1体のみしか出土していない。
ほおに矢羽の彼は顔を上げて語る。
ちなみに、ちゃんと鼻の孔があるよ。埴輪には鼻の孔があるものとないものとがあります。
顔と顔のあいだには下げミズラを結う。
ほおに矢尻の彼はうつむく。
不敵な笑み?
考え込んでいるのか、苦しみに耐えているのか。
口唇裂。埴輪にはけっこうある。
顔は2つあるが、頭部しか出土していない。体はどうなっていたのか、知りたい。
作者が判明している埴輪は1体もないことから考えれば、謎を持たない埴輪はない。それにしても、なぜこんな埴輪を作ったのか。謎の深い埴輪。
和歌山県和歌山市の岩橋千塚古墳群の大日山35号墳出土の男子埴輪。
所蔵は和歌山県教育委員会。保管は和歌山県立紀伊風土記の丘。
撮影は2018年、東京国立博物館の「特集展示 和歌山の埴輪 ―岩橋千塚と紀伊の古墳文化―」で目撃したとき。
いろいろな仲間がいます。鳥とか。
またね。
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