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埴輪紹介所

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はにこが出会った埴輪たち。埴輪との出会いの衝撃をあなたにも。これはと思う埴輪がいたら、会いに行ってみて。埴輪のいる人生が始まります。
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#鳥

こまりんぼ【埴輪紹介所その1】

埴輪紹介所はじめました。 初回はこまりんぼ。 埴輪ならではのプロポーション。 上着の下のトリック。 横から見ると、とっても細い。 クツは平べったい。 でも鼻は高く、立派なミズラを結っています。 弓もユギもないけど、鞆を腰に下げる。大刀も。 肩甲(かたよろい)と籠手(こて)で腕はがっちりガードも、胴体はのっぺりで甲っぽくない。大丈夫か。 冑は謎多し。 いつもこまり顔。ため息が聞こえる。 そんな彼がわたしは大好き。 群馬県藤岡市白石字滝出土の男子埴輪。 所蔵はトーハ

立つ鳥【埴輪紹介所その93】

2本の脚で立つ。 鳥が。 鳥形埴輪が、という点がすごい。 たいていの鳥形埴輪は立ち上がっていない。いわゆるおまる型が多い。 まれに飛んでいる。 そしてまれに立つ。 がっしりと円筒台をつかんで立つ。 埼玉県行田市埼玉出土の鳥形埴輪。高さ79cm。 個人蔵、東京国立博物館に寄託。 撮影は2017,2020年、東京国立博物館にて。 またね。

鵜の目鷹の目ってことで【埴輪紹介所その92】

「鷹」ということになっている鳥形埴輪。 しかし鵜であろうという説が1976年に唱えられている。 くちばしと尾の先端は復元とのこと。そうだったのか。 鷹と想定して復元したということか。 たしかに、鷹にしては首が長い。 しかも、その長い首に紐が結ばれている。紐には色が塗られていたらしい。 しかし、これだけでは鵜と断定できない。 それでトーハクも書き換えられずにいるのか。 魚をくわえていたら? もはや鵜とみなしていいでしょう。 しかし 人物の腕に止まるこの鳥はほんとう

シルエットと顔【埴輪紹介所その56】

長い首は美しい曲線。 体は失われているけれど、 残された顔が埋め合わせて余りある。 美しいだけではないのが埴輪。 伝・大阪府羽曳野市の誉田御廟山古墳(応神天皇陵古墳)出土の鳥形埴輪。 全身が出土した鳥もあります。 同じ古墳から出土した(らしい)のに、顔、特に目が違うのが不思議。 所蔵は東京国立博物館。 撮影は『発掘された日本列島2014』(江戸東京博物館)にて。 またね。

当時おまるはなかった【埴輪紹介所その55】

たぶん。 鳥形埴輪は概しておまる感がつよい。 円筒台との境目の突帯(とったい)のせいかなあ。 水面を表しているつもりなのかな。あるいは地面。 この鳥は目が線刻。 鼻の穴が縦長。 お尻の孔が大きすぎる。 欠けたのか、空気孔としてわざと大きくあけたか。 尾羽がいちおう線刻されている。 全体が白っぽいこともあって、白鳥っぽい。 伝・大阪府羽曳野市の誉田御廟山古墳(応神天皇陵古墳)出土の鳥形埴輪。高さ61.8㎝。 同じ古墳から出土した(らしい)鳥形埴輪がほかにもあります。

その瞳にくぎづけ【埴輪紹介所その53】

実際にこんな目の鳥がいるだろうか? 長い首、平べったいくちばし、体型などから推測するに白鳥か。 白鳥だとして、この目はどうなのか。 くぼみの周りに円を描く目。独特の表情が生まれている。 ちなみに、鳥形埴輪の目の標準型は、円い線刻かくぼみのどちらか一方のみ。 脚を見てみよう。 右足、線刻。ラフ。直しにしてもラフ。 左足。この粗さがまたたまらない。 この埴輪は粘土の色合いや質感などもいい。 ちなみに、おまる形の鳥形埴輪の脚は、立体的なものと線刻とがある。 ちなみ

鵜と魚と鈴の関係【埴輪紹介所その50】

掲げた魚は何の魚だろう。 長い首をのばして、精いっぱい高く掲げている。 長い首に紐が巻かれている。鵜飼いの鵜でしょう。 その紐にまるい鈴がついている。これは埴輪だからかな? 実際つけていたら、潜るのに邪魔そう。 水の中では音が鳴らないし。いや鳴るのか? 鳴ったとして、うるさいだけか。魚に逃げられそう。 鳥形埴輪には珍しく、頭部が空洞。 孔は、くちばしに近いほうから、鼻、目、耳。たぶん。 尾が長い。 筒状。 左右の翼と足は線刻。 ほかでも鵜形埴輪は出土しているが

飛ぶ鳥【埴輪紹介所その3】

高いところを飛んでいます。 正確にはホバリングか。 それにしても、お腹でっぷり。よく飛べるな。 そんなことを言うと 怒るぞ。 飛ぼう。 どこまでも。 いつまでも。 和歌山県和歌山市の岩橋千塚古墳群の大日山35号墳出土の鳥形埴輪。なんの鳥かはわからない。 翼を広げているのも珍しいが、鳥形埴輪でここまで頭が大きいのも珍しい。 ところで鼻の孔が一つしかない。とか言うとまた怒られる。 これでも重要文化財だぞ。 所蔵は和歌山県教育委員会。保管は和歌山県立紀伊風土記の丘。