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和合亮一
2015年10月30日 07:10
静かな音楽のあとで わたしたちは 語りださなくてはならない どんなに それぞれが 小さくて弱い人間で ひとつひとつのことに傷ついているのかを静かな音楽のあとで わたしたちは 語り 涙を拭かなくてはならない どんなに とめどな
2015年10月27日 21:29
黄金の案山子の影に鳩卵黄落す精神の山秋刀魚飯山城を明け渡すのか秋の蝶秋天の牛乳瓶の底青海湖フスマの戸開けてはならぬボラの群れ秋に靴脱ぎ捨てられて無人窟背もたれに滅びの美学生パスタ百舌来るランドセルには丸い螺子脳天に朝陽照らされ蛸壺へ青空に出自変えたき南瓜蹴る冬の雁背中歩いて羽根配り足先に小鬼集まり梅小玉早駆けの馬の茎あり安達ヶ原八重歯抜く男が試す
2015年10月27日 21:34
少年の決意が丘で口笛す草に染まりし白球が飛びアブラゼミのぼりし影が電柱に脱け殻ひとつ稲妻黙る迷うまま小道の先の蜘蛛の足アサガオめぐり蔓と絡まり白雲をポケットに入れ太陽へ虫取り網を振り回せば雹遠雷を耳にせぬまま薔薇の庭の藪に遊ぶクワガタムシよ地図帳を開けば過ぎる靴の音故郷を遠ざかるのかたくさんの足黄金の線路を跨ぎたどりつく少年の夢隣町の丘
2015年10月27日 21:13
丘に行こう 風が少しも吹かないのに暴風雨が続いている あの丘へ行こう歴史の無い鷹の影に追われてここまで駆けてきた 遠くで岩の転がる音が 聞こえない 聞こえない シジュウカラが燃えているから ヤマセミが雨になって降って来るから ヒヨドリがばらばらに切られてきみのナワバリの木漏れ陽になっているから フクロウが俺の瞼の裏で黒く光っているから 光っているから 恐ろしい
2015年10月27日 21:18
消防の鐘は夜空に吊り提げて町の豆腐をすべて食べよう麦秋の血の色をして夜となりそんなゆふぐれ泡吹く蟹よ寒月のどこかに指紋を押印し動物の血は降ってくるのだチョコレート嘗め続ける汝(な)の唇(くち)に濡れる夏雲光る銀紙鶏頭の首をひねりて何もなし首をひねりて何もなし何処へと問わば遠い過去になりすまし空気を抱いた蛙よあわれ 川俣町よ煙る雨つぶやく迷いを復唱し雨を見ているビク
2015年10月27日 20:32
羽根が落ちている あたかも世界の皮膚の上に溜まった 表層的な軽い宣告であるかのように *背後に誰も乗らない大型バスがゆっくりと近づいてきている 真夜中の陽射しの強さはメッセージが届いていないことをこちらに伝えている *影は数多くの湖を飲み込んで巨大なヒメマスの激情を修正液で塗りつぶす *判明しない鉄塔を記憶の無い犀が角を光らせながら倒していく *白い服を着たアス