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さて今夜はどこに泊まろうか

5日間の屋久島滞在を終えて再びフェリーハイビスカスに乗って鹿児島に戻った
谷山港から市内までは以外に距離があった
久しぶりに信号の多い道路を走る
交通量が多いので歩道と道路を交互に進むので神経を使う
次の目的地は霧島連山の韓国岳だ
きょうはどこまで進めるだろうか
姶良市を通り霧島市内までは行きたい
そうすれば翌日には登りが続くとは言え何とか登山口近くまでは辿り着けるのではないかと考えた
鹿児島市内の登山用品店に立ち寄りフリーズドライの食料購入のため寄り道したので龍ヶ水あたりで夕方になってしまった
(市内で道を間違えて少しタイムロスがあった)
桜島が正面に望める道路沿いに蕎麦屋があったので入った

ちょっと古い佇まいの店だった
中では80歳代の老夫婦が曲がった腰で切り盛りしているのには驚いた
天ぷらうどんを注文したのだが
明日は定休日だからとご飯をサービスしてくれた
おまけに隣に座っている客から家で採れた物だからとミニトマトを頂いた
何ともほのぼのとした地元客相手の店であった
数年前に病気で店を畳もうとしたらしいがお客さんから是非続けて欲しいと頼まれて再びカウンターに立つことになったそうだ
朝夕桜島を眺めながら蕎麦を茹でて50年
すごいな
平凡な積み重ねの人生は決して容易なことではない
そう思った

姶良市に入ったところで日没になった
初めての夜間走行
緩やかな山道を越えて国分の街明かりが見えてきた
今夜の宿泊はネットカフェなのだ
そういう選択肢もあるよと知り合った旅仲間から聞いてはいたが私にとっては人生初の体験だった
市内に入り目的のネットカフェに到着した
既に時刻は9時近くになっていた
明るい店内に入りカウンターで手続きを済ませ案内に従って通路を進む
指定の部屋のドアを開けた
狭い!

フロアにはパーテーションで仕切られた個室がズラリと並んでいる
天井や鍵はなし
そもそもカフェであり宿泊施設ではないのだ
文句はない
野宿に較べれば天国である
とりあえず大量の荷物を中に入れた
座椅子は邪魔なのでその上に載せて何とか寝るスペースを確保した
シャワーを浴びた
ドリンクバーで喉を潤す
電話で食事を注文した
まもなく店員さんのノックの音が聞こえドア越しにお盆に載せたカレー皿を受け取った

パソコンのキーボードを横にどかしての食事
何だか勉強机で食べている気分だがこの狭い空間が不思議と落ち着くのだ
何と言うかここで全ての用が足りる心地良さ
足は何とか伸ばすことができている
私の1人用テントと大差はない
むしろ立って出入りできることが快適だ
唯一の欠点は朝になっても日が差さないので
時間感覚が麻痺することだ
そして旅行している感覚が薄らいでいくこと
しかしこれもたまにはいいかな

翌朝店を出ると外はどこにでもある街角の風景が広がっていた
私はゆっくりとペダルを漕ぎだした

#自転車旅 #ネットカフェ #宿泊  

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