![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/130597470/rectangle_large_type_2_d3f51ca2e774cf2939cf2c4440fd08d2.jpg?width=800)
プエルトガレラの一夜
玄関に立つと誰もいない
何度か声をかけると階段の上から人の声がした
女の人が降りてきて今夜予約している旨伝えると一緒に2階へと階段を上がった
そこが受付になっていて周囲にはソファーがあり振り返ると外には大きめのテーブルと椅子があるテラスになっている
左の壁のところにはマグカップ、スプーン、コーヒー、紅茶そして奥にはキッチン
角のテーブルで2人の滞在者がパソコンに向かっていた
再び一階に降りて今夜のベットに案内される
隣のベットにはヨーロッパ人の男性が午睡中であった
起こさないように荷物を下ろしてそっと外に出た
滞在者は何人もいたので一通り挨拶する
だいたいヨーロッパ系の人達だ
もう一度2階に上がる
すると日本人女性と会った
こんなところでと思ったら彼女は私が自転車と共に船に乗っているのを知っていたようだ
彼女の方も安い宿を検索してこちらに辿り着いたようだ
旅先ではお互い一瞬で話が合ってしまうのが楽しい
近くの浜に行こうかと言ってブラブラと歩きながらこの旅のことをいろいろ話し合った
ちょうど仕事を退職して失業中の間旅しているようだ
私もそうして何度も旅をしてきた
もう再び就職するということはないが
旅することで気持ちの整理をしたい
迷う気持ち
そして見えないながらも何かを掴んでみたい
次に向かって進む力が欲しい
そんな思いがこちらに伝わってくる
私の娘と同じくらいの年齢だろうか
数日後にはインドのバラナシに行くそうだ
身軽なザックひとつでの旅
安全で良い旅、出会いがあることを祈る
単なるリゾートホテルならばこんな出会いはきっとなかっただろう
食事を頼んでいる宿泊者はテラスのテーブルで夕食を食べる
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/130596727/picture_pc_d7cd9865b8d7809fec8fe22b153b7a87.jpg?width=800)
隣のベットで寝ていた人はイギリス人で長期滞在者
陽気な人で皆に紅茶を振る舞ってくれた
ティーバックを最後の一滴まで上手に絞り切るコツなど目からウロコであった
紅茶を毎日飲む私としてはとても役に立つ技を習得した
実際はカップから取り出したティーバッグをスプーンの上に載せて紐をぐるぐる巻きにして搾りさらにもう一本のスプーンを上から押し付けるだけの事なのだが
確かに最後の一滴まで絞り出すことが美味しさにつながる
私はこれまでこんな入れ方を知らなかった
イギリスでは常識なのだそうだ
やはり旅はするものだ
食事の間交わされる英語は貧弱な語学力しか持たない私には断片的にしかわからないが
楽しい時を過ごした
ロシア人の若いカップルも同席していた
さまざまな考え方はあるにしろ食事を共にすることはお互いわかり合おうとする一歩ではないか
そう思った夜だった
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?