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FOOT ~2~

目的

効率的な歩行を行うために上半身を垂直位に保ち安定させることが必要。そのために歩行周期全体を通し支持側の安定した抗重力活動が必要となる。安定した抗重力活動は効率的な運動連鎖のもとに成り立つ。足部は感覚情報の入力源であり、運動パターン制御に重要。歩行のような反復運動では足部からの運動連鎖により効率性が担保される。適切なアライメント、粘弾性の獲得は内在筋と外在筋の協調性を改善し、固有感覚情報を増やし体性感覚に基づく姿勢制御獲得と身体図式再構築を目指す。

ポジション

近位の四肢や中枢部が安定していることが条件となる。座位以上の抗重力姿勢では中枢部や近位部の安定性が十分に得られず足部からの治療が外乱刺激となるケースが多い、必ずではないが多くの症例で適応しやすい臥位場面でのセラピーについて紹介する。

セラピー

①Stop standing⇒Active Supine。ベッドの端から足部を出しておくことで足関節ROMが確保され、行いやすくする。

②準備で、立位を意識して非A/S伸展活動を高めるために、アライメント整えたうえで足部背屈・外反位でタオルを八の字に巻く。中枢部の安定が得られにくいケースはロールタオルで下腹部から腹圧をかけて高めておく。

③A/S足部のセラピー準備として、近位部の安定性アライメントを評価、必要に応じて大腿アライメントの修正や活性化を行う。股関節安定性が得られにくいケースは、大腿骨頭を持ち上げ引き出し、股関節の可動感覚に対する大腿筋の協調性を促す。

④膝蓋骨以下のアライメントがSLP上から逸脱していないか評価し、修正が必要な場合はリアライメントする。股関節、膝関節屈曲位に持っていくことでモーメントアームが短くなり治療が行いやすい。大腿四頭筋をモールディングし膝蓋骨がSLP上になるように修正し、膝関節を伸展する中で大遺体前面筋の活動を保持したままベッドへ下肢を降ろしていく。完全に下ろしてしまう手前で大腿後面にロールタオルを入れることで、高めた内側広筋の活動低下を防ぐ。

⑤踵骨のアライメントを修正。足関節底屈と内反方向に1度踵骨を送り込み、アキレス腱と下腿三頭筋の起始・停止を近づけて、下腿内側下方のアキレス腱深層にセラピストの指を入れてゴルジ腱にストレッチをかけることで下腿三頭筋の長さにゆとりをつくり、踵骨を下腿に対してストレートな位置に修正する。

⑥内側縦アーチのアライメント修正。内側縦アーチの粘弾性を確保するため、底屈位の中で小趾側に安定を与え、硬さを取り除いていく(足底腱膜や靭帯が固いケースが多い)。舟状骨、楔状骨を持ち上げて内側縦アーチの高さをつくる。

⑦中足部にある横アーチのアライメントを整える。舟状骨、楔状骨を持ち上げ内側縦アーチの高さをキープしつつ立方骨を下方内側へ送り込み、横アーチである足根骨間の可動性をつくる。ROMが確保したら、タオルの張りを使い、内側縦アーチの高さをキープさせる。タオルを使うことで内側縦アーチの補償以外に立位姿勢時と同様に下腿三頭筋やアキレス腱にストレッチのかかる背屈0度が保持され、内在筋の活性化が行いやすいメリットがある。

⑧前足部にある横アーチのアライメントを整える。横アーチの頂点になる拇指中側骨の下方、MP関節を下から押し上げアーチを作り、拇指を安定させた中でアーチを横へ広げていく。

⑨横アーチの可動性が得られれば、足趾全体を屈曲方向へ誘導する。その後、足趾の伸展や外転を促すと同時に横アーチを広げ、より強い足趾の伸展を促す。

⑩小趾外転筋の促通に向けて、拇指MP 関節の可動性を十分に準備ておく。歩行には前足部の回旋が重要となる。小趾側を安定させた中で拇趾の第1中側骨を把持しMP関節間を広げながらMP関節屈曲、内返し(回内)方向へと運動を作る。拇趾側の中側骨の内返し方向の可動性が確保されれば立脚終期においても拇指を床に安定させて接地させることが出来るため、小趾側伸展と外転方向に働かせるチャンスが生まれる。拇趾の可動性が確保されればタオルを外して小趾外転筋にアプローチを行う。

⑪小趾外転筋は二腹筋で遠位部と近位部で分けて促通する。先に安定として働く近位部(踵骨~第5中側骨)の粘弾性と活性化を行う。この時、拇指側と小趾外転筋遠位部には安定性を与えた中で外転筋の近位部のみに動きを入れていく。粘弾性が確保されれば安定を与え、運動性に働く遠位部の筋腹の粘弾性をつくる。

⑫背屈に伴う小趾外転筋の活動を促していく。小趾側を安定させ、拇趾を内反させ、小趾の伸展、外転から足関節の背屈外反の運動を促通し下腿三頭筋の筋紡錘とゴルジ腱への入力刺激を促す。動きを反復し時間的荷重でさらに強い伸展を促すことで、伸筋へのフィードバックとCPG(立脚期~遊脚期)が駆動される。足が空間へ運びやすくなるとcrook lyingの姿勢にうつる。

⑬さらに小趾外転筋の活動を促していくために、足関節背屈、外反作用のある腓骨筋の活性化が必要となる。拮抗筋である内側腓腹筋をde-weight(筋腹を一番高い位置へ)することでゴルジ腱への伸長刺激を促しⅠbニューロン経由の自原性抑制に伴う2~4趾4の伸展が起こりやすい状態を準備する。前脛骨筋のやや外側にある腓骨筋を持ち上げ、踵に体重を移していくことで外側コンポーネントの活動が得られやすくなる。下腿をわずかに外旋させ体重を内側へ送ることでより強い外反、背屈を起こしやすくする。内側腓腹筋と腓骨筋の筋腹を集めている手をキープし続けることで外反、背屈方向の筋活動が保ちやすくなるためレンショウ細胞による反回抑制の影響もうけ遊脚相の誘導が行いやすくなり足を空間へ持ち上げることが可能になる。