雰囲気漂う「むぅかぁ~し、昔」-「あにまりんぐ わん」(たかの宗美著/宙出版)


「むぅかぁ~し、昔」
あの2人。共に故人となったが、常田富士男&市原悦子が語りの名物アニメの、声が聞けて来そうな雰囲気の作品である。
「かれこれ今から17、8年前」
あろがきで著者は書いている。
初版を見ると、1994年。平成も最初の頃だ。
既に伝説、2人の声すらもはや過去となりつつある「漫画日本昔話」
坊やよい子だねんねしな、の主題歌も印象的だった(余談だが、作詞は川内康模<こうはん>。更に余談を加えると、本名は潔<きよし>である)番組も終盤の頃であろうか?

「とても気に入っている」
「いつか自費でもいいから出してやろうと思っていた」
作者自ら言うように、素晴らしく又、面白い。
じんわりほのぼのするものでもある。

大きな海に浮かぶ島。
「ひょっこりひょうたん島」ではないが、「狭い島」
一体、何種類、どれだけの動物ヒト)が生活を共にしているのであろう。
ざっと300、いや500。1000には満たないような感覚だ。

喜び悲しみ哀しみ楽しみ。
季節と共に、事件が起こるし、「イヤな奴」もやって来る。

そういう様々な感情を、楽しい描き文字と共に綴った作品だ。
平成22年現在、愛犬は他界。
庭で保護した猫+その後増えた猫。
同じく庭で保護したハト&諸々の鳥類。
「餌代だけでも凄いよね」
「売れっ子漫画家としての仕事もあるのに、いちいち面倒
なんて見ちゃいられないわよ」
「大変だわさに決まっている」
かつて文鳥とインコを飼っていた身とは、思われない自分発言
に吃驚してしまうのだが、獣系。
ホ乳類。
人間に近い動物を飼うとなると、話が全然違って来る。

「オトコのいる部屋」「ポチの群れ」
以上の作品を読むだけでも、動物に対する作者の愛情が伝わって来るが、
架空の世界。
動物だらけといった架空の島の住人(?)達に愛を注ぐのも、非常に長け
ているようだ。
森下裕美の「仕事でおサル」
須藤真澄の「ゆず」
にも同じ傾向が見られるが、厳密に言うと違って来る。

現在、作者の分野の4コマではなく、短編集。
一寸鳥山明に似なくもないような描き文字と共に、原点を見たい。
おまけに入った4コマに、サービス精神を垣間見る。

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