茄子から、お金は生えません。


群馬弁で「返す」を「なす」という。恐らく「無く」
ナッシング。「有る」ものが「無くなる」。「有」から「無」へ。
「形あるものは壊れる(なくなる)」
ソクラテス(だったっけ)の心境である。
「~を振る」も「おっぷる」などと言って来る。
流石、群馬の心意気だ。全体的に、半音下がる。茨城県。
マギー司郎のような発音だ。

確かにわたしは群馬の出身だが、発音にそれはない。平坦に喋る。
言語形成期。12.3才迄に住んだ土地の言葉を、知らずに人は発音するとの旨を指すけれど、当時は既に南関東であったからだ。

面白話がある。たまたま電車で聞いた話だ。某人が、友人から借金を申し込まれた。渋っていると、仕切りに連呼。

「なすからかねかせ、なすからかね、なすからかね……」
(返すから、お金貸して)

(茄子からお金がはえるわけないじゃん)
(欲する余りに、おかしくなったか)
(哀れよのぅ)(気の毒に)
半ば本気で思ったそうだ。
一般に、要求を強める時、群馬県人は、口調が強まる。
「なすからかねかせ、なすからかね、なすからかね……」メチャクチャな早口に、一層、思いを強くした。

「言葉を正しく使いましょう」
「キチンとした日本語を」
言われちゃいるけど、基本的なものではどうしようもない。
「言葉」より「方言を正しく理解しましょう、使いましょう」
にした方が、いいですなぁ。

茄子から、お金は生えません。

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