ボロ部屋だって、おニューに変身

父が他界した後、四拾九日前だと思う。
春先であった。遺品整理の前にと家具移動。大方の家具移動を、わたしはやり始めていた。
兎にも角にも、掃除がしにくい。風通しが悪い。家具と壁との間に隙間が、全くない。多少あっても、お情け程度。
後ろ側に落とし物をしても、取る気が失せる。最初は頑張る。物差しを、ゴルフクラブ等を差し込んでみても取れないと悟ると、「いいじゃん、又で」。この会話を前々から、由々しく思っていた。
(春先だもの、やりましょうかね。四拾九日の前に)
珍しくやる気だ。

座卓×2、ソファー、パソコン台に、テレビ台。ぎっちり詰まった本棚に、背の高いローボード。居間を見てもこれだけある。隣の和室は、洋服箪笥に和箪笥が、でんと構えて待っている。(しょえ~っ!)
全部いっぺんは無理だから、居間だけでも今日、やりますか。
「おんどりゃ~っ!!!」の心意気。かつてのアニメ「キン肉マン」にも似た雄叫びだ。

中身を出す。軽くする。本体のみになったそれぞれを、壁から離して置いてみる。(あっ、そっか)我ながら名案。グッドなアイデアを思いついた。
掃除をしやすく=掃除機の吸い込み口が、入らなければいけない。自由に動かせた方がいい。持ってきて、実際にしてみる。
う~む、もう少し前か。多少の余裕をもたせ掛けよう。(あっ、汚いじゃん)(埃だらけだねぇ)確認しつつ、掃除をする。
洗濯ばさみやら、メモ用紙やら、鉛筆やらが出て来た。(ふうっ)長い事、お会いしていませんでしね、挨拶しつつゴミ箱へ。
どうにかこうにか皆、出来た。(ゲッ!)再び中身を入れる作業がある。空になった本体に、再び入れる。居場所(?)を与える作業である。
くっそぉ~っ!暫し休憩。アイス・コーヒーにクッキーさんで栄養補給し、再び「おんどりゃ~ッ!!!」キン肉マンが如くに燃える。

ヘトヘト、汗だくになりつつも(ん?)。進展があった。
何より父の病気が優先。

 ♪毎日、毎日 わたしら「鉄板」ならぬ「病院」に、、、(後略)

替え歌が出来てしまう程に、わたし達姉妹は、病院に行っていた。
基本の面会+オプション(?)。「又、具合が悪くなった」「手術の説明」等々。時間もまちまち。1日に3回、行った日もあるが。片道軽く1時間半。
基本的には、わたし1人で大丈夫だったが、段々「ご家族でいらして下さい」病気の進行と共に言われる回数が多くなった。綺麗好きなわたしは、それでも掃除はしていたが、ざっとレベルがやっとこだ。埃に対して、寛大になった。

葬儀が済み、束の間の休息(?)。四拾九日まで時間が出来たから今がチャンスとばかりに始めただけである。
けが、ボロ部屋。汚部屋(おべや)とまではゆかないけど、それなりにボロ部屋が、おニューに見える。新鮮なのだ。
(さて、と。今度は四拾九日)全ての部屋が終わった瞬間、改め弔う気持ちが湧いて出た。
                               
                              


#一歩踏みだした先に

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