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夏の執筆BGM➂~不思議な作品のとき~

前回の記事「夏の執筆BGM②」では、不気味な作品に合う西洋のクラシック音楽を紹介した。
今回は日本の民話のような、不思議な作品を作るのに合う曲を紹介する。

厳かでありながら、霞のように軽い「雅楽」

風のように吹き抜ける笙、尾を引いて泳いでいく龍笛、足音のような鈴……雅楽ユニット「天地雅楽」の曲は、故く良く、新しい。
まるで長い時を経て語り継がれた重さを持ちながら、子どもでも親しめる伝説のようである。

上でリンクを貼ったのは私のお気に入り「天香具山」であるが、もう2曲紹介する。

ひぐらしの鳴く中で聴きたい1曲

馴染みのある「とおりゃんせ」が妖しげにアレンジされた1曲。
前回の「フォルラーヌ」同様、ホ短調を基調としているので、曲の温度が低く感じられる。
怪談とまではいかずとも、少し不思議な物語や詩を書く際の雰囲気にはもってこいである。

切なく、かつ力強い、竹のような1曲

「とおりゃんせ」のような幽玄さとは少し違い、芯の強そうな印象を持つ「三輪 桜井」。
前者が煙るような水墨画なら、後者はピンとした黒地に散りばめられた蒔絵のように思える。

楽器数もそれほど多くなく、素朴な作品を作る時にピッタリな楽曲である。
温かさを感じる調なので、筆の乗ってきた夏の夜に聴きたい。

雅楽を聴いて、言葉の扱いも繊細に

「言霊が宿る」とよく言う。
私も実際、それを堅く信じている一人である。
御霊を宿すような音色・御霊に捧げるような音色を聴くと、自分の書く言葉にも、いつもより強い何かが宿る気さえしてくる。
そこからまた言葉を扱う責任感が芽生え、詩作や創作が繊細な作業であると再認識する。

暑い夏、勢いに乗って書くよりも、雅楽で頭を冷やしながら励んでいきたい。

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