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【産業保健】製造現場を経験して学んだこと

男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回はここ数ヶ月の製造現場での学びについて書いていこうと思います。

産業保健師で製造現場とは

疑問に思われた方もいると思いますが、産業保健師なのにどうして製造現場で働いていたのかについてです。

これは産業保健師に限らず、新卒社員が製造現場の大変さを身をもって知りましょう、という研修のひとつです。
ただ、その期間は研修の中で一番長く、夜勤もあります。

本当に普通の製造社員と同じように仕事をするわけです。

弊社では数ヶ月間でしたが、他のメーカーでは1ヶ月のところもあれば、1年と言うところもあるようで、結構違いがあるみたいですね。

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作業の痛みを実感

まず作業に入ってみて感じたのは身体への負荷が大きいことです。

10時間を超える立ち作業、手作業。
最初はそんなにキツくないな、と思っていた時期もありましたが、実際工程に入ってみたら手腕腰が痛くて痛くて…

さすがに1ヶ月もすれば慣れてきましたが、結局キツさはずっと感じ続けていました。

健康管理室で作業起因の筋骨格系障害をフォローすることはあったのですが、実際の現場で体感するとその成り行きなどがはっきりとイメージできました。

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夜勤のキツさ

本格的に夜勤をやったのも今回が初めてでした。
これには本当に心身がやられましたね…^^;

まず疲れが全く取れなかったです。
どれだけ寝ても、起きたら寝る前と身体の疲労感が同じなんです。
あれ?寝たっけ、と自分でも疑問に思うくらい疲れが残ってましたね。

次に、メンタル面が辛かったです。
疲れが取れていない、ずっと同じ作業の繰り返し、で苛立ちと嫌悪感が結構強く出てました。
「なんで自分こんなことしているんだろう」
とか作業しながら何度も思ってました^^;
3〜5時が一番強かったですね。

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人間関係が体育会系

自分は高校の時は体育会系の部活に入っていなかったのですが、なんとなく体育会系ってこんな感じかな、というイメージはありました。
製造現場はまさしくそのイメージ通りで、その特徴をあげていくと、

・班長の号令が体育教員
・プライベートなことでもずかずか聞くし、ずかずか言う
・下ネタ大好き
・気さくな人が多い
・団結力が強い

これには救われた側面と嫌だと感じた側面の両方ありました。
救われたのは、他部署から来た人間にも関わらず、その輪の中に温かく迎え入れてくれたことです。不慣れな環境の中でこの待遇はとても心が安らぎました。
逆に、プライベートなことをよく聞かれたときはちょっと困りました。自分はあまりプライベートなことを職場に持ち込みたくない人間なので、自己開示を強要されているようでどう返せばいいのか結構困りました。

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頭は使わない(使えない)

健康管理室での業務はデスクワークで結構頭を使います。保健指導や面談ともなると、話の中で対象や状況を把握し、次に何を聞くのか、何をどう伝えるのか、と秒単位で頭を動かします。

しかし、製造現場では基本的にそこまで頭をフル回転させることはありません。
もちろん、不良品がないかをチェックしながら作業するのである程度頭は動かしますが、一回の作業時間がめちゃくちゃ長いので、集中力が必ず切れ、頭を働かせられなくなります。
この現象に最初は慣れなかったのですが、途中からはこの方が楽なことに気付きました。
与えられた仕事・ノルマを考えることなく淡々とこなす。
今思うとすごい危険な思想ですし、他の従業員が必ずしもこうはなっていなかったと思いますが、このようになる可能性は秘めていることが分かりました。
脳死で働く、というのは、ものすごく楽な反面、それ以外できなくなる恐れがあるので、自分はやはり頭を動かして、考えながら仕事をするのがいいと感じました。

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まとめ

自分が今までやってきた仕事とは仕事の質も、時間も、価値観も全く違っていました。
ただ、何より強く感じたことは、
健康障害のリスクがものすごく高い働き方である、ということでした。
会社側ももちろん、必要な配慮は講じて実施しています。休憩時間の厳守、体調管理、作業負荷軽減のための環境整備など、自分が工程に入って様々な取り組みがなされていました。
しかし、それでもなお、交替性や作業による睡眠、筋骨格系障害、循環器系障害、ストレス、生活習慣の乱れ(←これが一番大きい)は多く生じています。
今回は数ヶ月という短期間でしたが、製造の従業員さんたちはこれを何十年にもわたって勤めていくことになるわけです。
当然健康障害のリスクは高くなります。
今回の製造現場実習は健康管理室はそんな方々のために存在している、ということと、その健康障害を予防するにはどのようなことが必要なのか、を自分なりに考えるいい機会になったと思います。
今回のこの記事が製造系の産業保健師の方のみならず、産業保健師希望の方、また製造という働き方を知らない看護師や看護学生の皆様にも知っていただけたら幸いです。

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