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8050地域情報交換会【2022年4月20日】

八王子市高齢者あんしん相談センター子安のセンター長中村真理氏に「孤立を防ぎ、つながり続けていくために」と題して八王子市の事例をご報告していただきました。

八王子市高齢者あんしん相談センター子安
八王子ケアラーズカフェわたぼうし https://www.koyasu-anshin.jp/cafe/

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中村さんからの発表
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▼当日発表資料は下記よりダウンロードできます。

1.発表テーマ
孤立を防ぎ、つながり続けていくために
~ひきこもり支援から考える~

2.八王子市高齢者あんしん相談センター子安について
・平成24年6月に市内13番目に開設(市内21か所)
・八王子の高齢化率は24.46%
・同建物内で常設の認知症家族サロン(ケアラーズカフェ)を運営(八王子市補助事業)

3.8050について
・センターの仕事をしながら8050問題に直面している方の支援をしている。
・8050「問題」とは本当は語りたくない。「問題」にしているのは、この社会。
・8050「問題」と言いたくないのは、「問題」をひきこもる本人や家族に転嫁されない様に。

4.複合的課題とは
現象として「個人や世帯が抱えるリスクの複雑化・多様化」が起きている。
その背景としては、共同体(血縁、地縁、社縁)の脆弱化している中、課題別に対応した法制度の限界を迎えている。

共同体の脆弱化についてはなかなかすぐに解決できるものではないと思うが、「学校カースト」「就職氷河期世代」「価値観の多様化」「生きづらさ」といったキーワードを丁寧に紐解くと、解決の糸口が見えてくると感じている。

5.8050について
・中高年ひきこもり者数は61.3万人、若年層は54.1万人と調査結果があるが、実際はもっと多いのではないかと推測している。
・退職をきかっけとしてひきこもる人の増加、ひきこもりの長期化のリスクも散見し、一度つまずくとなかなか戻れない現状がある。

6.重層的支援体制整備について
・重層的支援体制整備事業は相談支援、参加支援、地域づくりを柱としている。
・東京都は八王子市と世田谷区が手を挙げている
・相談支援機関として求められているのは、属性を問わない相談支援・断らない相談支援・継続的な伴走支援。大切なのは「支援者がどこまで当事者や家族の目線に立てるか」。

7.相談支援者として心にとめておきたいこと

・学校や仕事に行けない、行き渋る
・家族や支援者は無理に本人を引っ張り出すのではなく、自発的に出かけたくなる様な情報を本人の手の届きやすいところに、例えば中間的居場所や通いの場などをさりげなく置いておく様にするなど。
・家族支援が重要なのは、本人の異変を最初に察知するのは家族であり、多くは家族からの相談により相談支援機関につながるため。家族による本人の理解とともに、家族自身が自分の生活を大切にして健康でいることも本人に良い影響。長期化して8050に至る前が大切。
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質疑応答
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Q1:当事者や家族に対し効果的な情報発信について、八王子市での事例があれば教えてください。
A1:当事者から聞いた話だが、SNSやサイトだと情報をキャッチしやすいと聞いたことがある。自治体のホームぺージは必ずしも見やすい発信をしていないので、今後も働きかけていきたい。

Q2:八王子市におけるはちまるサポートは社協の中にある?
A2:はい。
多様化・複雑化している事例については、重層的支援体制会議体だと課をまたいだ検討や個人情報の保護も厳重にできるのでうまく活用していければと思う。

Q3:インフォーマル支援の具体例を教えてください
A3:福祉サービスを行っている事業者等はフォーマル支援に捉えられるが、家族会などとのつながりがあり、インフォーマル支援とのつなぎ手であると感じている。

Q4:アウトリーチに至る時に留意していることとは?
A4:アウトリーチに対し、本人がアウトリーチへの「同意」をしているのかが大切な視点。同意を欠いているアウトリーチを行うと、家族間での軋轢を生んでしまう。
若者総合相談センターのスタッフから「本人にはひきこもる権利がある。支援者はそれは忘れないでほしい」と言われたのが印象的だった。

Q5:他自治体のひきこもり情報の発信方法で参考にしているところは?
A5:小平市のホームページはとても丁寧に情報が描かれている。
居場所づくりにも工夫を凝らしていることがよくわかる。小平市に限らず、近隣自治体や社協のホームページを検索してみると参考になる情報発信がある。
「当事者だったらどういうキーワードで検索するかな?」という視点を持って検索してみると、情報発信方法の参考になる。


Q6:重層的支援体制支援に手上げをしたきかっけは何か?
手を挙げて話しが進んだことがあったのか?
八王子市で支援体制を組む時に旗振り役は誰だったのか?

A6:手上げをしたきかっけは、八王子が中核市であることが理由としてあるのではないかと思う。市役所の各課を軸に社協CSW(コミュニティソーシャルワーカー)、包括が少しずつつながりを作っていく動きがあった。
重層的支援会議は、当事者の同意がないと開けない会議体。去年度は1件しかなかった。旗振り役は社協。所管課である福祉政策課が連携を進めていった。
同意がないと開けないので、「声を挙げられない人」は、支援者会議で行っている。

Q7:多セクションが絡む会議体の進め方はどのように進めているか?
A7:関連する人が増えると、「会議の仕切り=ファシリテーションの技量」が必要になってくる。参加者の役割を理解している人が会議を進行する必要がある。

Q8:支援会議について、そのケースに必要な人を集めるとお話ししていたが、小さな地域で開くのがいいのか?協働をするという意味でもう少し多職種の人が集まれるサイズ感にするのかを教えて欲しい。
A8:身近な地域で行われる小さな支援会議をすることは大切なことだけど、そこでうまくいかなかったケースもある。1年間毎月会議を重ねる中で感じたのは、小さい地域での会議と共に、多セクションを絡めた大きな規模の支援会議を交互に行いながら互いの躓きポイントを探るのがいいのではないかと思う。

Q9:インフォーマルとフォーマルをつなぐためのシームレスなつながりをどうやったら作れると思うか?
Q9:顔合わせ(出会い直し)を丁寧に行うことが大切。重層的支援会議を1年間開催し顔合わせを進める中で、知っているつもりだけど実際に会ってみたら知らないことが多かったことに気が付いた。相手が持っている機能や役割を「体感的」にわかることが、協働をする上で大切。家族会にしても各組織がどのような動きをしているのかが分かっていないこともある。

Q10:町田市には、引きこもりに関する支援体制ネットワークについて示した図があるが、町田市の取り組みに対しどのように考えているか?
A10:評価として確固としたものはないが、町田市は保健所が主体となってひきこもりの実態調査を行っているのは素晴らしいと感じている。
8050問題で気にかかるのが「親亡き後問題」。遺産相続後の資産活用がうまくいかない例があるため、ファイナンシャルプランナーによる支援なども必要。

Q11:親亡き後問題等を考えるとき、相談窓口の確立が大切だと思う。
八王子市でそのような役割を担っているのは、社協CSWという認識でよいか?
A11:八王子市でCSWの窓口が10件に増えたが、専任職員は2名体制。その少ない人員で当事者の方の伴走支援を行うにも数に限りがあるのが現状。関係者が増えていくこと、それが体制として確立することが大切だと思う。


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