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骨折日記 500日~

骨折から一年半。
複雑でも入院でもなかった私は、すでに通常運転の生活へと戻った。
さすがにそうなると、もう「骨折日記」でもなかろうと思う御仁もあるかもしれない。
ですが、最後に少しだけ「その後」のあれこれを書いておきたい。

まず、固定具のつけはずしのため二回行った手術のその後。
切開した傷跡自体は、手首の内側という非常に薄い部分を二度も開いたり縫ったりなんかして、ごわごわのカチカチに固くなったりしないのだろうか、という当初のこちらの心配をよそにほぼ元通りの薄皮状態にもどる。
縫合のために盛り上がっていた箇所も術後3~4か月で平らに落ち着き、もう半年もして赤みがとれれば、もっと目立たなくなるのではないだろうか。
ついでに余談だが、スギナのエキスを入れた風呂に浸かった後は調子が良くなる気がするので、最近のお気に入りだ。
あっ、そうそう。抜糸の糸が残っているんじゃないかとか、吸収される糸はいつどのようにしてどこへ行くのかだとか、もやもやしていた日々はすでに過去の話。もうちくちく感なんてどこにもありません。

それと、骨折してから現在二度目の冬に突入。最初の冬は固定具を入れた後、何となく手首の冷える感じが気になっていた。当時はまだ骨折箇所が癒えていないせいもあったかもしれないし、冷える気がするというのは、もしかするといわゆる「古傷が痛む」という感覚の一部なのかもしれないとも思うが、固定具を抜去後の二度目のこの冬は、手首が温まらなくてどうしようもないという事は今のところなく、快適に過ごせているのは確かである。

そして、肝心な手首の可動域について。
先生には手術前、固定具は取っても取らなくても可動域がそれほど変わることはないだろうと言われていた。私も先生がそう言うのなら、まあそうなんだろうなあと、大きな期待はしていなかった。ところが、である。
これはあくまでも私の場合、の話ではあるのだが、手首の自由度は増した。もちろん骨折前と同等の可動域には達してはいない。だが、固定具が入っていた時には二度と出来ないと感じていた腕立て伏せの姿勢、つまり垂直に自分の体を支える姿勢が、今は取れるようになった。
当然、無理はすべきではない。けれど、リハビリ次第ではもう少し柔軟な動きが出来そうな気がして、たまにテニスボールを床との間でコロコロさせてみたりしている。


これまでの日記には書かなかったが、この間出会った他の方の骨折経験談もいくつか聞いていた。
手術は一度で十分。二度も大変な思いはしたくないとプレートを入れたままにすることを選択。今も不自由を感じずに普通に生活している、という奥様の話をしてくれた人。
また、手術をした後に手の神経に異状が発生、骨折とは別に服薬治療を続けているという人。
病院でのリハビリを選択しなかったがゆえに経過が長引いている知人がいる、という話をしてくれた人。
それとは反対に、長い間リハビリに通っているにもかかわらず中々治らないのだと話してくれた人。
みんなどうしているだろう。良い状況になっていますように。

こうして並べてしまうと、どちらかというと大変な思いをされている人が多い印象になってしまうが、それもそのはず。そのほとんどが病院内で出会い、はやく元の生活に戻りたいと願いつつもまだ進行形で治療やリハビリをされていた方たちだから。
骨折手術リハビリの困難を潜り抜け快復をとげた多くの名も知らぬ方々は、何も語らずとも今では普通の生活に復帰されていることだろう。それがたとえ元通りの生活でなかったとしても、経験を糧にしてそれぞれの道をたくましく歩んでいると信じている。


手術自体にリスクがないわけではないし、私の骨折箇所やけがの状態は、運に恵まれていたのかもしれない。
ただ、今回手術を選択したことを含めて回復に至る経過は、個人的にはおおむね満足している。


良い事も悪い事も、過ぎてしまえばその全ては思い出になり経験となる。
それを活かすも捨てるも、すべては自分次第だ。
人生は続くのだ。


すべての骨折サバイバーよ、そしてこれから骨折に立ち向かう者たちよ。
君たちの健闘と幸運を祈っている。


人生をお大事に!


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