朗読劇フォアレーゼン「太陽が痛いほどいっぱい」考察感想

昼夜公演を鑑賞してきました!
台本が物販にあり公演後に調べて気づいたことが結構あったので感想と考察を書いていきます。

恋多きイタリア人歌手・アントニオと堅物のドイツ人ピアニスト・ウリが、ミラノ、ヴェネツィア、ベローナ、パレルモを舞台に巻き起こす騒動記。
なぜかいつもアントニオが愛すのはアスリートだった。
怒った彼女たちに、追いかけられる二人。
その運命やいかに。

公演台本あらすじより

※チャラ男の役なのにどこか落ち着きのある演技をしている山下誠一郎さんが気になり、その役を掘り下げてみよう!!??の気持ちが始まりなのでこじつけなところもあるかも。
でも山下さんはキャラクターに真摯な演技をされることに定評があるので、そんなに遠からずなのではないかと思う……。

声優朗読劇フォアレーゼンとは?

人気声優が出演する、他にはないオリジナルの朗読劇! 2018年より日本全国各地での公演開催! あなたの街にも、あの人気声優が訪れる。 題材は、クラシック音楽、文学作品、地域の歴史、など オリジナル脚本によるスペシャルな朗読劇!!

公式Twitterより

公式サイトにプロジェクトの概要や物販情報などの詳しいお知らせが全くないため、基本的には公式Twitterから知れる情報がすべて。オリジナル脚本なのに内容もタイトルくらいしかわからないため、声優さんのファンやこのプロジェクトのファンがメインターゲットになっているのだと思われる。現地には声優さんのファンと思われる若い女性だけでなく、地元の方なのかお年寄りや家族連れもちらほらいた。

地方の劇場でその地域にまつわる題材をやることもあるみたいだが、今回はクラシック音楽・イタリア民謡が題材だった。今回の「太陽が痛いほどいっぱい」と「オー・ソレ・ミオ(私の太陽)」が結びつくとはタイトルを聞いた時点では想像もしていなかった。
また生演奏(今回はピアノとテノール歌唱)があるがSEや環境音はなし、照明効果もピンスポットとホリゾントのみの最小限構成、衣装もシンプルで今回はグレーのシャツ+フォアレーゼンのTシャツ+黒のパンツだった。作品の世界観を伝えるのに声優さんの演技がかなりの割合を担っている。

その日限りの公演なので物販に台本が並ぶ作品でもある。朗読劇の思い出にもなるし、考察を深めることもできるので個人的にマストバイでした。

地方公演あるあるかもしれないが、注意したほうが良いのが行き帰りの交通手段だった。観客たちが同じ開演時間を目掛けて路線バスに乗ることになるので、時間に余裕を持って行動するか駅前からならタクシーもアリ。今回帰りは最寄り駅までのシャトルバスが出ていたのだが、全員が一度に乗れるわけではないので思っていたより時間がかかった。


全体感想

山下誠一郎・小林千晃の大沢ツイステペアと重松千晴・中澤まさともの俳協あんスタペアの組み合わせで、山下さん小林さんがメインキャラクターだった。
全員が初フォアレーゼンだったそうだが、大沢男子のアドリブの掛け合いや、重松さんが昼夜で異なるテイストのキャラクターにしていたり、中澤さんが遊びすぎずぐっとこらえて(本人談)支えていたりとしっかり生の朗読劇ならではの楽しさがあった。

しかし作品の大きな要素である劇中歌や土地をよく知らないと、作品から得られる情報が限られてしまってもったいなかった。良く知られている民謡(イタリア語)や聞いたことのある地名ではあるし説明台詞もあるし雰囲気で伝わるものもあるのだが、歌詞の意味やどんな場所かを自分の引き出しから持ってこれないと観客が想像して楽しむ部分を少ししか膨らませられなくて不甲斐なかった。もっと楽しみたかった! くやしい!

作品の舞台を調べてみた

お話の舞台は現代イタリア ミラノ、ヴェネツィア、パレルモ、ヴェローナ。
ジョジョ5部に出てきた町の雰囲気は知っていたが、恥ずかしながら詳しくなかったので台本片手に調べてみた。

ミラノ

アントニオとウリのアパートはこんな感じかな

アントニオとウリが初めてのマイホームを買った町。
ファッションとデザインの中心地の都会で、路上パフォーマンスに寛容だそう。

キーボードと声楽の路上パフォーマンスで叩き上げられ、都会にマイホームはかなりの大成功じゃないだろうか。住む場所がやっとできたと言っているのでマイホームと言いつつ一足飛びせず借家かもしれない。

ヴェネツィア

ミラノからヴェネツィアまでは直通の電車が走っているそう。国鉄と私鉄とあるが、アントニオは急いでいたから所要時間が少ない国鉄で行ったのかな。
1日30本以上あって、2時間半ほどでサンタルチア駅に到着する。料金は2000~5000円ほど。
日本で言うとを調べてみたのだけど、東京駅~伊豆急下田駅をスーパービュー踊り子号に乗っていったような感じが近いかもしれない。

ミラノ~ヴェネツィア間を走るフレッチャロッサ

アントニオが鳩にエサをやり続けていた広場はサンマルコ広場だろうか。
鳩が集まりすぎて今はエサやり禁止条例が出ているそうなので違う場所かも。でもそれを知らない観光客を狙って鳩のエサを押し売りする人がいる噂もあるので、アントニオも引っかかっていたしやっぱりサンマルコ広場なのかも?

鳩が多すぎるサンマルコ広場

生演奏を行っているレストランは昔から各所にあるようで、オー・ソレ・ミオを歌ってスカウトされたレストランも歴史のあるお店だったのかもしれない。経営者のマリオ・ザナボーニという名前はイタリア人ということくらいしかわからなかった。
生演奏の様子はこちらの記事が参考になった!

宿泊していたホテルのロイヤルスイートはと調べてみたら想像以上にラグジュアリーだった。
ロイヤルスイートってことはキングサイズベッド1台だった……? わかりやすい言葉を使っただけ……?
ベッド2台の部屋はスーペリアスイートってのがあるらしい。

パレルモ

一か月が経過しているのでトラックの荷台から直行したわけではないだろうけど、一応直行すると車で14時間(1400km)かかるらしい。
怒れる彼女たちから逃げるため、イタリアの北東から南西の端っこまで移動したことになる。

2人がいた海岸沿いの公園はジュリア庭園(ヴィッラ・ジュリア)かな? 多様な樹木と美しい建造物がある公園で、ゲーテが「ここは世にも不思議なところである」と評し愛したところらしい。

パレルモのあるシチリア島はジョジョ5部でもマフィアのボスがいた場所であったように、マフィアのイメージが強い町のようだ。あのゴッドファーザーの撮影に使われたマッシモ劇場があったり、本作にも出てくるエトナ火山は富士山に似た山らしい。

カルヴィーノ男爵の屋敷はなんとなく離れ小島のようなところにあるイメージだった。

「屋敷」のフリー画像は見つけられず

結婚式の場所は明言されてなかったけど、海外だし外なんじゃないかと思った。歌ったり逃げ隠れすると考えると室内もあり得るなー。客が多そうだったので屋外でも成立はしそう。

ヴェローナ

ヴェローナは作中でもアントニオが言うようにロミオとジュリエットの聖地とされている。

アレーナ・ディ・ヴェローナ(古代ローマ時代の円形闘技場)でのトゥーランドットは有名なようだ。この公演を嫌っているのもアントニオの反体制派なエピソードの一つだった。

ガルダ湖

別名ベナーコ(Benaco)湖ともいわれイタリアで最も面積の広い湖であるらしい。ヴェローナのすぐ西にある。

板橋区

番外編だがユキヒロが手配した鼻くそみたいなホールは板橋区にあったようだ。板橋区文化会館……? アレーナ・ディ・ヴェローナからしたら小さいハコだろうけども。

このように

アントニオたちはイタリアの町をどんどん移動していくし、その情景を表すのがセリフ+関連する劇中歌しかないため、イタリアに詳しくない自分はやや振り落とされた感があった。作品の舞台の事前知識があるともっと楽しめただろうなと思った。
あとから調べて「こういう町だからこんなこと言ってたんだ!」もそれはそれで楽しかったのでその楽しみ方もアリとは思うけど、次のフォアレーゼン(日立)はタイトルからわかることをさらっと予習しようと思う。

劇中歌調べてみた

お次は台本に曲名があったのでググり、テノール生歌が披露された劇中歌が作中に持つ意味について考えてみた。

オー・ソレ・ミオ('O sole mio、私の太陽)

イタリアのカンツォーネ(ナポリ民謡)。要約すると「私の太陽は君だよ」と歌っている。
この「太陽」が本作のタイトル「太陽が痛いほどいっぱい」の太陽、つまり愛する人のことだと思われる。

アントニオが愛する女性の名前で唯一出てくるのは「アンナ」。「オー・ソレ・ミオ」はモデルになった女優がおり、その名前が「アンナ」だそう。アントニオが結婚したいとまで惚れ込む相手としてふさわしい名前だ。
逆にアントニオも「アンナ」という名前だから、そこまで運命を感じたというのもあるかもしれない。

サンタ・ルチア(Santa Lucia)

優雅なナポリの情景を歌った民謡で、こちらも日本でも有名だ。ミラノ駅からサンタルチア駅にやってきて、ヴェネツィアに住むようになって、悠々と町と海を見下ろして歌うのにぴったりだ。

この歌はパレルモでの結婚式の挨拶の歌でも(脚本に指定はなかったが)歌われていたと思う。ヴェネツィアで歌うときはいいところで最後歌わずにセリフが進んでしまうので、終わりまで聞けてすっきりした。

フニクリ・フニクラ(Funiculì, Funiculà)

「フニクリ・フニクラ」とは、ヴェスヴィオ火山の登山電車「フニコラーレ」の愛称で、そのCMソングとして作られた曲だそう。

意中の女性へ愛と結婚への思いを歌い上げる歌詞で、このパレルモでアントニオが結婚を決意する女性と出会うことを暗示しているようである。
ちなみに火山噴火で鉄道はなくなっているので、二人が成就しないことに繋がっているかもしれない……。

L, abbandono(棄てられて)

憧れる人から離れてしまった悲しみを語る歌。結婚式から脱走して、アンナと結ばれなかった寂しさをアントニオは口にしていた。アンナからはフラれたり怒りの感情をぶつけられていないのも他2人と異なる点だ。

Vaga luna, che inargenti(優雅な月よ)

「L, abbandono」と同じくベッリーニの作品で、アフタートークでお話もあったように、美しい月に遠く離れた恋人へ気持ちを伝えてほしいと歌う曲。
アンナがマフィアに買われて離れ離れになってしまったアンナの母が歌っていた歌で(ってことはアンナの父は他界しているのかな)、アントニオが歌ったこの曲でアンナは涙を流し、仲を深めるきっかけとなった。

月に思いを託すといえば日本にもこんな歌がある。

天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出(いで)し月かも

高校の古文でお馴染み、阿倍仲麻呂の和歌だ。
留学で渡った唐から日本に帰るときに詠んだそう。
遠く離れた地にいても、同じ月を見て同じように綺麗だと思う。インターネットで簡単に繋がれる時代でも、自然と昇る月を介して繋がりを感じるのはロマンチックだ。

セリフでよくわからなかったところ調べてみた

地名と劇中歌の他にもいくつかあった引用や、人となりが伺えるようなセリフについて調べたり考えたりしたことについて。

名前

アントニオ:Antonio 値段がつけられないほど貴重
→古代ローマの氏族の名称 "Antonius"に由来
→ギリシャ神話のヘラクレスの息子アントン(Ántōn)に由来する
ἀντ'(ant)…反対 ὤνιος(ṓnios)…売り物

ウリ:Uli 立派な先導者
Ulrich が由来
アントニオが「売り」物と反対だから対になる相棒は「ウリ」……?

ミラノのシーン

はじめのウリの独り語りで、ウリは皮肉屋で審美眼はあるがピアノの技術があまりないこと、そのウリがアントニオの歌には文句を付けていないため、アントニオがかなりの声楽の技術を持っていることがわかる。

逆にアントニオはなぜ技術のないウリを誘ったのか。アントニオは音大を出てストリートで演奏したいというアウトローなところがウリの皮肉屋なところと通じ、自己愛が強い男なので自分をべた褒めしてくれるウリをそばに置いておきたかったのかなと思った。

ウリがアントニオの歌を賞賛するのに例える言葉も独特だ。

  • ソクラテスが突然字を読めるようになった

    • ソクラテスは本を文字で読んだだけでは著者の真に意味するところは伝わらず、口頭での対話が必要だと言っていた。そんな人が主義を捨てるくらいの衝撃?

  • アリストテレスが大理石の……

    • アリストテレスの質量と形相。彫像職人が大理石を掘り出してヘルメス像という作品になるが、「大理石=ヘルメス像」といえるのかを考えた。時間的推移の考えに至った衝撃?

  • くまのプーさんが……

    • 手がかりが少ないけど、プーさんがミツバチの巣穴にハマってはちみつがたくさんで喜ぶシーンかな……?

ウリは「定住」を喜ぶが定住は手段でしかなく、演奏と作曲をじっくり行えるのが本質である。アントニオには定住さえできればよいのだと履き違えられている。

ヴェネツィアのシーン

鳩にエサをやるシーン、SEがないなか山下さんが「クルックー」と鳩の鳴きまねをして情感を表していた。

アーチェリーの彼女に矢で狙われる心当たりがないアントニオ。アントニオの持論は後々語られるが、ウリの言うように浮気を怒ったからでいいのかはちょっとわからないかもしれないと思った。
愛し合っていた恋人に危害を加えたくなるのは「正気に戻れ!」の気持ちじゃないかと想像するのだけど、かなりのエネルギーを使うので相当な出来事があったと想像される。二股どころじゃないレベルの浮気か、後々マフィアとのつながりもさらっとできるし何かもっとやばいものを見てしまったのかなあ……。

レストランの店主から店で歌うように請われ、伴奏はウリじゃないと歌わないと言い張る。アントニオはウリの演奏が好きなのか? 自分を褒めてくれる人としかやりたくないのか……。

ここで山下さんの演技サイコー集の時間です。

  • 槍投げの彼女に電話でフランス語で愛を囁きキスするシーン、山下さんキス音上手すぎ。

  • ウリに楽譜を踏んでることを指摘される前のセリフで、苛立ちで自然に足をドン!で踏んでた。

  • 小林さんがアドリブで「謝れ」1回のところを延々と繰り返してきて追い詰められ「……どうもすみませんでした」。その次のセリフも「謝れ」の圧に合うように「後でいくらでも謝るから」→「後でいくらでもちゃんと謝るから」

パレルモのシーン

スーツケースを運んで10万ユーロ=約1200万円。

カルヴィーノ男爵の名前の意味は「ちょっと毛のない」というイタリアの名字だということと、ググるとイタロ・カルヴィーノという人がいてその父の名前がレストラン店主と同じマリオだということが出てきた。よくある名前だしこれは偶然かなあ。

アントニオの恋愛持論はちょっと語ることあるので後述。

「バレる前に逃げる。風邪薬と一緒だ」ここが一番引っかかったかもしれない……。苦い薬を嫌がる子供に飲ますときってこと……?

ヴェローナのシーン

アントニオがヴェローナのオペラや観光地をdisるセリフ。

「トゥーランドット」…男が姫に求婚するが、すべての男を恨んでいる姫は難題を出して断る。最終的に結ばれる。召使が男に片思いしていてその男のために自害するシーンもある。

「ロミオとジュリエット」…ロミオとジュリエットは素性を知らぬまま恋に落ちるが、お互いの家は敵対しており結婚できなかった。ジュリエットの家のベランダ下でロミオが愛を語る。

結ばれない話が嫌いなのかと思ったけど作品の関連性がなさそうなので、作品が嫌いというよりは、芸術作品に乗っかってミーハーな大衆を集めて金儲けをするビジネス自体を嫌っているようだ。

「認めたくないものだな~」ガンダムのシャアの有名なセリフ。話し相手はユキヒロなので日本人だから引用したのか、もしかしてユキヒロからガンダムを布教された?

「蝶々夫人」…蝶々夫人はアメリカに帰ったアメリカ海軍兵の夫の帰りを待っているが夫は古郷アメリカで別の女性と結婚してしまう。それを知った蝶々夫人は彼との子を残して自ら命を絶つ。
留学時代?に日本の音大の先生と関係を持ち、今古郷イタリアで結婚しようとしていたアントニオの境遇と重なる。

アントニオという男

ここまででだいぶ脚本の意図するところが分かってきたので、満を持してアントニオのキャラクター、なぜどこか落ち着きのある男なのか?を考えてみよう。

アントニオを構成する要素としては、すばらしい歌声・女性をすぐ好きになって関係を持つ・反体制派・人の気持ちがわからない。
歌声を褒めに褒められて育ったからなのか、彼は自己愛がかなり強くて他人の気持ちを考えられない。

他人の気持ちがわからないシーン筆頭はガルダ湖の上で男爵に言っておきたいことがあると語るシーン。
「男は小さいころから気づかずに周りの人を傷つけて生きている。年を取って自分が傷つけてしまった家族や友人、恋人に懺悔することこそが人生」
この人生観はかなり自分と他人の違いに自覚的で、なおかつ自分の行いを悔いていないと出てこないと思う。あとやっぱり何が理由で自分が他人を傷つけてしまうのか理解してはいなそうな口ぶり。

ウリに対して「どこかに定住できれば良い」「自分を褒めてくれる存在」と見なしていて、彼のゆっくり作曲をしたい本質的な気持ちも知らないし、彼からの女性に対する言動を改めよのアドバイスも受け入れない。
これだけだと我儘で物事をよく考えない幼稚な人間なんだな~なのだが、ウリから女性関係がだらしないのを叱られて持論(詭弁)を切り返すシーンで語るセリフに、山下さんがなぜ幼稚さに演技を振り切らなかったのかが見えた。

「そんなに法律を守って欲しいのなら、そんな車作らなけりゃいいじゃないか」

ここで言う車はアントニオを含む男や、人間のことだ。社会で決めたルールを守ることが全員に求められるのなら、なぜ全員がルールを意識せずとも守れるように生まれてこれないのか。人より抜きん出た才能があって、多くの人の気持ちがわからない、社会に溶け込めない自分は、どうしてこう生まれてしまったのか。
そんな悲哀がこもっていると感じた。
人は自分にないものに惹かれるともいうので、たくさんの女性に愛を語り愛情を受け取りたいのは、自分に愛情が足りないことの裏返しなのだろう。

車のたとえにマジレスすると、自然災害や障害物をすばやく避けて事故を回避するため、法定速度よりも速いスピードが出るように車は作られている。
あくまで緊急事態用の能力だし、法定速度があるのはその範囲までしか道路に安全を保証できないといった理由が存在する。

車や道路だって画一ではない。アントニオ以外の人間もみんなが迎合しているわけではない。
みんながみんな同じでは、ひとつの要因の緊急事態で全滅してしまう。異なる要素を持っていることで、誰か一人が元気な状態なら弱った仲間を助けることもできる。
アントニオはその歌声と機転の良さでアンナをマフィアの支配から解放するってすごいことやってのけてるよ! 誰かちゃんと褒めてあげて!

アントニオが疎外感を抱えた青年であることを視野に入れると、いろんな見方が変わってくる。

もしかすると、皮肉屋なウリはアントニオが唯一共感できるところのある人間だったのかもしれない。自分の歌も褒めてくれるし、一緒にいたくもなるよなあ。
ただ、アントニオが問題視している「出会いはたくさんあるのに社会のルール上、最初に出会う人が全て」になってしまうのはウリにとってのアントニオもそうなので胸が苦しくなる。

鳩のエサを大量に買う場面も、世間知らずでカモられてしまったというより、(屋敷でおばあさんは守備範囲外なようなことを言っているのでエサ売りのおばあさん目当てではなく)鳩を自分に群がらせて虚無を埋めようとしていた可能性が高い。関係を持った女性も鳩のように見えていたらと考えると恐ろしいが流石にそこまでではないと信じたい……。

このように要所要所でアントニオの心の闇が現れていた。改めていま朗読劇を見返したい……!

結論

アントニオはチャラいだけの男じゃなかったし、山下誠一郎さんの演技はやっぱり間違いない。


参考

O sole mio(オー・ソレ・ミオ)の歌詞・意味・解説・無料楽譜
サンタ・ルチア 歌詞の意味・解説
フニクリ・フニクラ 歌詞の意味・和訳
ベッリーニ L'abbandono
Vaga luna, che inargenti(優雅な月よ)の歌詞・対訳・無料楽譜
「アントニオ」という名前に込められた意味を教えて! | この英語の意味がわからない!
ドイツ語のかっこいい男性の名前は?意味も一緒にご紹介!
第9回文字と記憶術 - 集英社 文芸ステーション
アリストテレスの時間論 - 東北大学機関リポジトリ TOUR
『トゥーランドット』あらすじと解説(プッチーニ)
『蝶々夫人』あらすじと解説(プッチーニ)
なぜ必要? 速度超過違反が存在するも法定最高速度以上のスピードが出る理由
制限速度ってどうやって決められている?



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