サイドボードの話~前編~

ほとんどのMTGプレイヤーが頭を抱えている内容だね。なんなら私だって頭を抱えている。今回この記事を書くのは私の友人の希望があってのことだ。
今回はやや細かく書こうと思う。長い話になるだろう、続きを読む前にまずはコーヒーでも入れることをオススメするよ。

サイドボードの作り方

サイドボードにはいくつか考え方がある。メインを絶対勝ちたいデッキがサイドボード後も確実に勝つためのもの。メインで勝てなくても対戦相手に合わせて最適化することで残りのゲームで勝つためのもの。そもそも、ウィッシュボード等と選択肢は多岐にわたる。そしてこれらはメインデッキの内容によって考え方が異なるものだ。本来このような記事でひとまとめにできるようなものではないが、せっかくなので解説していこう。

対策カードのみで構成するサイドボード

これはミッドレンジ系のデッキだけでなく、ワンターンキルを目指すようなデッキも時には該当する。前者は対戦相手に合わせてより最適化することで盤石な姿勢でゲームを行うために。後者は対戦相手が持つ妨害手段に勝つためのアンチカードをこちらも投入するためのものだ。これらに関して特に解説することもないだろう。メインで勝てない相手に対してカードを選ぶだけなので、きちんと枠に収まっていればそれでいいからね。

デッキの軸をズラせるカードを採用する

速いデッキが遅くなったり、遅いデッキが速くなったり。どちらでも構わないが、まずはこれによって対策カードの採用枚数がその分減る点について注意する必要がある。サイドボードから投入する以上、少なくとも想定している対戦相手に対して劇的に有効である必要があるし、貴重な15枚の枠の何枚かを使うだけの価値があるかどうかを考えなくてはならない。
アグレッシブサイドが少ない理由というのはここにある。サイドからそういう戦略を仕掛けたいのも分かるが、その動きはメインからしていった方がいいのではないか?ということだ。
サイドからしかできないのであれば、本来予定している動きに無駄がある可能性を考える必要がある。この二つを乗り越えてようやくサイドボードとして成立し、それはデッキの軸をズラすことで自分が不利にならないまま継続して戦うということになる。
これは後編で改めて話をするが、メインの動きが弱くなるサイドボードをしたくな以上、そこに目をつぶってでもやる理由がどれだけあるかということを考える必要がある

サイドボードとしての要件を満たせていないウィッシュボード

ウィッシュボードに対する私の考え方は「最適なタイミングで確実にプレイできる領域に存在するカード」である。つまり、これはメインの枠といっても過言ではない。実際、そのような考え方で運用することがほとんどだろう。
これを踏まえた上で重要なのはウィッシュボードでサイドボードを埋めてしまわないこと、これに限る。せっかく確実にプレイできる領域にあって、つまりシルバーバレット戦略が取れるのであればより慎重に選びたい。《燃え立つ願い》にしても、《大いなる創造者、カーン》についても、必要なカードなんて状況によって異なるからなんでも入れたいのは当たり前だ。しかし、存在していない可能性を考えすぎてサイドボードを圧迫してしまうのもよくない。限られた枠をうまく使うためにも、慎重に選びたいものだ。

カードの特性と必要な枚数

カードの特性と、諸君のデッキのアーキタイプとも言い換えることができるだろう。勝つために、あるいは負けないために、どちらにしても必要なカードだから入っている。ではそれらは実際に何枚必要なのか?というのもサイドボードを作る上でも重要になる。

メインとサイドのカードの枚数について

例えば、《紅蓮破》と《赤霊破》はほとんど同じカードだが合わせて5枚以上入れる理由があるかどうか、という話だ。入れるから強いのかもしれないが逆もありえる。対策カードをたくさん入れればその役割が及ぶ相手には非常に有利に立ち回れるが、つまりそれはそうではないデッキに対してカードが足りない、ということになるのだ。
当たり前の話ではあるが、この枚数の調整をサイドボードで行えるというのも非常に魅力的な話だろう。ここで言いたいのは、「同じ役割を持つ似たようなカード」は同じカードではないということだ。
例えば《思考囲い》と《強迫》は同じハンデスだが、ハンデスできる範囲が異なる以上決して同じカードではない。5枚以上入れるにしたって、4+1なのか3+2なのかでそのカードの主張は全く異なるということだ。メインとサイドで合わせて5枚以上入れる時、サイドボードとしての力ではなくメインでの動きを遮ってないかも同時に考える必要があるのを忘れてはいけない。
今、たまたま《思考囲い》と《強迫》の話をしたわけだが、ハンデスしてゲームに勝てるなら何枚でも入れていいだろう。そうじゃないのであれば、もしかしたらそれはオーバーサイドになっていてデッキ全体の力が弱くなっているかもしれない。負けが込んだ時に一番最初に疑うのはサイドだが、同時にメインにも脆弱性がある可能性も同時に考えると案外、最適解というのは難しいものだ。

デッキの軸をズラす労力

軸をズラすのは非常に強力だ。相手が気づかずにミスするとこちらが一気に優勢になるし、気づいていたところで確実に対処させる、という動きにも繋がる。しかし、これをサイドボードから行うのであれば慎重になるのはこちらだ。
メインの動きを阻害していないか、というのはもちろんのことだがこれによりこちらの耐久力が下がってないか、というのも候補にあがる。どちらかに問題が見られる時、対戦相手に合わせたサイドボードを行えているかどうかを改めて評価する必要がある。
対戦相手がこちらに対して用意したカードを完全に透かして入れているのであれば前者に関しては下がってないと言える。あるいはこちらがノーガードになる代わりに多角的な攻めを行うことで相手がより対処できなくなるのであればそれもまたいいだろう。サイドボードから少ない枚数で軸をズラすのであればどちらかが確実に成立していない限り、そのサイドボードのカードはわざわざ負け筋を増やしていることになる。アグレッシブサイドが難しい理由はずばりそういうことだ。環境にマッチしていないアグレッシブサイドは自己満足でしかない。それを否とはせんが、勝つ気があるなら踏みとどまって考え直す方がいいかもね。

無駄のない配分は分かっていても難しい

ここまで、サイドボードの作り方を中心に話を進めたがすべてのカードをこの理屈にあてはめて組めばそれはもちろん理論上最強のサイドボードが完成する。しかし、それは同時にメインボードも最強である上で成立している話なのでこの話は成立していないことになる。
だからこそ、その配分は慎重になる必要があるし、結局これがサイドボードが難しい、サイドボードが足りない、と諸君を悩ませる原因になっているのだろう。しかし、これは自分のメインの動きとそれに付随するサイドボードの構築、という意識があればそんなに難しいことじゃない。

まずはここまでお疲れ様。一旦お茶にでもしようじゃないか。
続きの話は後編にとっておくことにするからね。

お菓子も用意した方がいいかもね?


本記事は基本無料となっているがお賽銭箱を用意させていただいている。
もし、お賽銭が入っていれば喜ぶし入れてくれた方に沿って戦略記事を書くこともあるだろう。あぁ、もちろん聞き流してくれて構わない。しがない地方プレイヤーの戯言なのでね

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