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ギャルになりたいヲタクがレバ刺を食べた話

ヲタクという生き物はちょっぴり背伸びしたものを始めるときに、前向きに、ノリノリで始めている感じを他人に悟られるのがなんとなく恥ずかしい気がして「~なるもの」って言いがち。
よくわかんないけど流行ってるしちょっと始めてみただけだからなさhふいhsづあfhってな風に。
古くは男もすなる日記というものを女もしてみんとてしてみたり、ファンサイトなるものを始めてみたり、キリバンなるものを踏んでみたり、mixiなるものを始めたりしてきた。


そんなわけでnoteなるものを始めてみる。
理由は特になくて、#週1note という企画があるのでなんとなく参加してみたが、そもそもnoteの何たるかも知らず会員登録をして記事を書こうと開いてみたらクリエイターがなんか発信する的な場所らしい。



っていうかわたしはクリエイターでも何でもないし、地域を活性化したりも何を指しているのかよくわからないかっこいい感じのカタカナの肩書きもない。
特にここで語るべきことを持っていない人間が無理やり何かを発信していくのであるが、
要は便秘なのに下剤も飲まずトイレできばっている姿をインターネット上に晒していくヤベーやつだ。
チーフエグゼクティブキバリストである。

noteなんてブログみたいなもんだろ、ちょろっと書いてアフェリエイトだかなんだかよくわからんけど不労所得で一生遊んで暮らしてえええええええええフォーーーーーーーーーと思ってノリで始めたのであるが、人生でブログを書くのは3回目。あ、まあそもそもブログではないっぽいのであるのだけれど。

ブログで思い出すのは大学のサークル活動での出来事。
当時、特にしたいこともなくてなんとなく大学祭実行委員会に入っていた。
そこで在校生や未来の新入生のために委員会がなにをしているかを校内外にアピールすべく
リレーブログなるものを始めることになった。

自分が所属している部署がどんなことをして学園祭に貢献しているか、
参加する学生がどのようにすれば学園祭を楽しめるか、
はたまたみんなで海に行って遊んできた、
などなど委員会がいかに魅力的な場所であるかということをアピールする記事を各々創意工夫して執筆していた。

2年生になったわたしにある時、そんなリレーブログのバトンが回ってきた。
何を書くべきか迷った。授業も本来すべき委員会での活動もほっぽり出して三日三晩悩み続けた。それはもう悩んだ。悩み続けて逆立ちしたりした。
別にどうしたら分かりやすく、新入生が入りたくなるようなサークルに見せることが出来るかとかそんなことに悩んでいたのではない。

「○○くんは後輩にも頼られるサークルのパパみたいな存在です(*´∀`*)」
「新しく入ってきた1年生がみんな若くて可愛い(*´∀`*)
                     私もうババアだわ(*´∀`*)」

とかこういうクソ寒いことを書くのがどうしても耐えられなかったのだ。
っていうかなんで大学生って勝手に家族に例え出すの??お前の扶養に入った覚えねーから!!!いやでもヒモになりたいから養ってください!!!

とにかく若いわたしは周りに合わせてTPOを取り込むことが大嫌いだった。そんなことするならデスノートに憧れて描いた自作の超頭脳派心理サスペンスマンガを配布された方がマシだった。
そこで悩み抜いた末、わたしは誰も書いていないあるものについて語ることにした。



レバ刺




そう。レバ刺。牛の肝臓。KAN-ZO。

寒いヤツらと差をつけようと考えたわたしは大学祭実行委員会のブログで、もちろんサークル活動とは全く関係ないレバ刺しについて書いた。
以下がその抜粋だ。恥ずかしいので別に読み飛ばしてください。お願いします。

 ところで、そんなぼくの関心を引いてやまない問題は1年生のことでもソフィア祭のことでも、はたまたママンが死んだことでもなくて、何を隠そうその答えは原発問題である。否。レバ刺し問題である。あの魅惑の贅沢品レバ刺しがその真価を発揮することなく、韜晦させられてしまうというのだから一大事。
 ならば食べに行かぬ道理はない、という訳で行って参りました。大人の街、赤坂に居を構える某店。落ち着いた店内には無数の牛タンがぶら下げられていて、閻魔様でもいるのだろうかと思わせるほどであり、その舌を切り刻んでゆく職人たちはさながら手下の鬼たちのようであった。夢の地獄絵図に身を投じている緊張に身を震わせつつ、鬼たちに注文をし、咽喉を潤しながら待つこと10分程度。そこに現れたのは赤くぬらぬらとした魅惑の贅沢品、レバ刺し。そのつやつやとした表面としなやかに立つその姿は凛とした女子高生を思わせ、恐る恐る繊細な手つきで一片を箸でつかむとずっしりとしたその重さが伝わってくる。そしていざ口の中へ。レバ刺しや あゝレバ刺しや レバ刺しや。ぼくの語彙と表現力では手に余るその旨み。頬が落ちて何処かに転げていったのを視界の隅で捉えたが、そんなことなど到底気にすることも出来なかった。なんもいえねぇとは北島康介の言。その後牛刺しやら牛タン串やらに舌鼓を打ち、諭吉との別れを経て赤坂を後にしたのであった。

まずこの、俺はお前らと違って教養があるんだと言わんばかりの無駄に難しい語彙を使う感じ。死んだほうがいい。ママンが死んだってオマエ、異邦人読んだことねーじゃん。
っていうかなんでレバ刺しについて語ってんの?バカなの?死ぬの?空気読めよ。
あとオマエ、親の扶養に入ってる分際で赤坂でレバ刺し食っとんなよ????
あ、でもめちゃ美味しかったです。

あれから数年の時が経ち立派な大人になりましたが、全く成長しておらずTPOがわからないわたしは
このnote企画での自己紹介の際にみなさまが自分がやっている活動などについて語る中、このスゲーヤツらと差をつけるイカした小粋なコメントをしなければ、やーいお前のアジェンダ、コンセンサスーーーー!!!などといじめられると思い、悩み抜いた末、自己紹介にこう書いた。

わたしはギャルになりたい




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