見つけて欲しいかくれんぼ

「じゃあいまからわたしが10数えるから、みんな隠れてねー!!」


わっと散らばる子供たち。わたしもその1人だった。


ようし、ここなら絶対見つからないぞ。

「〇〇ちゃんみっけ!」「〇〇くんみっけ!」

他の子たちがどんどん見つかる声がする。大丈夫、ここなら見つからない。大丈夫。

「みつはるくん、みっけ!」

「うわー、みつかった!」

「みんなすぐ見つかっちゃったね。」

「また明日もやろうね!」


えっ、待って。まだわたし、隠れてるのに…。

しばらくして静かになった。みんな帰ったようだ。


急に涙がこみあげてきた。

忘れられてしまったこと、

隠れるまでもなくみんなの中に自分がいなかったこと、

自分はいてもいなくても同じだったこと、

すべてが悲しくてわたしは1人で泣いていた。

誰か見つけて、わたしはここにいるよ。


もう一生どこかに隠れていたいような、

もっともっとみんなに見て欲しいような、

複雑で悲しい気持ちになった。

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