庭の必要性

なぜ、庭が必要なのか。
山村の美しい風景や海岸沿いのきれいな砂浜や海などが近くにあるはずなのに、自分の敷地に家と庭を作る人がいる。
庭を作らなくてもすぐそばに美しい自然があるというのに。

だが、この考えでは自然と庭は同じ扱いになっている。
近くに自然があるのに、庭を作りたい人は庭に自然には無い価値を見出しているからである。

人は自分の感情や理想を表現する能力を持っている。いわゆる芸術というものである。
自然よりも美しいものを作りたいという欲がある。
庭は人が美しいものへの憧れを具現化したもので、一種の自己満足でもある。人が作るがゆえにいろんな試行錯誤ができ自分の好きなものができる。それが自然にはない魅力であると思う。

枯山水は一個の石を島に見立てたり、山に見立てたりと自然を自然のものを使って訳している。作庭家という翻訳家によって。読者である施主の要望を考えながら作っている。

作庭とは翻訳で、自然を訳している。

参考文献:庭―作る楽しみ観る楽しみ (光風社選書) 単行本 – 1992/10/1
重森 三玲 (著), 重森 完途 (著)

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