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NBAファイナル入門-NBA観戦を全力でオススメしたい-

日本のNBAファン事情(筆者の偏見と空想による見立て)

NBA、それは世界最高峰のプロバスケットボールリーグ。
のはずなのに…あれ?おかしいな?全然見てる人いないんだけど…?

これは日本のNBAファンなら、誰もが感じているストレスであろう。
そう、NBAファンは本当に全然いない。
日本のNBAファンの大半は一人で観戦し、スーパープレーや数々のドラマ、感動を共有することができずに、一人自宅で懊悩する日々を過ごしているのが現状だ。
友人や恋人、家族などに一度は相手の興味を度外視して、身勝手に熱く語ってしまい、疎まれる、フラれる、居場所がなくなるなどの失敗をNBAファンは一度は犯しているので、それからというもの一種の対人恐怖症に陥り、NBAファンということを隠し続け、一人家で煩悶しているのだ。
なので職場や食事の場などで、奇跡的にNBAファンと出会うことができれば、あっという間に話は弾み、お互いに孤独な日々を過ごしていたことは言葉にせずとも周知の事実なので、堰を切ったようにバスケ愛を謳う言葉が溢れ、すぐさま友達になることができるのだ。

そもそも日本人、特にアラフォーの私のような世代にとっては、バスケを好きになる素養が既にある。
すぐにピンとくる方も多いと思うが、そう、それはもちろんスーパーオバケ漫画「スラムダンク」のおかげなのである。
小学生の頃、クラスの半分以上、私のクラスでは8割を超える生徒がスラムダンクを愛読し、アニメを見ていた。それまでバスケのことなんてまるっきり知らない子どもたちがある日突然、
「バスケットカウントワンスロー」とか、「ディスクォリファイングファウル」とか、「カリームアブドゥルジャバー」とか、訳のわからない英語の長文を話し始めるのだから、担任の先生たちも大いに焦ったであろう。慌てて帰り道にコミックスを求め、勉強のつもりが案の定ハマってしまい、毎週ジャンプを楽しみにした挙句の果てが、生徒がクラスに持ち込んだジャンプについてまるで注意ができないという、教育指導の放棄に陥るという事態まで発生していたのは容易に想像できる。
つまりスラムダンクの連載当時、小学生からその担任の世代、ひいてはほぼすべての世代がバスケットについて興味を抱いていたことになる。おまけにそれは興味だけでは終わらず、スラムダンクを読破した頃には、自然とバスケットのルールが体に染み付いているという現象が起き、繰り返しになるが、ほぼすべての日本国民はバスケを本来好きで、観戦する為の基礎知識があるという証明が成り立ってしまうのだ。

となればNBAを啓蒙するのは意外と容易なことなのでは…?と小さな希望を見出しつつも、先述した、身勝手に熱く語ってしまい大事な人を失うというトラウマのおかげで尻込みする私たち。
機を伺い続け、自宅でひっそりと待ち構えていると、ここで映画「THE FIRST SLAM DUNK」の公開という僥倖が訪れた。
あの頃スラムダンクに夢中になっていた世代とニュージェネレーションとが漸くクロスし、今啓蒙しないでいつするんだと背中を押され、ついにはこうしてnoteを書くことになった次第であります。

すみません、長々と駄文が過ぎました。

ここからはNBAファイナルの楽しみ方を簡単ですがご紹介していきたいと思います。

NBAファイナルが始まりました。

NBAはアメリカとカナダに拠点を持つ全30チームが、イーストとウエストそれぞれのリーグに分かれて争われるプロリーグだ。
(セリーグとパリーグのような感じ)

10月末に開幕し、4月上旬までの長いレギュラーシーズン(各チーム82試合)を終え、30チームから上位16チームがプレーオフという次の舞台に駒を進める。
ここからはトーナメント制で、先に4勝したチームが勝ち上がっていき、決勝を制したチームが優勝となる。プレーオフはNBAで最も盛り上がるポストシーズンだ。(※プレイインのルールについては今回は割愛します。)
このプレーオフも残りわずか。すでに勝ち上がった2チームが決まり、NBAファイナルと題された最後のシリーズがちょうど今行われている。

今回のファイナルに駒を進めたのはデンバーナゲッツとマイアミヒートの2チーム。
欧米ではブックメーカーという、いわゆるスポーツベッティング(賭け)が娯楽としてポピュラーだが、それらブックメーカーによる事前の優勝予想ではこの2チームは非常に過小評価されていた。
NBAファンのなかには渋いカード、地味なカードなど揶揄するファンも少なからずいることはたしかだが、この2チームがはじめてNBAを見る方でも十分に楽しめるチームであり、NBAファイナルにふさわしいカードであるということをお伝えしておきたい。

マイアミヒート

マイアミヒートは過去に3度優勝を経験している強豪で、現在のNBAで最も著名な選手、キングことレブロン・ジェームズが過去に所属し、2013~2014を連覇したチームで非常に人気もあり、日本でも知っている方は多いかもしれない。
そんなマイアミの今年の成績はイースト8位。プレーオフ圏内ギリギリの順位から何とか滑り込んだという状況で、初戦から優勝候補であったイースト1位のミルウォーキーバックスと戦うことになる。誰もがバックスが勝つと思っていた中、なんとマイアミは4-1という成績でバックスを下し、下剋上を起こしてしまう。海外のスポーツではこれをアップセット(番狂わせ)と呼ぶが、8位が1位を倒すのは、史上6例目となった。
続くニューヨークニックス(イースト5位)とのシリーズも4-2で撃破すると(筆者はニックスファンなので大泣き)、勢いそのままに、またしても優勝候補のボストン・セルティックス(イースト2位)を死闘の末4-3で飲み込み、決勝へと進んでしまったのだ。
8位(プレーオフで最も下の順位)からファイナルに駒を進めたのは、99年のニューヨークニックス以来の快挙で、優勝することになれば史上初となる。

ヒートはハードワークをチームカルチャーとしており、厳しいトレーニング、徹底した体調管理、チーム名の通り熱いプレースタイルが要求され、チーム全体がストイックでメンタルが強く、その球団理念は「ヒート・カルチャー」と呼ばれ、NBAでは有名だ。

なかでも大黒柱であるジミー・バトラー(#22)はハードワークを体現しているような男であり、朝3時に起き、10時からのチーム練習に先立ってワークアウトを行うような勤勉さで、その厳しさには、これまで所属したチームではついてこれない選手もたびたびいたほどで、まさに「ヒート・カルチャー」は彼が望んでいた環境だったに違いない。
ジミーは元々ディフェンスを買われてNBA(シカゴ・ブルズ)に入団したが、次第に得点力が上がり、今では試合終盤の大事な場面である「クラッチ・タイム」に勝負強さを発揮するのも持ち味だ。
入団当初決して評価も高くなければ有名でもなかった彼を、オールスターに選ばれるまでの選手に成長させたのは、紛れもなくハードワークのおかげだろう。
4年前にジミーがヒートにやってくると、彼の勤勉さに若手たちも奮い立ち、かつてのようにタイトルを狙えるチームへとたちまち蘇った。
今年はレギュラーシーズンこそ8位という成績に終わったが、ポストシーズンでは決して諦めない粘り強いプレー、高確率のスリーポイント、試合終盤でも足を止めない徹底したチームディフェンスを武器に、幾多の逆転劇を演じてきた。
ジミーをはじめとしたチーム全体でのハードワーク、熱いプレーを見れば、誰しもがファンになること間違い無いだろう。

デンバーナゲッツ

対するデンバーナゲッツは、チーム発足から50年近くも経つ歴史のある古豪でありながら、ファイナルの舞台は今回が初めてという長年苦労をしてきたチームだ。今年はレギュラーシーズン、ウエスト1位でありながらも、優勝は難しいだろうと過小評価されてきた。
このチームの顔はなんと言っても、センターというポジションを務める、2021~2022と2年連続でMVPを獲得したニコラ・ヨキッチ(セルビア)だろう。
センターというポジションは、バスケットでは背が最も高く体格のいい選手がやることがほとんどで、リバウンドやシュートブロック、ゴール下というリングから近い距離でシュートを放つのが特徴だった。逆にいうとだからこそ、ペイントエリア内(ゴール付近)でパスをもらい、ゴールから遠い距離のシュートを打つ場面は少なかったというのが従来のセンターであり、スラムダンクでいうと赤木や魚住のようなプレースタイルが多かった。
しかしこのイメージをまるっきり変えてしまったのがニコラ・ヨキッチという選手なのだ。
背丈や体格はこれまでのセンター同様大きくフィジカルも強いのだが、群を抜いてうまいのがパス、アシストなのである。
デンバーのオフェンスを見てみると、まずボールがヨキッチに集められ、彼を起点として、オフェンスが組み立てられていく。本来これはPG(ポイントガード)と呼ばれる選手がその役割を担うことが多く、センターはペイントエリア内でボールを受けるのを待つか(ポストアップ)、他の選手がカットインしやすいようにデフェンスの邪魔をする(スクリーナー)などの役割が多い。
ヨキッチがすごいのはこれら従来のセンターのプレーもきちんとこなせる上で、パスという選択肢があるので、攻撃のバリエーションが増え、相手チームにとっては凄まじい脅威となっている。
ポイントセンターという造語が近年言われ始めたのも、ヨキッチの影響に他ならない。
さらにヨキッチは距離のあるシュート、3ポイントシュートも打ててしまうので、はじめてヨキッチのプレーを見る方はこれがあまりに異常であるということを念頭に置いて観戦してほしい。
少し乱暴な例えではあるが、ゴリと三井と宮城が一緒になったようなプレーをするということだ。
今のNBAを象徴する、進化したセンターのプレーが堪能できる。

今からでも間に合うNBAファイナル

ということで、両チームの魅力をほんの一部をご紹介したに過ぎませんが、
これらがNBAファイナルをはじめて観戦する方へ、少しでもお役に立つのであれば、これ以上嬉しいことはありません。
そして何より友達を増やしたがっているNBAファンのためにも、NBAへの興味関心が広がる一助となることを祈って、今後もNBAについて何かnoteしたいと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

追伸

現在NBAは楽天NBAという有料のサービスによってのみ見ることができます。
楽天モバイルユーザーはLIVEでは見れませんが、無料でアーカイブの試合を楽しむことができます。
このことに関しては個人的には課金さえすれば全試合見れるので嬉しいことではありますが、これまでBSなどで見れたものが独占となったことで、見る機会を失ったユーザーがいることは大きなデメリットであると思います。
田臥選手が先陣を切ってNBA進出した時代から、八村選手や渡邊選手が活躍するという日本にとってはより身近な存在になりつつあるNBA。もっともっと多くの人に見てもらうためにはどうすればいいのか、仕事でも無いのにそんなことを大真面目に考えているNBAファンが、もしかしたら皆さんの周りにも隠れているかもしれません。

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