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新幹線は1人で乗っても楽しい

 1週間の真ん中、水曜日。20:00に東京で仕事を終えて、新大阪行きの新幹線に揺られながら、鳥飯と缶ビールを飲んでいる。最高に気分がいい。新幹線に乗っている時のウキウキ感は何歳になっても忘れたくない。出張でもなく、帰省でもない。明日は木曜日だというのに、残り少ない有給を消化して旅行に赴いている。もちろん1人で。

 22:00に名古屋に着いたら岡崎で予約しているホテルに一泊するんだ。一級建築士の試験を10月頭に終えたことを良いことに、今月は2往復も新幹線に乗っている。学生を卒業した途端に、深夜バスに乗れない、なんとも優雅な大人になってしまった。のぞみ1号車、自由席3列シートの窓際で缶ビールという役満を堪能しながら、来たるホテルの大浴場に向けて気持ちを高めている。もちろん1人で。

 4月、入社してまもなく、同期に気になる人ができた。同じYouTuberが好きだっただけで、岡崎に一緒に行く約束が立った。かなりコアな話もできる口で、その時すぐにでも赴けばよかったものを、一級建築士試験を控える私は試験が終わってから行こうと提案した。時は春、試験は秋。ずっと続くと思っちゃってたんだよね。ほらあの、"1番楽しい時の感じ"。

 2次試験を控えた夏、そいつに彼女ができた。おい、しいたけ占いさんや、「秋にメインイベントがくる」って言ってたのは私の告白のことじゃなかったのかい?

 彼と一緒に乗るはずだった新幹線に1人で乗っていると思うと少し寂しいが、缶ビールの酔いが良い感じに回ってきたことによって、なかなか楽しくなっている。もしこれで行かない選択をしたら、彼に影響されちゃったみたいじゃないか。明日は平日にもかかわらず、推しごとに没頭して、優越感に頭からつま先まで浸ってやるんだ。もちろん1人で。

 壇蜜も言ってたもん、「1人で生きる自信がついたから結婚を決めた」って。これ、私の座右の銘。

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