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【一冊千字】『オシムの遺産—彼らに授けたもうひとつの言葉』(2023.05.10)

島沢優子,2023,『オシムの遺産—彼らに授けたもうひとつの言葉』竹書房

オシムさんに薫陶を受けた11人の人物がオシムさんにいかに怒られたかを嬉しそうに話すという追悼本。通奏低音として流れるのは、サッカーと人生をアナロジーとして見るオシムさんの姿勢。オシムさんは「リスクを冒して攻めろ」というけれど、どうもその後に「人生もそういうもんだろ」と言っていたのではないか、と思う。

そしてもうひとつ印象的だったのは、徹底的なトレーニングをすることによって監督就任3年目以降、乳酸値が改善され怪我が減ったという話。ハードトレーニングの目的は、選手を鍛えるということなのだけれど、純粋に上手くなるということと、上手くなるためのトレーニングに耐えれる体を作るということにあるのでしょう。

これは私がかつてから言っていた、根性値と根性量と同じなのかなと。ハードトレーニングへの耐久値は量と質の二つのパラメータがあって、どうも日本ではトレーニングの量にフォーカスされがち。だけどその前段階として、トレーニングできる量を拡大するためのトレーニングというものがあってもいいかな。などなど。

というわけで思い出しのが、オシムさんは夜に試合がある日の午前中にもトレーニングしていた、という話。(これは本ではほとんど触れられていないけど)やれることを全てやって試合に臨む。試合が始まれば指導者のできることなど何もないのだから。逆に言えば、試合の会場に入るまでには、まだ仕込む余地があるということ。

やれることは全部やる。後悔しないためにも。人生だってそうでしょう?


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