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[完全版レビュー] いおワールド かごしま水族館 (2023/2/13訪問)
はじめに
インスタでは写真枚数と文字数の限界があり、全てを書ききれないためnoteに投稿する運びとなりました。私見満載のレビューになりますが、お読み頂けると嬉しいです。
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この日の天気は曇りでしたが、屋外イルカ水路を除けば全て室内にあるので、天候関係なく回れます。
基本情報
営業時間・・9:30〜18:00
入場料・・・1500円(他施設と比べて破格の安さ)
アクセス・・バス「水族館口」から徒歩8分
公式HP→ https://ioworld.jp
館内にはジンベエザメをメインコンテンツとした、鹿児島近海と錦江湾(桜島の周りの海)の生き物800種1万点が展示されています。
順路構成はざっくり言えば、南西諸島→鹿児島近海→錦江湾と順に、黒潮の流れに沿って北上する形となっています。その上で、各地域の浅瀬や岩場など、垂直方向への分布ごとに展示が分けられています。
前置きはこれくらいにして、早速順路通りに見て行きましょう。
①エントランス
館内に入ると、すぐに青い光に包まれたエスカレーターが見えます。
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人間の世界から海の世界へ、日常から非日常へと誘われていくような感覚です。ここから始まるんだなぁとワクワクさせてくれます。
②黒潮大水槽
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エスカレーターに乗っていると、深い青の水槽が見えてきます。なるほど、初手から大水槽か。こういうドーンと1面で魅せてくるタイプの水槽、良いですよね。
水槽内にはマダラトビエイやホシエイ、カツオなどが展示されています。
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水槽内には、ジンベエザメがいます。
現在日本でジンベエザメを飼育している水族館は美ら海水族館、海遊館、のとじま水族館、そしてかごしま水族館の4館のみです。ジンベエザメは成長すると13メートルにもなると言われていますが、ここで飼育されている個体は体長約4メートルとかなり小柄な方。しかしこれには理由があります。
いおワールドかごしま水族館では、近海に迷い込んだジンベエザメを保護し、5.5mを超えるまで成長したら海に還すという方式が採用されています。同様の試みはのとじま水族館や海遊館でも行われており、水槽で飼育可能なサイズ(2館は約6m)を超えると海に還し、新しく保護した小型の個体を展示するというサイクルが繰り返されています。美ら海水族館では今のところそういった話はなく、現在は8.8mの巨大な個体が展示されています。
こうした背景のもと、歴代のジンベエザメには全て「ユウユウ」という名前が付けられており、現在展示されている個体は10代目だそう。成長が楽しみです。
余談ですが、2023年から茨城県にあるアクアワールド大洗にてジンベエザメ展示に向けた超巨大水槽が完成するそう。ここ最近では新設される水族館は都心型のものが多く、狭い空間をいかに上手く利用するかという工夫がトレンドになっていたような気がしました。大型展示が追加されるケースは久しぶりな気がしていて、個人的には兵庫県の須磨シーワールドの完成とともに非常に楽しみにしています。
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おや、水槽の底に謎の窪みがあります。何でしょうか。
これは排水口を隠す目的なのではないかと考えています。少し解釈しすぎかもしれませんが、こうした人工物をなるべく見せないようにする工夫は「空間再現力」を確保するために大切で、「人に見せる」施設としての水族館を評価する上で重要なポイントになるかなーと思っています。評価という言い方は烏滸がましいかもしれませんが、こうした「魅せるための工夫」を発見するのは楽しいですよ。
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大水槽の横の道を進むと、アーチ状の水中トンネルがあります。美ら海水族館の黒潮大水槽もこんな形をしていましたね。ここから南西諸島の海を表現したコーナーに向かっていきます。
③南西諸島の海
黒潮大水槽横の通路を抜けると、小水槽が並ぶエリアがあります。1つ1つの水槽にコンセプトがあり、ボードに解説が詳しく書いてあります。またこれとセットで、展示生物の写真と名前が貼られたボードもあります。他の水族館に比べて1水槽あたりの種類数が多いと感じました。
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チンアナゴは水流に合わせて顔の向きを変え、流れてくるプランクトンを食べているそうです。
ところで、このように低い位置が出っ張っている水槽は、しゃがんで見るのが醍醐味だと思っています。同じ水槽でも、見る高さを変えると見え方が大きく変わります。いわゆる「子供の目線」になってみるだけで、新しい気付きがあったり、童心がよみがえったりするかもしれません。このタイプの水槽に限らず、ぜひ目線を落として色々な水槽を眺めてみて欲しいです。
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④アクアラボ・サンゴ繁殖センター・うみうし研究所
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こちらでは鹿児島近海で見られるサンゴやウミウシについて詳しく解説されています。特にウミウシの解説が豊富でした。
またサンゴ展示には、ライブコーラル特有の青紫の照明が当てられていました。サンゴは水温や日照条件の変化に敏感なため飼育・展示が難しく、水族館で見られるサンゴはほとんどレプリカとなっています。最近では関東圏でライブコーラルの展示が増えてきていますが、魚とは別の水槽で、単体で展示されているケースがほとんどです。
⑤かごしまの海
南西諸島の海を抜けると、2階から4階へと上がる長いエスカレーターがあります。
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この水槽は照明の当て方が工夫されており、手前側には白や暖色の照明が当てられている一方で、奥側には青い照明が当てられています。こうすることで、実際よりも奥行きがあるように感じられるようになっています。
かごしま水族館ではこの水槽に限らず、全体的に奥行きを感じる水槽が非常に多いなと感じました。テクニック的なところでは
1.物理的に奥行きのある水槽を作る
2.手前側に暖色、奥側に寒色の照明を当てる
3.水槽を円柱状にする
といった工夫をすると奥行きが出て見えますが、かごしま水族館ではどのパターンの水槽も見られたので、全体的に展示にゆとりがあるように感じられました。
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⑥展望ホール
かごしまの海を抜けると、休憩スペースが用意されています。水族館ってずっと立ちっぱなしで足が疲れるので、ありがたいですね。
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写真を撮り忘れましたが、横には「タイヘイヨウアカボウモドキ」というクジラの全身骨格標本が展示されていました。筆者はクジラやイルカが大好きなので、時期が来たらホエールウォッチングやダイビングをやってみたいなあと思っています。
⑦サツマハオリムシ
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ここでは錦江湾の海底で発見された生物が展示されています。錦江湾の海底には活火山の桜島により超高温になっている部分があり、そこに生息するサツマハオリムシについて詳しく解説されています。筆者は文系大学生なので専門的知識はほぼ皆無なのですが、解説が丁寧で分かりやすく、楽しめました。このような地域に根ざした展示は、その水族館の個性が出やすいポイントですね。
⑧錦江湾水槽・アマモ場
順路を進むと、明るく澄んだライトブルーの水槽が見えてきます。
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奥に見えるのはアマモ場の水槽。
ここまで深い青を基調とした水槽が多かったので、フレッシュさを感じます。内側の壁が一面岩で覆われている水槽は、人工物の要素が極限まで排除されていて良いですね。大水槽の時にも説明した「空間再現力」が高くて好きです。
また、ここまで展示を見れば、この水族館の順路のコンセプトが見えてくるかと思います。黒潮→南西諸島→鹿児島近海→錦江湾、というように、北上する黒潮の流れに沿って順路が構成されていることが分かるでしょう。冒頭で述べた通りです。このように順路のコンセプトを考えながら回ってみるのも、水族館の醍醐味の1つです。
ただどちらかといえば、全体の流れを重視しているというより、1つ1つの水槽にコンセプトがきっちり詰まっている感じでした。そういう意味で、冒頭部分では順路について「ざっくり」と書いておきました。
⑨鹿児島の深海
ここからの順路では、エスカレーターを使って下っていきます。4階から3階へ降りると、深海展示が待ち構えています。
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基本的には水槽の向こう側が暗かったり、こちら側が明るかったりすると写真を撮ろうとしてもアクリルガラスにこちら側の様子が反射してしまいます。そんな時は、、
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筆者はiPhoneにiFaceというケースを付けているのでこうした小技が使えますが、機種やケースによってはレンズが傷つく恐れもあるので気をつけましょう。
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深海展示では生き物の紹介がタブレットの画面に映し出され、一定時間ごとに生物や言語が切り替わるようになっています。
これは光を発する面積を少なくすることで、空間の暗さを保っているものだと思われます。
実際、深海以外の展示ではサンゴ礁展示の写真のように画面固定のパネルが付いているのみです。明確な意図があるかは不明ですが、結果的に空間の雰囲気や展示の見やすさが確保されているので、素晴らしい工夫だなと思いました。
⑩クラゲ回廊
深海コーナーの壁伝いに、様々なクラゲが展示されています。ここ最近クラゲ展示は本当に増えましたね。山形県の加茂水族館を原点として、瞬く間に全国各地の水族館にクラゲコーナーが新設されました。クラゲの水槽って幻想的な空間で写真映えしますよね。場所によっては鏡やカラフルな照明が使われており、水族館によって演出が違うので比べてみると面白いです。
ちなみに、かごしま水族館では2017年に新設されたそうです。
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⑪沈黙の海
クラゲコーナーを抜けてエスカレーターを下り、順路通りに進むと真っ青な水槽が待ち構えています。海水水槽の締めとなる水槽になります。
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人間による環境汚染が続けば、いつかは海棲生物が絶滅してしまうかもしれない、と現代の我々に警鐘を鳴らす展示です。元ネタは同様の環境問題を扱うレイチェル・カーソンの「沈黙の春」でしょうか。下にある英語の方が原文っぽいですね。
こうした環境に訴える取り組みは世界全体におけるトレンドでもありますね。水族館は海洋ゴミ問題と関連の深い施設ですから、必然と環境問題のトレンドがそのまま展示の傾向に現れているといえます。
⑫ピラルクー水槽
「沈黙の海」の横にあるエスカレーターを降りると、エメラルド色の明るい水槽が目に飛び込んできます。
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ピラルクしかいない水槽は初めて見ました。大抵は他の淡水魚と一緒に展示されていることが多いです。照明の色や背景の色が明るいこともあってか、他施設で見られるものより体表の色素が薄い感じがしました。
⑬わくわくはっけんひろば
ピラルクー水槽の後ろには、鹿児島周辺に生息するヤドカリやカメ、淡水魚が展示されているコーナーがありました。
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この水槽は真ん中に仕切りがあり、左側は外来種の動植物のみ、右側は在来種の動植物のみで構成されています。外来種による在来種絶滅の危険性を訴えたり、在来種を保護したりすることで独自の生態系を守ろうとする取り組みは、全国各地の水族館で行われているかと思います。
⑭マングローブ水槽
順路を進むと、マングローブが植えられた水槽があります。泥地に住む生き物も一緒に展示されていました。
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⑮アザラシプール
さらに順路を進むと、ゴマフアザラシが2頭泳ぐプールが見えてきます。
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ゴマフアザラシは周回ルートが固定されているので、良い位置にカメラを構えておけばそれなりに写真は撮れます。全国各地で見られますが、筆者が最も印象に残っているのは秋田県にある男鹿水族館GAOのゴマフアザラシです。
余談ですが、この水槽には昔ラッコがいたそう。今や日本に3頭しかいないですが、ラッコは今の水族館のトレンドを話す上での重要なカギをいくつか持っている、と個人的には思っています。そういった話もまた、機会があればレビュー等を通じて発信して行けたらなと思います。
⑯イルカプール イルカの時間
アザラシプールの横にある自動ドアを出ると、イルカショープールがあります。ほぼ屋内なので、海水の匂いが結構強いです。また訪問した日の時点では、バンドウイルカが5頭飼育されていました。
ショーは1日3回で内容もほぼ同じなので、わざわざ順路を途中で抜けてショーを見に行く必要はないと思います。
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写真は5頭同時にジャンプしている瞬間です。息ピッタリ。ショープールはかなり狭いので、相対的にイルカが大きく見えます。むしろ狭すぎて、ジャンプの後の着水ミスったらプールの外に落ちそうってくらいでした。
この大きさのプールなら2頭でショーをやるのが丁度良いくらいかな、、と思いますが、フォトコンテストで7頭同時にジャンプしてる写真を見つけて衝撃を受けました。ただ、ショー以外の時間は外の入江とプールが繋がっており、自由に行き来できるようになっているそうです。
また、ショーの説明の際には映像で手話が使われていたり、車椅子専用の観客席があったり、車椅子の方向けの館内マップが用意されていたりと、バリアフリー化が非常に進んでいる水族館だなとここで思いました。
⑰イルカプール 出会いの海空間
イルカプールは地下に水中観覧窓があり、自由に行けるようになっています。
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仲良さそうに泳ぐ姿は、名古屋港水族館北館のイルカプールを彷彿とさせました。プールが小さい分イルカが近くまで来てくれるので、写真は撮りやすいです。
さて、これで館内の順路は全て回ったことになります。後は入口近くにタッチプールがありましたが、今回は行きませんでした。ご了承ください。
しかし、実は館外にも少しだけ続きがあります。
⑱屋外イルカ水路
出口の外にも、入江にネットを貼ったプールがあります。ここでの様子は、入館前に通る桟橋から見ることが出来ます。一定時間になると屋内のプールからイルカが出てきて、自由にジャンプしたり泳いだりします。
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トレーナーは開始と終了を告げに来るだけで、一切の指示を出しません。イルカが好き勝手にやっているようです。
筆者は14時半からの屋外イルカショーを見て、そのまま水族館を後にしました。開館時間の9時半に入館したので、滞在時間は約5時間でした。ただし順路2周+屋内イルカショー2回+屋外イルカショー2回なので、一般の方は2〜3時間程度で全部回りきるのかな、と思いました。
以上が、いおワールドかごしま水族館のレビューになります。
おわりに
最後までお読み頂きありがとうございます☺️
水族館についてここまで長く語ったのは初めてだったので、編集には相当時間がかかってしまいました。。
これからの方向性としては、展示をメインで解説しながら、水族館の見方や展示の工夫について適宜抽象論を交えて伝えていこうと思っています。
感想や意見、その他コメント等ありましたら、書き込んでいただけると励みになります。よろしくお願いします。
次回は大分県にある「うみたまご」のレビューを投稿する予定です!では!
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