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【旅日記】関西・人形劇旅行②〜ウズモリ屋編〜

こんにちは。おおかみの人です。

今回のトップ画像は、ウズモリ屋の表札とおおかみくん。




この記事は、昨日投稿した記事の続きになっています。

昨日は、

①西宮神社へ、【現代人形劇の100年】展を観に

そして

②ウズモリ屋へ、工房太郎さんに会いに

行った。
今回は、②にスポットライトを当てる。


阪神電車に乗って、西宮駅から御影駅に向かう。
御影駅を降りたら、神戸の市バスに乗り換えて、渦森橋のバス停まで揺られていく。

市バスの運転手さんは、今まで乗ったバスの中でいちばん優しかった。
金沢に住んでいると、移動手段はおおよそバスなので、ついつい比べてしまう。

市バスの運転手さんは、行きも帰りも優しい人だった。
まず、運転が優しい。発車停車がゆっくりで、安全運転。そして、声掛けも素晴らしかった。
乗り込むときは「ゆっくりで大丈夫ですよ」、発車するときは「つり革、手すりにしっかりおつかまりください」、降りるときは「ありがとうございます。いってらっしゃいませ」。
こういうちょっとした心遣いにホッとする。

神戸の人たちの日常はこんな風景なのか。
バスに揺られて外を見ると、電車が縦横無尽に走っている。これは金沢にはない風景だ。日常に電車が欠かせない風景は都会らしい。

バスは御影駅を出て、しばらくすると、川沿いを山の方にゆっくりと登っていく。ところどころ、桜がきれいに咲いている。眺めながら、バスは進んで、ウズモリ屋の最寄り、渦森橋バス停に止まった。

橋からの眺めもなかなか綺麗だった。神戸の街並みが遠くの方に霞んで見える。素敵だなあ…。

渦森橋から。遠景に神戸の街並み。

橋を渡るとすぐに、左手に白いプレハブの建物が建っていて、それがウズモリ屋だ。

インターホンがあるのに気づかず、1階の扉をノックすると、工房太郎のおふたり、吉田太郎さんと守津綾さんが出迎えてくださった。

プレハブの建物と聞いて、我らがせせくらせのプレハブの掘っ立て小屋のような小さなスペースを想像してしまっていたが、1階はとても広いスペースになっていた。たくさんの道具が置かれた雑多な空間は、せせくらせの部室と通じるものがあった。
(以下、写真はすべて許可済)

ウズモリ屋アトリエ1階①with吉田さん。
デスクには様々なものが置かれている
ウズモリ屋アトリエ1階②。
資材置き場の左手には機械が置かれている
ウズモリ屋アトリエ1階③。
透明なカーテン越しに機械が置かれている
ウズモリ屋アトリエ1階④。
反対側から見たところ。右が出入り口とデスク

工房太郎のおふたりは、プロ劇団である人形劇団京芸のご出身で、からくりが面白い神戸人形を製作されたり(2015年頃から始めたそう)、プロの人形劇向けの人形製作を行っている。
今回訪ねた際は、ちょうど製作と製作の合間の期間ということで、製作の様子は見られなかったが、貴重なお話を…なんと2時間も伺うことができた。
工房太郎のおふたりには、長時間話しまくってしまって申し訳ない気持ち…。

なにしろ2時間も、人形劇トークを繰り広げていたので、正直何を話していたか全部は思い出せないのだが、吉田さんも守津さんも、わたしがせせくらせ→クラルテにいたことをご存知だったので、そこから話が膨らんだ。

わたしがせせくらせにいた頃は、大学系人形劇サークルがどんどん消滅していっている時期だった。
勉強のため他大学の人形劇サークルや児文研の公演に足を運ぶこともあったが、時すでに遅し、ということもよくあった。

吉田さんに、学生団体のイベントはなかったのか、と聞かれて、昔はそういうイベントも多くて活動も活発だったと聞いたけれど、わたしの時代にはもうなかったです、と答えた。人形劇はやっぱり、衰退の憂き目をみている。


工房太郎のおふたりはプロ人形劇向けの人形製作をしているということで、いくつか人形を見せてもらった。が。写真が1枚しかない。動画も撮ったので、いずれ劇団YouTubeに投稿する予定だ。

むすび座【ジャックと豆の木】より、ジャック。
中東風の目鼻立ちをしている

そうそう。こういう人形を作ってみたいんだよ!!と思うような人形だった。
人形のサイズ的には、わたしがせせくらせ時代に使っていたウレタン人形と同じくらいの大きさだったと思う。
そこそこいい重さがするので、使っていると【人形劇筋】がつく。体の使い方が上手じゃないと、すぐに疲れてしまう。ちなみにわたしはひと公演終えるだけで毎回へとへとだった。

他にも、手遣いのパペットや、大きなおばあさんの神様の人形など、趣向を凝らした人形がたくさんあった。

「表現したいものに合わせて人形を様々に作れるのがいいよね。そこは人間の劇ではできないところ」
と吉田さんがおっしゃっていた。
ほんとうにそのとおりだと思う。
動画しかないので写真はないが、先述のおばあさんの神様の人形なんかは、面白い動き…歩き方をするので、こんな風に人形を作ることもできるんだなあ、と勉強になった。

守津さんがわたしの連れていたおおかみくんとさくら先生に興味を持ってくださって、それぞれ手にはめて動かしてくださった。
基本的におおかみくんもさくら先生も、自分以外の人の手にはめることがないので、他の人…しかも、元プロ劇団の方の手にはまって、もにょもにょと動いているのはなんだかおそれおおかった。
プロの動かす手遣い人形はやっぱりいきいきとしている。


わたしも人形は作るけれど、いきなり何も考えずに作り始めてしまうので、だいたいどういう作りにしようかというところで立ち止まってしまうんです…という話をすると、守津さんが2階から人形の設計図を持ってきてくださった。
そこには人形の正面図と側面図、内部の構造がわかりやすく描かれていて、推敲の後もたくさんあった。

「中にどんな構造が入っているかを考えてから作り始めるといいですよ」
と守津さん。なるほど。構造がしっかりしていないと、人形としてうまく動かせなくなってしまう。どんな作りの人形にするか、構造をよく考えてから作ろうと思った。

人形づくりの話になったところで、人形製作の素材の話になり、そこでサンテックフォーム(建材。人形のボディなどを製作するのに用いる、発泡スチロールのような白いかたまり)の端材を頂いた。
もしこの素材を使って人形を作るとなれば、資材を融通しますよ〜とおっしゃられて、なんと心強い!!と感激した。プロ劇団の方たちだけを相手にいろいろお仕事をなさっているのかと思っていたけれど、やっぱり「人形劇やってる人は仲間」。しかもプロの経験があるおふたりだから、人形劇で困っている人がいれば手を差し伸べてくださる。こんなアマでも。これはありがたい。製作の参考にしたいと思った。


吉田さんはウニマ(UNIMA, Union Internationale de la Marionnette。国際人形劇連盟)の日本支部の理事長(会長だったかしら??)(訂正。理事だそうです)をなさっていて、わたしはウニマ会員ではないにも関わらず、貴重なウニマの資料を頂いた。【日本の人形劇】年鑑は、現状図書館に行かないと見られない上に、すべての年のぶん揃っているわけでもないので、最新の2年間('21, '22)のぶんを1冊ずついただけたのはありがたかった。帰りの電車の中で読んでみようと思う。


そして、話は【いいだ人形劇フェスタ】に。
【いいだ人形劇フェスタ】とは、毎年8月の頭に、長野県飯田市で開催される、日本で最大の人形劇のお祭りである。プロからアマまで、実に多種多様な人形劇が観られ、海外からの招聘公演などもあり、人形劇好きにとっては憧れの場所である。
コロナ禍になってからは、いいだフェスの中止が続いており、今年こそは復活しよう!!ということになっている。

わたしはクラルテというプロ劇団に所属していたときに1度だけ、いいだフェスに参加(上演も観劇も)した。
朝の早くのアーリーモーニングショーに始まり、夜遅くのレイトナイトショーで終わる人形劇のお祭り。朝から晩まで、どこかで人形劇が楽しめる。
公演の合間に色んな、普段は絶対観られない劇団の劇を観に行くのが密かな楽しみだった。現を抜かし過ぎだと先輩劇団員に怒られもしたけれど。

ちなみに、吉田さんも守津さんも、当時のクラルテの公演を観てくださっていて、わたしが「あの役でした」というとすぐにわかってくださった。「あの劇はすごかった」とおっしゃられて、もうクラルテを離れてだいぶ経つけれど嬉しかった。


クラルテを辞めて金沢に帰ってきてからは、いいだフェスには行っていない。
金沢からだと、飯田はアクセスが悪い。車で行っても何時間もかかるし、電車で行くのは吉田さんいわく「修行」。バスで行くにもなかなか…ということで、なかなか飯田に赴くこと自体が難しい。

でも、わたしは人形劇をなんとかこれからやっていきたいんですよね、という話をすると、
「いいだでできないかねえ。話を通せば全然できると思う。やってみたらいいよ!ちょっとチャレンジする勇気があれば誰でもできるから!!」
と、激励された!!
実際いいだフェスの募集要項を見せてもらったが、たしかにアマチュアの募集枠もあって、これなら自分でも参加資格がありそうだ。わあ、夢が膨らむ!!

「もし上演の方で参加できなくても、せめて観劇だけでもできたらいいね」
と言われて、たしかに募集の期限はもうすぐなのでなかなか今から準備をするのは難しいけれど、観劇だけでもできたら嬉しいな、と思った。ただし自分には足がないので、家族に頼るしかないのだが。


自分には、大きな…大きすぎる夢があって、それはP新人賞に出ることです、という話もした。
「すごい!!あれは大きな賞レースだし、審査員もなかなか辛口の批評をするけれど、門戸は誰にでも開かれているから是非やってみたらいいと思う!」
と、ここでもまた激励の言葉を頂いた。
今は【いとでんわ】というオリジナルの物語を人形劇にするために、なんとか自分の記憶と戦っているところ。
物語が出来上がったら、1度クラルテに所属しているせせくらせ出身の大先輩に、本を読んでもらおうと思っている。まだたいして書けてもいないのに、読まれることを想像するとドキドキする。


たくさん話して、サンテックフォームや日本の人形劇年鑑などいろんなお土産まで頂いて、ホテルに帰った。
人形劇づくりに関して、強力な助っ人と知り合えたのは心強い。工房太郎のおふたりにもご協力いただきながら、人形作りに励みたい。
脚本は…自分の努力次第!!がんばって作ろう。


帰りに最寄りの渦森橋バス停に着くと、桜が綺麗だった。今がまさに満開と言う感じの咲き方で、とても癒された。

渦森橋バス停にて。
道路沿いの桜は満開。

西宮神社といい、ウズモリ屋といい、ほんとうに素敵な時間を過ごせたと思う。ここで得たものを糧にして、人形劇づくりに邁進していきたい。


今回はこれにて。
ここまで読んで頂きありがとうございます。

次回は、今日訪れた、大阪上本町にある【クマの手カフェ】について触れたいと思います。

次回もお楽しみに。それでは。

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