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アンカル『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』を観た

7月5日、池袋・東京芸術劇場にてアンカル『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』を観た。

数日前からTwitterやInstagramでタイトルを見かけていた。その時はあまり気に留めていなかったが、チケットサイトで違う劇団の舞台チケットを買った際にサジェストされて、これが演劇公演であるということを知った。なんとなく観てみたい、観なくてはという気持ちになりチケットを購入し、翌日に観た。

公式サイトより:

F中学校。3-A。24人の思春期たち。
あの頃みんなは何をしていたのだろう。
何を考えていたのだろう。
アナタは今、どこにいますか。
みんなは今、何をしてますか。
27人が織り成す、中学生たちの物語。
「10年前、あなたのことが好きでした」

モダンスイマーズ公式サイトより
http://www.modernswimmers.com/nextstage/

中学校のあるクラスの生徒24人と大人3人の物語である。
体育館のようなカラフルなラインが引かれた舞台には、たくさんの椅子が並んでいる。役者はシンプルなシャツやパンツ、スカート姿だが、この舞台と合わさると学ランなどの制服に見えてくるのが面白い。
初めに27人が並ぶ様子は中学校の記号にしか見えないが、物語が進むにつれてそれぞれの抱える問題が見えてくる。それぞれが狭い中学の中で闘い、答えを求めて彷徨う様子は痛々しく、否応なく一人一人を認識させられる。

公立中学校で過ごした3年間、卒業の日に置き去りにしてきたすべてがこの物語の中にあった。
あのころ教室にはみんながいて、それぞれに抱える問題があり、何も結末を迎えないまま別れたこと。そして別れた後も当たり前に人生は続いていて、今どこにいて何をしているのか知るよしもないこと。
つらくて苦しかったけどそこにしか居場所はなく、それでもかけがえのない日々だったのだ。
この舞台は忘れかけていたそんな気持ちをまざまざと突きつけてきて、何度も涙が出てしまった。
特にゲンとソジンが出会ったことにより迎えた結末、男になりたいタバチの「生理には負けたけど他の人には負けない」という宣言、そして演劇部部長の「私は演劇をやらなくても平気な人になりたいと思いました」というセリフにくらってしまった。私も短歌をやらなくても平気な人になりたい。でもそれが世界との関わり方だから止めることができない。

今回は再演とのことだが、中学校卒業から約10年が経った今観ることができてすごくよかった。本当によかった。

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