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映画『マッドマックス:フュリオサ』 感想

日本でも『マッドマックス:フュリオサ』が公開されました。初日の朝から見てきましたので感想などを書きたいと思います。
そもそも前作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は前々作『マッドマックス/サンダードーム』から30年もの時をこえて作られた作品でした。同時代のゲームに例えれば初代ファミコンで熱狂したゲームの続編がPS4のフル3Dで公開されたようなものです。主演の交代はもちろん、映像、ストーリー、砦のイモータンジョーたちの人物造形、そして何よりもフュリオサの鮮烈なキャラクター、すべてが21世紀を感じさせるものになっており、だからこそ衝撃だったわけです。今回の続編はそこから9年経ったとはいえファミコンからPS4のような革命感はなく、基本的に連続したテクノロジーの中での最新作という感じでした。

公平に評価して、『マッドマックス:フュリオサ』は怒りのデス・ロードの前日譚としてよくできていたと思います。疾走感のあるアクション、メカのギミック、映画として退屈な部分、うんざりするような所はまったくありませんでした。ただ、この9年間で『怒りのデス・ロード』という作品は単なるマッドマックスシリーズの最新作ではなく、フュリオサという鮮烈な女性キャラクターを中心にフェミニズム映画としての神話があまりにも膨らみすぎていた部分がありました。
もちろん『怒りのデス・ロード』の制作にフェミニストがタッチしていたことは有名ですし、そのストーリーにはフェミニズム的な側面がありました。しかし、SNSの反響がそれを何倍にも増幅することによって、フュリオサの物語は実際の『怒りのデス・ロード』が描いた以上に大きくなっていました。ミラー監督がフュリオサを主人公にした続編を作る、というニュースはそれをさらに後押ししました。ファンの期待の中で『マッドマックス:フュリオサ』は、物語というよりほとんどフェミニズムの神話のようになっていた気がします。

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