今さらながら日本アカデミー賞と能年玲奈と広瀬すずの話

毎日が恐ろしい忙しさで過ぎて行く。日本アカデミー賞は今月の10日で、本来はその時期に考えていたことだったのだけど、何しろ先に締め切りの迫った原稿を入稿しなくてはならず、それが終わると勤務先の仕事を片付けなくてはならず、それが終わると次の原稿の締め切りが迫っているという有様で月末になってしまった。

最優秀主演女優賞が岸井ゆきのになったことは良かったと思う。メッセージ的には倍賞千恵子でも意味を持ったと思うし演技も素晴らしかったけど、まあ日本アカデミー賞だし審査員の決めることだ。岸井ゆきのの演技は素晴らしかったし、「当事者の俳優が演じないのは簒奪だぞ」みたいなことを叫んで回っていた人たちが突然静かになったのは謎といえば謎だが、まあいいとしよう。岸井ゆきのおめでとう。

一番大きな意味を持ったのは、やはり能年玲奈が日本アカデミー賞の壇上に登ったことだろう。NHKなどにテレビ出演し、映画も何本も公開されているとは言え、首都圏民放から彼女はまだ締め出されていた。しかしこれで、大きな一歩を踏み出せたわけだ。

能年玲奈が下北沢の本多劇場の舞台で復帰した時のことをよく覚えている。彼女を一目見ようと押しかける観客の大盛況に大して、ロビーに飾られた花で、彼女宛のものは本当に少なかった。ファンが贈った花と、それから小泉今日子はじめほんの限られた人からのもので、あとは渡辺えり子と小日向文世に当てた花束が並んでいた。あれほどの国民的人気で、紅白にまで呼ばれていたにも拘らずである。明らかに彼女にコミットすることに何かしらのタブーがあったと思う。

彼女の共演者は、少しずつ増えていった。ソロでできる音楽活動から3人の舞台、少人数の映画へ。「さかなのこ」や「天間荘の三姉妹」では大きな事務所のスター俳優たちと堂々と共演できるようになり、そして日本アカデミー賞でついに日本芸能界の中心に戻ってきたわけだ。

まだ色々見えない障壁はあるのだろう。だが、能年玲奈が出演するCMは流せるのに彼女がその時間帯に民放に出られないという奇妙な状態も長くは続くまい。個人的には『新しい地図』に対して出された公正取引委員会からの注意勧告が大きかった気がする。

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